このページの「おわりに」で、『 紫水晶は黒平のいくつかの場所で採集できる可能性が
最近、本格的な梅雨を迎え、フィールドに出られない日は、採集品を整形、クリーニング
○○沢とA・Sさんが「紫水晶」を採集した産地は直線距離にして数キロしか離れておらず
最近、O鉱山が採集禁止になり、そこをフィールドにしていた人たちが黒平に入っている
(2) 水晶/石英【Rock Crystal/QUARTZ:SiO2】
( ”Jacare”(ジャカレー)とは、ポルトガル語で”ワニ”の意味 )
(3) このほか、○○沢では「長石」「雲母」などのほか「苗木石」などの「変種ジルコン」
黒平の古老から聞いた○○○の産地は未だ確認できていないので、”足腰が達者
益富先生の「鉱物」にある紫水晶のうち、「鳥取県藤屋」「韓国白巌山」などのものは
(2) 今回の紫水晶も採集した時点では全くわからず、標本整理の段階で気付いた次第
( Amethyst from Kurobera , Kofu City , Yamanashi Pref. )
ありそうだ 』 、と書いた。
そしてラベル付けするなど整理作業に追われている。最近黒平の○○沢で採集した標本
を観察していて、「紫水晶」が混じっているのに気付いた。
「黒平には紫水晶産地がいくつかあるだろう」、と言う”予想が的中した”ことになる。
という噂を聞いた。HPにも書いた”M晶洞”などは、”ゲス板”まで持ち去られてしまい、影も
形もない。
今回紹介した「紫水晶」は、雨塚山や鉛沢のものと違い、『 欲しい 』、という人は少ない
(いない?)だろう。黒平の範囲は広大で、”多くの人が見向きもしない” このような
「紫水晶」や「希元素鉱物」などを秘めている手付かずの晶洞が残されいるはずで、まだ
まだ楽しめそうだ。
( 2007年7月採集 )
2. 産地
黒平については、多くの情報が出ているので詳細は割愛する。
3. 産状と採集方法
水晶や長石そして希元素鉱物などのペグマタイト鉱物は、ペグマタイトの晶洞(Pocket)
とその周辺の石英、長石帯にある。
真砂の上に落ちている水晶、長石の破片や微晶を手がかりに上に登り、崖の表面
を良く観察したり、積もっている真砂や表土を取り除き、ペグマタイト部分を探す。
晶洞が崩落して、水晶などのペグマタイト鉱物が真砂の上や沢筋に落ちていることもあり
運が良ければ、表面採集でも美晶や興味深い標本を採集できることもある。
今回の「紫水晶」は”表面採集”だった。
4. 産出鉱物
(1) 紫水晶/石英【Amethyst/QUARTZ:SiO2】
晶洞の壁にへばりつく大きな水晶の柱面の上に成長した水晶(子持ち水晶の子ども)
で、柱面から錐面にかけてほんのりとした紫色に色づいている。
紫水晶の紫色の原因は、石英【SiO2】の珪素(Si)の一部を鉄(Fe)イオン)が置き換えて
いるためとされる。○○沢では鉄を含む「針鉄鉱(褐鉄鉱)」が晶洞の中に充満している
ことが多く、かつて鉄分を含む熱水が通ったことを裏付けている。
しかも、今まで入手した3ポイントの「紫水晶」は、「松茸」「子持ち」「ファントム(山入り)」
状になっており、熱水の組成が変化し、極めて狭い範囲で、”偶然”、「紫水晶」が生ま
れたらしい。
全体 拡大
紫水晶
○○沢の水晶は”透明”が多く、「松茸水晶」が多産した。また、10センチ近い
大きな水晶の柱面には、多数の結晶や成長面の段々が見られ、まるでワニの肌の
ようで、愛知県の石友・Iさんなら、さしずめ 『ジャカレー水晶』 、と呼ぶだろう。
ジャカレー(ワニ)水晶
「正常ジルコン」そして「鋭錐石」「板チタン石」などが採集できたのは、既報の通り
である。
( Rare Element Minerals from Kurobera Part 3
Kofu City , Yamanashi Pref. )
5. おわりに
(1) これで、山梨県甲府市黒平で紫水晶が産出する(した)ばしょで、私が知っているのは
3箇所になった。
No 産地 標本確認 備 考
1 ○○沢 済み HP掲載
2 ○○○林道支線 済み HP掲載
3 ○○○ 済み
ファントム・アメシスト
(山入り)のような
累帯構造を示す黒平の古老から聞き取り
”産地未確認”
な内に”突き止めたい、と考えている。
「冠(かんむり)水晶」とも呼ばれる「松茸水晶」(鉱物学的には”平行連晶”の1種)を
している。
上表のポイントやキーワードの「松茸水晶」の産地を地図の上にプロットしてみると
「紫水晶」が出やすい場所が何となくあぶり出せそうなので、”新産地”も開拓してみた
い。
だ。これくらい判りにくく、「標本」としての見てくれも今ひとつなので、現地で捨てられ
てしまうケースもありうる。
採集や整理に当たっては、標本を以前にも増して、注意深く(大切に)取り扱わねば
と自戒する昨今である。
6. 参考文献
1)長島 乙吉・弘三:日本希元素鉱物,日本砿物趣味の会,1960年
2)柴田秀賢、須藤俊男:原色鉱物岩石検索図鑑,北隆館,昭和48年
3)益富 壽之助:鉱物 −やさしい鉱物学 -,保育社,昭和60年
4)益富地学会館監修:日本の鉱物,成美堂出版,1994年
5)中川 清:山梨県の水晶 水晶Vol.11 No.1,鉱物同志会,1998年
6)松原 聡:日本の鉱物,滑w習研究社,2003年