山梨県産 水晶印材コレクション-その8-

1. 初めに

   2003年3月に甲府市で開催された骨董市で水晶印材を出品しているお店があり
  早速何本か購入した。
   それ以来、山梨県は無論、各地の骨董市や骨董店を訪れる毎に、山梨県産の
  水晶製品に眼を光らせていた。その結果、既に120本前後の水晶印材が集まり
  その経緯と「山梨県水晶細工【印材】のミニ歴史」については、HPに何回か記載
  した。

 ・山梨県産 水晶印材コレクション
 ・山梨県産 水晶印材コレクション-その2-
 ・山梨県産 水晶印材コレクション-その3-
 ・山梨県産 水晶印材コレクション-その4-
 ・山梨県産 水晶印材コレクション-その5-
 ・山梨県産 水晶印材コレクション-その6-
 ・山梨県産 水晶印材コレクション-その7-

   茨城県ひたちなか市にある、最先端半導体工場から技術コンサルタントとして
  招請され、2006年7月に赴任してからも、骨董市などで目にするたびに財布の許す
  範囲内で手に入れるようにしている。

   2007年2月、北関東で開かれた骨董市をのぞくと、「時計提(さげ)水晶印」が
  あったので購入した。「時計提印」については、「水晶印材コレクション-その6-」
  の中で、想像を交えて、このように使われたのだろう、と報告した。
   今回購入した品で、実際にどのようにして使われたのかがより具体的に判明し
  た。女性の場合、必要なときにガマ口(財布)などから取り出して押印したと考
  えられる。

   試行錯誤を重ねながら、かつて山梨県の名産の1つであった、水晶印章の本当
  の姿に一歩一歩、近づきつつある、と感じている。
   印材や印鑑は既に120本以上収集でき資料は揃ったので、違った水晶製品を収集
  しておきたいと思うこのごろである。
   ( 2007年2月入手 )

2. 時計提(さげ)印

   2006年5月、北関東で開かれた骨董市で、通信販売カタログ「山梨物産会社
  商報」なる、16ページあまりの小冊子を入手した。

     「山梨物産会社商報」表紙

   この中に、「時計提印」なるものが掲載されていた。

    
    小判形時計提印【山梨物産会社商報より引用】

    その名前や形などから、男性が懐中時計に付けていたと想像した。

3. 時計提印【女性用】

   今回入手した品は、印面は小判型をしているが、柱面は複雑な多面体に研磨
  されていて、紫色のボンボン風のアクセサリが付いているところから、一見して
  女性用だろうと推測できる。
   同じ店には、同様な形状で、材質が”虎目石”のものも置いてあったことや
  ”ボンボン”の材質が化学繊維であるところから、この印材は戦後、比較的
  最近になってブラジル産の水晶を用いて作られたものと考えている。

        時計提印【女性用】

4.おわりに

 (1) 今まで、骨董市などで入手した印材をみて、古い文献にもとずいた推測や一部の
    水晶加工に携わる人々の意見を聞き、HPに継続的に記載している。
     今回、ボンボンのついた時計提印を入手し、時計提印には、女性用に作ら
    れたものがあることを確認できた。
     多分、がま口(財布)などに入れておき、必要なときに取り出して押印し
    たものと考えられる。

 (2) 今まで無垢の印材や実際に実印、認印あるいは蔵書印として名前が彫られ
    た、いわゆる水晶製の印鑑を120点あまり入手した。
     材質も透明、紫、インクルージョン入りと各種あり、実際に使われていた
    ことがもわかった。
     古い文献やカタログにある現物がほとんど揃ったので、違った水晶製品を
    収集しておきたいと思うこのごろである。
    

5.参考文献

 1)山梨物産会社編:山梨物産会社商報,同社,昭和8〜9年
 2)山梨県水晶商工業協同組合編纂:水晶宝飾史,甲府商工会議所,昭和43年
 3)益富 寿之助:鉱物 −やさしい鉱物学− ,保育社,昭和60年
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