2018年秋のミネラル・ウオッチング










           2018年秋のミネラル・ウオッチング

          ( Mineral Watching Tour , Autumn 2018 , Nagano & Yamanashi Pref. )

1. はじめに

    私のHPを見て頂き、産地の情報を提供したり、案内して差し上げた人たちと春と秋にミネラル・ウオッチング
   を開催するようになって20年目を迎えた。
    今回は、この会が発足して間もないころから家族で参加してくれている、Sさんが2018年8月に亡くなったので
   『Sさんを偲ぶ会』として開催することにした。

    いつもながら、皆さんをどこに案内するかで頭を悩ます。長野県川上村の湯沼鉱泉に宿泊するのが前提だ
   から、訪れる産地はその周辺で、さらに20〜30名の集団が楽しめる場所となるとそうそう簡単には見つからない。

    長野県川上村周辺は今での十分楽しめる産地が多いので、ここ数年は参加者の好きな産地にグループで
   行ってもらうことにしている。問題なのは山梨県だ。できるだけ行った事がない産地に案内したいと思い、何か所
   か下見して、ここなら楽しんでもらえそうと思うポイントを探し出した。

    こうして、長野県と山梨県を舞台に開催した。
   ( 2018年10月 )

2. 【第1日目】

 (1) グループ別に集合
      第1日目の参加者は24名だった。グループに分かれて次のような産地を訪れることになっていた。この日の宿
     「湯沼鉱泉」に昼前後に到着する人は、個別の行動になった。

      Aグループ      川上村甲武信鉱山貯鉱場
      Bグループ      山梨県水晶産地
      Cグループ      甲武信鉱山
      Dグループ      山梨県希元素鉱物産地

      私は、Dグループの11名と行動を共にした。AグループはDグループに次いで人数が多く、この会に初めて参加
     する女性2人(栃木県のMs.Sさん、Ms.Oさん)もいるので、貯鉱場手前の梓川を鞍山に渡れるか心配だった。
     前の週に湯沼鉱泉に宿泊し、貯鉱場を訪れた兵庫・N夫妻から「橋は半分から先が壊れていた」、と聞いた
     ので、ミネラル・ウオッチングの2日前に点検・補修しておくことにした。

      橋は、7月に小中学生を案内するため補修しておいたのだが、その後の集中豪雨や台風の豪雨で壊れて
     いた。片方の橋げた代わりの倒木は途中で折れ、水没し、楽に歩けるように取り付けた横木は全部外れて
     しまっていた。
      川岸の林の中でまだ生木に近い太いカラマツの倒木を探しだした。これを一人で運べるかが問題だ。木の
     直径(15センチ)、比重(水分が多いので水と同じ約1と仮定)から、1メートルあたりの重さは、約17キロだ。
      担いで運ぶなら大人一人75キロが限界だが、一端を抱え他端を引きずるのならこの倍は行けそうだから
     10メートルくらいなら何とかなりそうだ。(念のため、スマホの計算機で検算だ)
      こうして、2時間あまりで橋の補修は完了した。
      (恒久的な橋を作りたいのだが、一人では無理そうだ)
   

          
                         Before                               After
                                                        【撮影:神奈川Hさん】

 (2) 古刹・「雲峰寺」に集合
      Dグループの集合場所は山梨県甲州市の古刹・「雲峰寺」だ。ここは中山介山の超長編小説「大菩薩峠」
     の入口だ。
      集合時間9時少し前に行くと、すでに10名が集まっている。出発しようとしていると、HGさんが駆けつけてきた。
     これで参加者11名が全員そろった。すでに全員が」顔見知りなので、この日の行程を説明し、車を乗り合わせて
     出発だ。
      どこかの大学のワンゲルだろうか、重たそうなリュックを背負って林道ではない昔の登山道を一列になって登っ
     ていく。やはりここは、東京からも近く、百名山にも選ばれているだけのことはある。
      ヘアピンの多いすれ違いも容易でない林道をぐんぐん標高を上げていく。途中で、5台だかのタクシーが一塊
     で下ってきたのをやり過ごす。紅葉シーズ真っ盛りのこの日、塩山駅に降りた大勢の登山客を運んで戻って
     きたのだ。
      時々、雨がぱらつくが、徐々に明るくなってきている。”晴れ男”健在だ。

