・ 長野県諏訪市霧ケ峰自然保護センタの鉱物
(Minerals of Kirigamine Nature Protection Center , Suwa City , Nagano Pref.)
2015年8月、HPを読んでメールをくれたTさん一家を和田峠に案内するため、待ち合わせ場所を最初
「霧ヶ峰自然保護センター」にしようとしたが水曜日で定休日のため、「八島ビジターセンター あざみ館」に
変更した。
「八島湿原」は知っていたが、ビジターセンターは初耳だった。それもそのはず、2015年4月24日にオー
プンして間もないのだ。
待ち合わせの短い時間の間に入館すると、湿原の植物や昆虫の展示のほかに地学・地質の展示もあり、
和田峠産のりっぱな「満バンざくろ石」がショーケースの中にあった。
和田峠の地質や鉱物を理解するのであれば、「霧ヶ峰自然保護センター」のほうがおすすめだが、「満バ
ンざくろ石」を見るだけでも価値はありそうだ。
( 2015年8月 訪問 )
3.2 地質関係の展示
地学・地質関係の展示物は、館の一番奥に一マスあるだけだ。
(1) 「八島湿原」の成り立ち
今からおよそ130万年前から75万年前にかけて、霧ヶ峰高原では霧ヶ峰火山が活発に活動して
いた。霧ヶ峰火山は富士山のような美しい形をしており、山頂は車山の東側にあったと考えられる。
霧ヶ峰火山は何回か噴火を繰り返した後、大爆発を起こして山頂が吹き飛んだ。そのときできた
ピークが霧ヶ峰高原の主峰・車山(1,925m)だ。
その後、雨などによって霧ヶ峰高原は浸食され、八島湿原は、鷲ケ峰((1,798m)の溶岩と霧ヶ峰
火山の溶岩によってできた窪地に発達した。
(2) 「霧ヶ峰火山群」の地質
霧ヶ峰火山群の地質図が展示してある。「満バンザクロ石」が産出するのは、この図で黄色く塗ら
れた『和田峠・大門溶岩』帯のようで、その範囲はかなり広い。「鉱物採集フィールド・ガイド」に掲載
された沢は、この溶岩帯のごくごく狭い範囲だ。
3.3 鉱物・岩石展示
(1) 「満バンざくろ石」
分離結晶が桐箱に入った状態で展示してある。左の単晶は、大きさが1センチ以上あり見ごたえの
ある標本だ。
その脇の箱に入った標本は、”これくらいだったら自分でも採れそうだ”と自信を与えてくれる標本だ。
(2) 黒曜石
古代人が石器の材料にした黒曜石が展示してある。灰色がかっている標本なので、「黒曜石」と
呼ぶには少し物足りない。
(2) 気になる環境変化
霧ヶ峰は四季折々の風景が素晴らしい。2015年6月に訪れると、「レンゲツツジ」が満開で、全山を
紅色に染めてきれいだった。
だが、待てよ。何か変だ。和田峠に通い始めた25年以上昔の平成元年ごろ、霧ヶ峰で「レンゲツツジ」
の花など見た記憶がないのだ。霧ヶ峰は本来草原で灌木などは生えてはならないはずなのに、この茂り
ようだ。
霧ヶ峰の夏の花といえば黄色い「ニッコウキスゲ」だが、「レンゲツツジ」に駆逐されてしまうのではないと
と危惧している。単なる杞憂に終わればよいのだが。