長野県川上村湯沼の角閃石入り水晶
長野県川上村湯沼の角閃石入り水晶
1.初めに
2003年の秋は、昨年と打って変って、甲府地方でも11月に入って25℃を越える
”夏日”になるなど、異常な天気です。しかし、冬の訪れが例年より遅く、今でも
産地に行けるので、大助かりです。
私のHPを見た愛知県のIさんが、11月初めの連休に「小川山」を案内して欲しい
とのメールがあった。同僚の女性2人も同行するとのことで、前日昼前に川上村入り
するとの事なので、湯沼の角閃石入り水晶産地を案内した。
女性のHCさんとHTさんは、鉱物採集が初めてとのことでしたが、自分で水晶を
掘りだして、大喜びでした。
湯沼鉱泉に帰って、「水晶洞」を拝観し、鉱物の素晴らしさ魅了されたようでした。
「水晶洞」でのIさん一行
(2003年11月採集)
2.産地
場所は、湯沼鉱泉の社長に教えてもらうと良いでしょう。
湯沼の角閃石入り水晶産地
3.産状と採集方法
湯沼鉱泉の社長の話では、ここでは、褐鉄鉱を採掘したそうです。晶洞の水晶を
渇鉄鉱が埋めたようで、水晶が無数に入った渇鉄鉱の大きな塊が転がっています。
板樋で、鉱石を山裾まで落とした際に、こぼれたものが、ズリになっているようです。
落ち葉の下の、赤玉土状のところを、小さなツルハシや熊手で掘り返して、採集します。
HCさん HTさん Iさん
湯沼角閃石入り水晶採集風景
4.採集鉱物
(1)角閃石入り水晶【Rock Crystal including Hedenbergite:SiO2】
水晶の中に、白〜黄褐色の細い針状の角閃石結晶が入っています。採集したばかりは
黄褐色の褐鉄鉱に覆われて、見栄えがしませんが、「蓚酸」溶液に漬けて、洗浄を繰り返すと
見違えるような、ピカピカ水晶に生まれ変わります。
表面には、金属光沢・八面体の繰り返し双晶をなす鋭錐石や黄褐色透明・六角板状の
板チタン石が付いていることもあるので、注意深く洗浄(ゴシゴシ洗わない)し、キレイに
なったらルーペで確認しましょう。
洗浄前 洗浄後【現在洗浄中】
角閃石入り水晶
5.おわりに
(1)湯沼鉱泉の社長からは、『小さな産地なので、1人数本にとどめ、採り過ぎ
ないように』との注意を受けています。産地保護に、ご協力をお願い致します。
私は、今回、1本だけ採集させていただきました。
(2)湯沼鉱泉の社長は、新たな展示室を増設すべく、重機と格闘していました。
完成する日が、楽しみです。
水晶洞の南では、「灰鉄ザクロ石」や「石膏」などが採集できることがあり
今回も、「灰クロムザクロ石」と見まごうばかりの鮮青緑色・半透明をしたザクロ石を
採集させていただいた。
6.参考文献
1)松原聰:日本産鉱物種,鉱物情報,1987年