      さらに標高を上げると、紅葉に染まった山肌の間から”雲海”が見える。車を停めて、しばし撮影タイムだ。
     30分ほど走って、産地手前の

       
                 紅葉に染まる山々と”雲海”

 (3) 希元素鉱物・「褐簾石-Ce」採集
      最近は、産地車横付けを希望する人が多くなった。ここは、その条件にかなう産地の1つだろうと思って選ん
     だ場所だ。ここを訪れるのは2012年8月以来だから、6年ぶりになる。

     ・山梨県大菩薩峠の褐簾石 その2
      ( ALLANITE-(Ce) from Daibosatsu Pass - Part 2 - , Yamanashi Pref. )

      産地の現状調査、安全確認で、ミネラル・ウオッチングの3週間ほど前に下見に行った。6年前、沢には
     褐簾石を含む転石とその源の大きな露頭があったのだが、その後某「同志会」が採集会を開くなどしたため
     めっきり少なくなっていた。私が露頭と思ったのは「転石」だということもこの採集会の報告書にあった。
      それでも、褐簾石を含む大きな転石が残っていて、たぶんこれが最後の採集になるだろうと思われた。

      タガネとハンマで大割し、その表面を観察して褐簾石がある部分を残すように割り、それをさらに小割して、
     標本になるものと”ズリ石”とに分ける。標本になりそうなものは、1箇所にまとめて置き、最後に分配だ。

          
                         大割                                小割して陳列
                     【撮影:長野MTさん】

      標本も溜まり、時間も12時を過ぎたので、お昼だ。今回は少人数だし、標高が1,500mを超える産地は
     寒いので身体が温まるカップ麺を提供することにした。
      お湯を沸かす「シングル・バーナー」と予備ボンベ、そして薬缶(ヤカン)とミネラル・ウオーターをペットボトルで
     4リットル担いで行ったのだ。

          
                      お湯を沸かす                          カップ麺をいただきま〜ス
                                      【撮影:長野MTさん】

      暖かいカップ麺を食べ、”まんぷく”になると、幸せな気分になる。残り小さくなった転石を割り終わると撤収だ。
     引き揚げる前に標本の分配だ。ルールは、私とジャンケンして勝った人で順番を決め、上位→下位→上位の順
     で好きな標本を取っていく。

      手に豆を作るまで大割に頑張ってくれた京都・TNさんがトップだ。やはり、神様は見てくれているようだ。しかし、
     欲のないTNさんは、私が一番良いと思った『頭の錐面と柱面が完全な標本』は大きいからと選ばず、小さなもの
     を選んだ。従って、この標本は2番目のN夫人の手に収まった。

      ここでは褐簾石以外に目ぼしい鉱物は少なく、量的に多いのは「鉄雲母」 だろうか。しかも、「金雲母」
     のようになったものがほとんどだ。長野・MTさんが採集した「セリウム褐簾石」を紹介する。
      ペグマタイト塊には晶洞がほとんどなく、あっても小さいので水晶などの結晶はほとんど成長できないのだ。
     それでも3面しかない小さな不完全水晶があったので、持ち帰った。これが私の唯一の採集品だ。

           
                「セリウム褐簾石」               晶洞に張付き水晶
             【採集、撮影:長野・MTさん】

 (4) 最後はパンニングインだ。
      長島父子の「日本希元素鉱物」の「山梨県野ペグマタイト」の章に、『大菩薩嶺 山梨県下にウランの
     大鉱床があるからと調査を頼まれて昭和27年初夏、・・・・・サーベイメーターを持って連れて行かれたのが
     ハイキングの地、大菩薩峠である。・・・・〇〇〇小屋西の小沢には、パンニングで少量の灰重石が見出され
     た。・・・・・』
、とある。希元素鉱物が収集ジャンルの長野・MTさんは、沢の土石を持っており、水が
     豊富な沢でパンニングを試みた。

