産出する範囲なども確認したくて、2週間後に再び訪れ、広い範囲に分布する
このポイントの入り口をカーナビに地点登録して、ここが「平久里」でなく「○○」
単身赴任で”無聊(ぶりょう)をかこっている”のを心配した石友、千葉のMさん
1月末に千葉県に単身赴任して以来、千葉県だけでもフィールドで5回ほど
産地には、露頭がむき出し、転石がゴロゴロしている場所があり、それらの中で
(2) 孔雀石【MALACHITE:Cu2CO3(OH)2】
(3) 赤銅鉱【CUPRITE:Cu2O】
加藤先生の「二次鉱物読本」に、『 超塩基性岩中の自然銅に伴われる
『 昨日、平久里の自然銅が届きました。ありがたく頂戴します。それに
昔、埼玉の和銅遺跡周辺で探した事を想いだしました。
かなり、高純度の銅の様で微少(0.5mm以下)の為、テスターに縫い
Hさんのメールにあった『和銅遺跡』で、思い出したことがある。今から
2008年1月、秩父を通りかかると「和銅奉献1300年」のポスターが目に
( COPPER from Heguri , Tomiyama Town , Chiba Pref. )
ことが確認でき、短時間で肉眼でもわかる標本をいくつか採集した。母岩も
蛇紋岩の場合があることも明らかになった。
共生する炭酸塩鉱物に「孔雀石」と思われる2次鉱物も初めて確認した。さらに
自然銅に伴う赤色鉱物は「赤銅鉱」で、千葉県として初めての報告では
ないだろうか。
だと知ったが、便宜上「平久里の自然銅」としてある。
さらに、富山町は、2006年3月、町村合併で南房総市になっているが、HPでは
ほかの産地にもあるように、旧町村名にしている。
からは貴重な文献、横浜のHさんからはDVD(送り主の名前から連想するもの
ではなく、NHK教育テレビの「地学講座」)を送っていただいた。
そのお礼に、新産地の自然銅をお送りしたところ、Hさんから”テスター”で電気
抵抗をチェックした結果、純度の高い銅だった、とのメールをいただいた。
( という事はほぼ毎週! )ミネラル・ウオッチングを楽しんでいるが、不思議な
ことに一度も石採りの人に会ったことがない。
まだまだ「千葉県は石(鉱物)なし県」と思われているのだろうか。(産地荒廃の
心配がないのは、ありがたいのだが・・・・)
( 2008年2月採集 3月再訪 )
2. 産地
千葉県富山町平久里は、館山自動車道「鋸南富山IC」でおり、10kmほどで
産地に到着する。
産地は、次の3箇所だが、1つ1つの範囲が広いので、今回のように、思わぬ
鉱物に出会える可能性も高い。
なお、産地Aの稼行中の採石場は、休みで、たまたま居合わせた方に了解を
得て採集させていただいたが、いつも採集できるとは限らないので、悪しからず
了解願いたい。
@旧採石場 A稼行中の採石場
B沢
産地
3. 産状と採集方法
「関東地方の鉱物」には、『 はんれい岩ペグマタイトの斜長石中に極微粒と
して産する. 』 、とある。
そのような産状のものもあるのだろうが、今回確認したのは前回の、『 緑黒色の
「かんらん岩」と思われる塊ではなく、「蛇紋岩」に伴っている 』
白い炭酸塩鉱物の脈が入った部分をハンマとタガネで割って破断面を観察する。
自然銅が見つかったら、その周辺の塊を小割りすると、肉眼サイズのものが
付いた標本を得ることができる。
何回かやっている内に、自然銅がきそうな母岩がわかってくるはずだ。
4. 産出鉱物
(1) 自然銅【COPPER:Cu】
”赤銅色”、薄い箔状で蛇紋岩の割れ目に産出する。
自然銅
ぺクトライトと思われる白色炭酸塩鉱物を鮮緑色に染める点状の”シミ”
として観察できた。
母岩が地表に出てから、2次的に生成した可能性もある。
孔雀石
赤色、箔状で自然銅に伴って観察できる。母岩が「かんらん岩」系のケース
には確認できなかったが、「蛇紋岩」の場合、自然銅に随伴するようである。
また、母岩に糸付き磁石を近づけると吸引するので、「磁鉄鉱」が鉱染して
いる。
赤銅鉱
場合には、母岩は必ずといってよい程蛇紋岩化が行われており、これに
伴って磁鉄鉱が生成されていることもある 』、とある通りの産状だ。
5. おわりに
(1) 和銅奉献1300年
新産地の「自然銅」を何人かの石友にお送りした。受け取った横浜のHさん
から、次のようなメールをいただいた。
しても、よくも野外であの小さな標本を見つけられたと眼力に感心した
次第です。
(確か千葉と同じ橄欖岩、蛇紋岩中です)
早速、ルーペで観察すると共にテスターで、導通を測りましたが立派に
低抵抗を示し金属である事が証明できました。
針を接続して押し付けたのですが、延性を示しました。
一方、銅の自然形が損なわれてしまう代償も払いました。 』
ちょうど1300年前、慶雲5年(708年)、秩父黒谷で自然銅の塊が発見され
朝廷に奉献された。
いたく感激した朝廷は、年号を「和銅元年」に改めたほどだった。
入り、これに関してHPにまとめてみたいと思い、とりあえず写真だけ撮って
おいた。
某所での取材もお願いしたのだが、急な話なので対応していただけなか
った。
ここも、取材に訪れたいものと思っている。
和銅奉献1300年ポスター
6. 参考文献
1) 加藤 昭、松原 聰:鉱物採集の旅 東京周辺をたずねて,築地書館,1982年
2) 松原 聰:関東地方の鉱物,鉱物情報100号記念出版物企画委員会
池田重夫技官退官記念会,平成10年
3) 加藤 昭:二次鉱物読本,関東鉱物同好会,2000年
4) 千葉県立中央博物館編纂:千葉県の鉱物,同館,2000年
5) 松原 聰、宮津 律郎:日本産鉱物型録,東海大学出版会,2006年