山梨県中澤第5晶洞の鉱物

          山梨県中澤第5晶洞の鉱物

1. 初めに

    2009年8月、石友Aさん親子とほぼ2年ぶりに山梨県北部の水晶産地を訪れたが、収
   穫は「ズングリの水晶」1本と「武石」だけだった。
    その後に訪れた産地では、、「美麗な煙水晶」そして「苗木石」を始めとする希元素鉱
   物を採集できた。ここを、2人の名前を取り『中澤第四晶洞』、と名付けさせていただき、
   詳細はHPに掲載した通りである。

   ・山梨県中澤第四晶洞の鉱物
    ( Minerals from Nakazawa No4 Pocket , Yamanashi Pref. )

    これに気を良くし(味を占め?)、2009年9月、山梨県北部の水晶産地をA・Sさんと再
   訪した。先行者が掘り込んだ露頭の続きを掘り初めて間もなく、大き目の「山入り水晶」
   の単晶が次々と姿を現した。しかし、その後は、”パタリ”と出なくなり、ペグマタイト脈を
   追いかけながら晶洞を探した。かれこれ、5時間近く粘った頃、ようやく『晶洞』に当り、
   「山入り水晶の群晶」とこの産地には似つかわしくない「やや太めの単晶」が採れた。

    このほか、チタン鉱物の「鋭錐石」と「板チタン石」の素晴らしい標本もあり、この産地を
   2人の名前を取って、『中澤第5晶洞』、と名付けてみた。

    同行いただいたA・Sさんに深く感謝している。
    ( 2009年9月 採集 )

2. 産地

    この地域について、多くの情報があるので、詳細は割愛する。

3. 産状と採集方法

    この産地も以前紹介した、『崩落ガマ』とペグマタイト脈中の『晶洞』
   それらに対応した採集方法を使い分ける必要がある。

       
           採集風景             採集品【良品のみ】
                   『中澤第5晶洞』

4. 産出鉱物

    今回のミネラル・ウオッチングで採集できたのは、@ 水晶(山入りなどインクルージョン、
   が楽しめる群晶など) A チタン鉱物 だった。

 (1) 山入り水晶/石英【Phantom QUARTZ/QUARTZ:SiO2
      今回採集できた水晶は、ほとんどが「山入り水晶」だった。近接している2つの晶洞
     からでたのだから当然と言えば当然なのだが。
      最初にできた水晶の表面にある押しつぶされたような微細な気泡が”山”の正体で
     薄っすらと雲がかかったように見えるものもあり、味わいがある。

       群晶【横 90mm】

 (2) 鋭錐石【ANATASE:TiO2
      赤黄色透明、ガラス光沢〜鋼l黒色、金属光沢の2種がある。結晶の形は一般的に
     は8面体で、反復双晶した際に生じたくびれ(条線)が見られる。
      今回、直方体様の結晶のものがあった。Danaの”A System of Mineralogy"に結晶
     図があり、稀なものではなさそうだ。( かなり昔、O鉱山で採集した記憶がある )

         
               八面体                    直方体
                                       【p面が上】
                           採集品

                     
               八面体                     直方体
                           結晶図
                  【System of Mineralogy から引用】

 (3) 板チタン石【BROOKITE:TiO2
      赤黄色透明、ガラス光沢の四角い薄板状で、表面に条線が見られる。

       板チタン石

5. おわりに 

 (1) 「晶洞探し」
      この産地では、今まで”ズリ堀り採集”だけだった。今回、A・Sさんに誘ってもらい、
     ”晶洞探し”に挑戦した。

      以前のページでも、2つの採集法のメリット・デメリットを比較したことがあるが、や
     はり得られる標本の質、という点で”晶洞探し”に軍配が上がりそうだ。

 (2) 「さらば疾風(はやて)」
      2009年6月末、長男夫婦から飼い犬「疾風」を預かって2ヶ月余りが経った。朝5時
     に起き、1時間近く散歩させ、それからミネラル・ウオッチングに出発し夕方の散歩時
     間に間に合うように帰るため、夫婦揃っての外出は難しく、山梨や長野県など近場の
     産地を巡るのが精一杯だった。

 2ヶ月あまりの
ズリ堀り特訓の成果を
ご覧ください。


・・・・冗談です。
”穴掘り”は犬の習性のようだ。
 おかげで、妻が大切にしている
”ローズマリー”の根元が掘られ
妻「トホホ・・・・・・・」


      嫁さんのお腹の子も5ヶ月目を迎え、安定期に入り、嫁さんの希望で、9月初めに
     疾風は横浜の長男宅に戻った。
      2ヶ月あまりの短い期間だったが、妻には別れが辛かったようだ。

      これから、2人で海外など遠出したい私達夫婦には”生き物は飼えない”、が私が
     得た教訓だった。

 (3) 動画に挑戦!!
      このページから、動画を取り入れてみた。@無料HPの容量が1GBにアップし数M B
     程度の画像も難なくアップ可能 A 読者の多くがブロードバンド化し、大容量画像も見
     られる など、環境が整ってきたおかげだ。

      いつか、『中澤第○晶洞発見!!』の模様を動画でお知らせしたいものだ。

6. 参考文献

 1) Edward.S.Dana:A System of Mineralogy 6th Edition , JOHN WILEY & SONS INC.
              1920年
 2) 山梨県・山梨県地質図編纂委員会編:山梨県地質誌 山梨県地質図説明書
                            同委員会,昭和45年
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