       
                    パンニングするMTさん

      結果は、小さな褐簾石が見出されただけだった。

 (5) 再び「雲峰寺」に
      1時ごろ、車に戻り、雲峰寺に向かう。登ってくる車も少なくない。朝は、曇ってときどき雨がぱらついていたが、
     すっかり晴れ上がり、標高が下がるに従い暑くなってきた。日に映えて紅葉が一段と美しい。

       
                      紅葉が美しい
                   【撮影:兵庫・Nさん】

 (6) 「湯沼鉱泉」で会いましょう
      夕方6時ごろまでに「湯沼鉱泉」に集合することにして、ここで一旦お別れする。この近くにある「大菩薩の湯」
     で汗を流していこうという人やブドウの名産地でお土産に買う人もいた。

      私は一旦甲府の家に立ち寄り、宿泊に必要な衣類とその夜の「オークション」や「大人の時間」に提供する
     鉱物、書籍、ワインなどを積み込んで信州峠を越えて川上村に入る。
      湯沼鉱泉に到着したのは、いつもよりも2時間近く早い16時を少し回ったところだった。

3. 【湯沼鉱泉の夜は更けて】

    湯沼鉱泉の駐車場に戻ったら、Aグループ、栃木のMs.Sさん、Ms.Oさんがいた。Ms.Sさんとは、T大生を長野県
   の産地に案内して以来だから、6年ぶりになる。この会に参加するのは初めてだ。初参加のMs.Oさんは、同僚との
   こと(Ms.Oさんは「上司です」という)。

    今夜の主役・Sさんの奥さんも到着していた。息子さんが急に同行できなくなり、一人で車を運転してきてくれた
   とのこと。
    やがて、Bグループの茨城・K兄弟が戻ってきた。2016年に案内した産地を再訪した結果、予想以上に収穫が
   あったようだ。

    山梨・Sさんが、初参加の東京・Sさんを連れて宿に戻ってきた。今回は、川上村の産地を訪れる計画のようだ。

    いつものように、宴会場の一隅が「オークション」、舞台が「玉手箱」の会場だ。続々と「オークション」と「玉手箱」
   の標本が集まり、担当者がテーブルの上に並べていく。
    今回参加できなかった滋賀・Nさんが送ってくれたトパズ4点もオークションのテーブルに並ぶ。愛知・Hさんが地元
   名産の煎餅を送ってくれていた。

    このように、参加できないメンバーに支えられていただいているのも、この会が長続きできている大きな理由だろ
   う。

 (1) 「Sさんを偲ぶ会」
      19時30分ごろ大広間に皆さん集まってきた。司会・進行を東京・Kさんにお願いした。冒頭、私から、この
     8月に亡くなられたSさん偲ぶ会にしたいという趣旨を述べ、遠路来ていただいた奥さんのAさんから挨拶をいた
     だいた。
      息子さんが小さかったころ家族そろって鉱物採集を楽しまれ、最近では写真撮影や温泉を一人で巡るのを
     楽しみしておられたようだ。奥さんからの「皆さん健康には十分注意してください」、と呼びかけには合点した。
      兵庫・Nさんの献杯の挨拶で、会がスタートした。

          
         挨拶するSさんの奥さん             Nさんの「献杯」の挨拶

 (2) 松茸がタップリ
      老朽化した建物で必ずしも快適とは言い難い宿だが、今回は宿の持山で社長が採集した松茸料理が
     タップリ出された。鍋には、大きくて分厚く切った松茸が入り、〆は松茸ご飯だ。

       
                  分厚い松茸が入った鍋
                  【撮影:横浜・Ms.Tさん】

 (3) 参加者の挨拶
      しばし歓談の後、参加者の挨拶だ。Sさんを知らない参加者も少なくなく、その方々には近況を報告して
     いただいた。
      Sさんの思い出を語る人々の中には感極まって絶句されたり、涙ぐむ方もおられ、Sさんがいかに慕われていた
     か、改めて知ったかたも多かった。

