山梨県産 水晶印材コレクション-その2-

1.初めに

 2003年3月に甲府市で開催された骨董市で水晶印材を出品しているお店があり
早速何本か購入した。
 それらの内の何本かは、「山」、「星」などのインクルージョンが入った
山梨県産の水晶の特徴を備えた印材だったからで、購入したもの1点、1点良く
見ると類稀な天然の美しさがあり、”自然は偉大な芸術家”と改めて認識させ
られます。
 山梨県六郷町にある「印章資料館」を訪れたが、印材そのものは、余り展示されて
おらず、説明の方のお話では、現在入手するのは、難しいだろうとのことであった。
 その後も、骨董市に行く度、水晶印材には眼を光らせていたが、なかなか出物は
なかった。
 2003年10月の甲府市で開催された骨董市に県外の骨董商が、水晶印材を出展して
いたので、43本纏めて購入した。
 印材として水晶がもてはやされた時代はとうに過ぎ去り、今後作られることも
少ないので、大切に保管していきたい。
(2003年10月入手)

2.「水晶印材」採集品

 水晶印材は、縦3行、横5列、15舛のフェルト張りの蓋付きケースに収納されています。
それぞれの枡には、1〜5本の印材が入れてある。そして、1本だけ、水晶原石も入っていた。

  水晶印材

(1)コレクションの概要
   角・丸・甲丸(楕円)の様々な大きさの43点の水晶印材は、大きく2つのグループに
  分けられます。

   @2003年3月に購入したと同じロットの残りで、印刷したラベルに「xxx号」と
    細字黒ペン書き記入されているもの、21本

    印材@

   A”價正”と印刷した下に”四文字刻  二、二〇”と
    ペン書され、”丸停”と押印されたラベルが    貼り付けられたもの、22本
    @よりも、後の時代になって作られたものと考えられます。
    印材A

(2)印材原石
    印材原石の産地は、分かりませんが、透明度、結晶形態から”乙女鉱山産”と
   考えています。
    印材原石

3.「水晶印材」の値段

   今回、私が骨董市で購入した水晶印材に付いていた”正価 2、20”は、2円20銭を
  表示していると考えられます。
   ラベルが”左書き”であることから、第二次世界大戦以前に作られたものであることは
  間違いなく、昭和初期の雰囲気です。
   この当時の、2円20銭がどの位の価値があったのか、米の値段で比較してみますと
  昭和初期の米1俵(60kg)が、15円だったそうですから、米が10kg弱買える計算に
  なります。現在の値段で、5,000円と言ったところでしょうか。

4.おわりに

(1)山梨県の名産は”葡萄”と”水晶”と言われ、水晶印材は、全国各地に販売されましたが
   現在県内に残っているものは、極めて少ないようです。
    山梨県六郷町にある「印章資料館」にも、それほどありません。今回、私が購入した
   ものも、県外の骨董商からでした。
(2)水晶印材には、千葉の石友・Oさんも興味があるとのことで、今度お会いしたときに
   「角印」をお渡しする予定です。
(3)山梨県産の水晶とその製品(安価なもの)を収集し、後世に残して残したいと考えて
   います。

5.参考文献

1)堀 秀道:水晶No14 百瀬康吉水晶コレクション,鉱物同志会,2001年
2)山梨県水晶商工業協同組合編纂:水晶宝飾誌,甲府商工会議所,昭和43年
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