             
               良くご一緒したT夫妻              指導を受けたHGさん                   良くご一緒したO弟

          
              同じころ入会したN夫妻            採集の思い出を語るHDさん

      初参加の東京・Sさん、栃木のMs.Sさん、Ms.Oさんからも挨拶していただいた。Ms.Sさんから、早くも
     「次回も参加したい」、とメールをいただいた。

             
           新入会東京・Sさん                栃木・Oさん                栃木・Sさん

      すっかり顔なじみになったメンバーからの近況報告があった。まずは、京都・TNさんグループの3人だ。大阪・
     TMさんは、ようやく顔と名前が一致するようになったのに、故郷の九州に戻られるということで、しばらく会えなく
     なるのが寂しい。

             
             京都・TNさん                 大阪・TMさん               滋賀・YWさん

      いつも司会・進行を担当してくれているKさん、新産地開拓が得意の静岡・STさん、そして砂金掘りで採集
     した大粒の砂金を「オークション」に提供してくれる千葉・AZさん。この日は、「貯鉱場」グループの案内役を
     果たしていただいた。

             
             東京・Kさん                 静岡・STさん               千葉・AZさん

      この日は、山梨の水晶産地を訪れた茨城・K兄弟。お兄さんは先日民放TVに出演したと、千葉のグリコさん
     が教えてくれた。長野・MTさんが持っていたデジカメは、GPS、深度合成、1センチ接写、顕微鏡撮影などなど
     機能充実、その上防水、耐ショックと欲しくなる品だ。彼の鉱物鑑定力は、このグループ一番だ。
      神奈川・O妹は、”〇〇のデパート”みたいだが、そのタフさには脱帽だ。

             
                  茨城・K兄弟                  長野・MTさん                神奈川・O妹

      写真には写らなかったが、山梨・SMさんは、長野や山梨の産地に通い詰め、「オークション」に出品する標本
     のレベルが上がってきている。

 (4) 「オークション」
      宴会を終え、「オークション」に移ったのは、8時半過ぎだった。今回もオークショナーは、定評のある兵庫・
     N夫人だ。ユーモア溢れる売り声に釣られて売り上げは順調に伸びる。

       
                       オークション

      IT化の波はミネラル・ウオッチングにまで及び、PCが大活躍で、この会がスタートした20年前に、黒板に手書
     きしていたのとは様変わりだ。
      長野・MTさんの手で、標本名・産地・出品者・落札者・落金額がPCに次々と入力されていく。

       
                 PCにデータ入力するMTさん
          (中央奥に浴衣姿の山梨・SMさんが写っている)

      翌朝の追加2点を加え、103点が落札され、売上高は49,400円で、一人平均約2,000円参加費が安く
     なった計算だ。

      MTさんが入力してくれたEXCELデータを一覧表にしてみた。このミネラル・ウオッチングに参加される皆さん
     の鑑定眼は確かなようで、希少な標本は競る人も多く、市価に比べれば大幅に廉(やす)いものの、それ
     なりの高値がついた。

      一部の標本は、『採集禁止』になる前の採集品や『購入品』であることをご承知ください。
      というわけで、産地名には、旧い郡市町村名のものがあります。

No 標本名 産地 出品者 落札者 落札値(円)
No   標    本    名   産   地 出品者  落札者 落札価格
1 緑水晶 秋田県荒川鉱山 Ms.T 大阪・TM 500
2 緑水晶 秋田県荒川鉱山 Ms.T 京都・TN 300
3 緑水晶 秋田県荒川鉱山 Ms.T 神奈川・HG 500
4 琥珀 岩手県野田村 Ms.T 大阪・TM 400
5 黒曜石 栃木県高原山 Ms.S 神奈川・HD 500
6 黒曜石 栃木県高原山 Ms.S MH 500
7 トパズ 滋賀県田上山 滋賀・N 神奈川・HG 300
8 トパズ 三重県水沢 滋賀・N 長野・MT 500
9 トパズ 三重県水沢 滋賀・N 千葉・AZ 500
10 トパズ 三重県水沢 滋賀・N Ms.S 500
11 黒曜石 長野県和田峠 MH 山梨・SM 300
12 満礬石榴石(母岩つき) 長野県和田峠 MH 大阪・TM 300
13 セリウム褐簾石 山梨県大菩薩峠 MH Ms.S 500
14 セリウム褐簾石 山梨県大菩薩峠 MH 千葉・AZ 300
15 セリウム褐簾石 山梨県大菩薩峠 MH O妹 300
16 セリウム褐簾石 山梨県大菩薩峠 MH Ms.T 300
17 セリウム褐簾石 山梨県大菩薩峠 MH 山梨・SM 200
18 セリウム褐簾石 山梨県大菩薩峠 MH O妹 300
19 アイスランドスパー 長野県甲武信鉱山 MH 大阪・TM 100
20 オリビンサンド ハワイ島 MH 神奈川・HD 300
21 水晶(八種類セット) 長野県小川山 MH 大阪・TM 3,000
22 紅柱石 京都府和束町 京都・TN 山梨・SM 100
23 水晶 京都府甘南備山 京都・TN Ms.T 300
24 ヒスイ輝石 糸魚川市青海 京都・TN 滋賀・YW 1,000
25 レインボー石榴石 奈良県天川村 京都・TN 静岡・ST 1,000
26 レインボー石榴石 奈良県天川村 京都・TN 千葉・AZ 1,000
27 輝水鉛鉱(セット) 兵庫県宍粟鉱山 兵庫・N MH 300
28 錫石 京都府行者山 兵庫・N 長野・MT 300
29 青色オパール 石川県菩提寺 兵庫・N 大阪・TM 1,000
30 水晶・束沸石セット 神奈川県玄倉 愛知・S 東京・S 500
31 水晶・束沸石セット 神奈川県玄倉 愛知・S 長野・MT 500
32 水晶・束沸石セット 神奈川県玄倉 愛知・S O妹 500
33 水晶・束沸石セット 神奈川県玄倉 愛知・S Ms.S 500
34 水晶・束沸石セット 神奈川県玄倉 愛知・S 大阪・TM 500
35 水晶・束沸石セット 神奈川県玄倉 愛知・S 滋賀・YW 500
36 水晶・束沸石セット 神奈川県玄倉 愛知・S 山梨・SM 500
37 水晶・束沸石セット 神奈川県玄倉 愛知・S 静岡・ST 500
38 水晶・束沸石セット 神奈川県玄倉 愛知・S 神奈川・HG 500
39 水晶・束沸石セット 神奈川県玄倉 愛知・S 千葉・AZ 500
40 水晶・束沸石セット 神奈川県玄倉 愛知・S 兵庫・N 500
41 水晶・束沸石セット 神奈川県玄倉 愛知・S 京都・TN 500
42 水晶・束沸石セット 神奈川県玄倉 愛知・S MH 500
43 角閃石 神奈川県玄倉 愛知・S MH 200
44 黄鉄鉱 神奈川県玄倉 愛知・S MH 200
45 孔雀石 神奈川県玄倉 愛知・S MH 100
46 黄鉄鉱・白鉄鉱 神奈川県玄倉 愛知・S MH 100
47 黄鉄鉱 岩手県和賀仙人鉱山 長野・MT Ms.T 100
48 鉄電気石 山梨県黒平町 長野・MT 神奈川・HG 400
49 黄鉄鉱 群馬県御堂沢 長野・MT 大阪・TM 400
50 フェルグソン石 茨城県高萩市下大能 長野・MT 兵庫・N 300
51 微斜長石(セット) 山梨県黒平町 山梨・SM 大阪・TM 300
52 微斜長石(セット) 山梨県黒平町 山梨・SM 兵庫・N 300
53 水晶・微斜長石セット 山梨県黒平町 山梨・SM 滋賀・YW 200
54 水晶・微斜長石セット 山梨県黒平町 山梨・SM MH 200
55 水晶 山梨県三富珪石山 山梨・SM MH 200
56 水晶 山梨県黒平町向山鉱山 山梨・SM 静岡・ST 300
57 水晶セット 長野県御座山 山梨・SM 茨城・K兄弟 300
58 水晶セット 長野県御座山 山梨・SM 滋賀・YW 300
59 水晶セット 長野県御座山 山梨・SM 長野・MT 300
60 水晶セット 長野県御座山 山梨・SM 京都・TN 300
61 毒鉄鉱 山梨県黒平町出穴坑 MH 長野・MT 300
62 毒鉄鉱 山梨県黒平町出穴坑 MH 神奈川・HG 300
63 赤鉄鉱 岩手県和賀仙人鉱山 O弟 大阪・TM 300
64 赤鉄鉱 岩手県和賀仙人鉱山 O弟 静岡・ST 300
65 赤鉄鉱 岩手県和賀仙人鉱山 O弟 山梨・SM 200
66 蛍石 和歌山県大塔鉱山 O弟 滋賀・YW 200
67 レインボー石榴石 奈良県天川村 O弟 茨城・K兄弟 500
68 普通輝石 宮城県蔵王 O弟 MH 300
69 普通輝石 宮城県蔵王 O弟 長野・MT 300
70 普通輝石 宮城県蔵王 O弟 長野・MT 300
71 藍鉄鉱 京都府東畑 O弟 MH 100
72 "桜石” 京都府亀岡市 O弟 神奈川・HD 300
73 "砂鉄” 新潟県寺泊野積 O弟 MH 100
74 自然金(砂金) 茨城県久慈郡八溝川 千葉・AZ 神奈川・HD 3,000
75 自然金(砂金) 茨城県久慈郡八溝川 千葉・AZ 滋賀・YW 3,000
76 煙水晶 滋賀県田上山 神奈川・HG 山梨・SM 200
77 水晶 長野県竜王第二鉱山 神奈川・HG Ms.S 100
78 水晶 石川県遊泉寺鉱山 神奈川・HG 山梨・SM 100
79 水晶 石川県遊泉寺鉱山 神奈川・HG 滋賀・YW 100
80 水晶 石川県金平町滝裏山 神奈川・HG 大阪・TM 100
81 含クロム白雲母 長野県金鶏鉱山 神奈川・HG 山梨・SM 100
82 ピアス 手製 Ms.S MH 300
83 ピアス 手製 Ms.S MH 300
84 ペンダント 手製 Ms.S 京都・TN 500
85 ペンダント 手製 Ms.S MH 500
86 指輪 手製 Ms.S 大阪・TM 300
87 指輪 手製 Ms.S 東京・K 300
88 キーホルダー 手製 Ms.S 兵庫・N 300
89 キーホルダー 手製 Ms.S 神奈川・HD 300
90 キーホルダー 手製 Ms.S O弟 300
91 ガマ口 手製 Ms.S 京都・TN 500
92 ガマ口 手製 Ms.S MH 500
93 キーケース 手製 Ms.S Ms.T 500
94 関東と周辺の鉱物(書籍) 鉱物同志会 MH 神奈川・HD 3,000
95 鉱物コレクション 神奈川・HD MH 300
96 石の思い出 神奈川・HD MH 500
97 神奈川の自然図鑑(岩石・鉱物・地層) 神奈川・HD Ms.T 400
98 宝石は語る 山梨・SM MH 300
99 プロが本音で語る 新宝石の常識 山梨・SM MH 300
100 三脚 愛知・S 大阪・TM 500
101 三脚 愛知・S Ms.T 500
102 日本酒 滋賀・YW 兵庫・N 1,200
103 日本酒 大阪・TM 兵庫・N 1,200
合         計 49,400

    一番の高額落札品は、4点が3,000円で落札された。その内2点は、千葉・AZさんが出品したナゲット級の
     砂金だった。重さが全部で1グラム弱あり、金地金だけでも4,000円を超える価値がある。

      他の2点は、私が出品した鉱物同志会が2017年に出版した「関東と周辺の鉱物」と「川上村〇〇〇の
     水晶(8本セット)」だ。

      これらは、私の『終活』の一環として整理した品の中から提供したもので、これからも続々と提供することに
     なりそうだ。
      ( 妻や子どもにとっては、”邪魔”なものに過ぎないのだろうから )

 (5) 「標本玉手箱」
      故益富寿之助博士が始められたと同じように、参加者が入手した重品を持ち寄って、欲しい人に無料
     で配布する「標本玉手箱」を今回も開催した。
      女性を優先し、次にジャンケンで順番を決めた男性に好きな標本を取ってもらう。最後には好きなものを
     好きなだけ取ってもらうことにして、”売れ残り”は少なかった。

 (6) 「大人の時間」
      時計は23時近かったが恒例の”大人の時間”を開催した。参加者が持ち寄った地元の銘酒を酌み交わし
     ながら鉱物談義に花を咲かせた。

       気が付けば0時近くになっていたので、お開きにした。

4. 【第2日目】

 (1) 2日目のスタートだ!!
      2日目、朝6時過ぎに起きる。天気予報通り、晴れだ。ただ、冷え込みが厳しく、外に出てみると自動車の
     フロントグラスは凍り付いている。

      長野・MTさんは、この日用事があるため昨夜のうちに帰宅した。神奈川・HGさんは、昨夜実家から呼び出しが
     あり、京都に向かった。

      早朝の訪問客があった。愛知県のKNさんだ。私がミネラル・ウオッチングを始めて間もない平成3年ごろ、
     2人で甲武信鉱山を訪れて以来のお付き合いだ。近くに来て、われわれ一行が宿泊していると聞いて立ち
     寄ってくれた。
      知り合ったばかりのころは、甲武信鉱山の山の中を縦横に駆け回っていたのに、今では車横づけの産地
     でも青息吐息だと嘆いていた。

       
                  石友・KNさんとの邂逅

      また、ご一緒することを約束したお別れした。

      7時過ぎに全員そろって朝食だ。皆さんが食事している間に、PCに宿泊料金を入力すると、個人・グループ
     別の参加費が一発で出る。
      会計のT夫妻が集金してくれ、1円の違いもなく、”御名算”だ。次回への繰越金850円は私が預かる。

 (2) 出発前のセレモニー
      お姐さんが作ってくれた昼食を持って出発準備だ。午前8時に前庭に集合する。出発前に湯沼鉱泉の
     前で、社長とお姐さんを囲んで記念写真を撮る。

       
                  社長・お姐さんを囲んで記念写真
                         【撮影:O弟】

      山梨・SMさん、東京・Sさん、神奈川・O妹とは、ここでお別れだ。

 (4) お昼まで「朝飯前」で採集だ?!
      10年ほど前まで、宿の朝食までに帰ってくる早朝水晶採集を行っていた。湯沼鉱泉がある「居倉(いぐら)」
     の「角閃石入り水晶」を産出する産地がいつの間にか「朝飯前」n固有名詞で呼ばれるようになった。
      ここで本格的な採集をやった人が少ないので、今回はここでジックリ採集することにした。宿から1キロほど
     の距離なので、ゆっくり歩いても30分もあれば着く。
      青空の下、秋の陽に照らされて紅葉が美しい。収穫を終え何もないレタス畑の間の農道を産地に向かって
     のぼって行く。

          
                    農道をノンビリ歩く                   昔乙女3人組
                                      【撮影:兵庫・Nさん】

      産地に着いて、産状や採集できる鉱物について説明した後、散らばって採集開始だ。

       
                      採集風景

      採集を始めて1時間ほどして、コーヒーブレイクだ。「シングル・バーナー」と薬缶(ヤカン)でお湯を沸かし、
     皆さんが集まってくるのを待つ。紙コップにカフェ・オーレを作って提供する。

          
                   湯沸し                          コーヒーブレイク

      この後、愛知・Sさん、神奈川・Ms.Tさん、滋賀・O弟は一足先に引き上げた。コーヒーを飲んでリフレッシュし、
     続きの場所や心機一転場所を変えてズリを掘る。
      栃木・Ms.Sさん、Ms.Oさんは2人並んでズリを掘り進む。”ポツ、ポツ”出ているようだ。その内、Ms.Sさんが
     歓声を上げた。見ると、6センチ弱のここでは”巨晶”と呼べるものを手にしていた。

          
                   ズリを掘るSさんとOさん         「出た!!」今日一
                   【撮影:滋賀・O弟】

      12時を過ぎ、お昼を食べ、下山だ。われわれと入れ違いに、2匹の犬を連れた女性が登ってきた。Ms.Gさん
     で、湯沼鉱泉の常連さんのようだが話をするのは初めてだ。確か、今年5月、亡くなった石友・TDさんの件で
     問い合わせのメールを頂いたことがあったが、見づ知らずの人だと思い素っ気ない態度をとってしまっていた。
      Ms.Gさんがシャッターを押してくれるというので、記念撮影だ。

       
                   「朝飯前」記念写真

 (5) また会う日まで
      いつも、お天気には悩まされることが多いミネラル・ウオッチングにしては、初日はマズマズ、2日目は快晴の
     天気だった。
      再会を約束して、皆さんとお別れした。

5. おわりに

 5.1 ”大勢の甘茶で探すと・・・・”
      ミネラル・ウオッチングで大勢で訪れると思いがけない発見をすることがある。それは、「あの場所は採れない」
     という先入観念がある私だったらまず探さないようなところを探す人がいるから、思いがけない良品や珍しい
     鉱物を発見することがある。

      オークション品を並べていると、、今回の参加した神奈川・HDさんが「今日、貯鉱場でカラミ(鉱滓)のような
     ものを拾ったのですが、本当にそうでしょうか」、と真っ黒い塊を差し出した。

       
               「カラミ(鉱滓(こうさい))」
                【採集:神奈川・HDさん】

      一目見て、カラミだとわかった。「これは貴重なものですよ」、と言うと、HDさんが「差し上げます」、と言って
     くれたので、ありがたく頂戴した。

      この場所は「貯鉱場」と呼ばれていて、「自然金」や「ホセ鉱A」、そして「輝蒼鉛鉱」などの高品位鉱石が
     採集できるので、これらを貯蔵して置くだけの場所だったと思っていたが、「カラミ」があるのは鉱石を溶解して
     いたことになる。
      ここでは大規模に鉱石を製錬した形跡はないから、小規模な「試(ためし)し吹き」をして、採掘する場所
     や坑道の掘進方向を決めるベースとなる金などの含有量を計測していたと想像される。これは、大鉱山や
     精錬所に鉱石を売る場合にも、いいように買い叩かれないよう、”手の内”を知っておく上でも必要なことだった。

      実は、数年前、私も山梨県の黄金沢金山跡で「カラミ」を採集しており、中小の鉱山では単に鉱石を採掘
     するだけでなく、事業の一環としてごく普通に行っていたのだ。

 5.2 下見の効果
      みなさんを案内するフィールドを求めて何か所か下見して回った。これは、@ ある程度の成果をギャランティ
     (保証)するのと A安全面でのチェック が主たる目的だ。

      新産地を開拓する時間的、体力的な余裕がなく、訪れたのは、何年か何十年か前に行ったことのある
     産地だけだった。

      とある露頭を叩くと、晶洞の中や母岩の割れ目に”キラキラ”と輝く結晶鉱物を発見した。周辺には「硫砒
     鉄鉱」などが見られるところから、どうやら2次鉱物の「毒鉄鉱」や「スコロド石」のようだ。
      2次鉱物が好きな人は少なくないので、次回のミネラル・ウオッチングの候補だ。

          
                      「毒鉄鉱」                     「スコロド石」

6. 参考文献

 1) 長島 乙吉、弘三:日本希元素鉱物,長島乙吉先生祝賀記念事業会,昭和35年
 2) 山田 滋夫:日本の鉱物産地総覧,つゆねこ企画,2017年
 3) 松原 總著:日本産鉱物種 第7版(2018),鉱物情報,2018年【正誤表反映済】
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