湯沼鉱泉の鋭錐石付き水晶

湯沼鉱泉の鋭錐石付き水晶

1.初めに

2001年の長野県川上村採集納めとして、私のHPを通じて知り合った
Mさんと一緒に、「角閃石入り水晶」の産地を訪れ、6cmの両錐を
はじめ、「皮かむり」など頭付きを数本ほど採集した。
神戸大医学生のTさんから、『角閃石入り水晶に、鋭錐石がついているものも
あるそうで、確率は10%弱とのこと。未確認情報では、板チタン石も可能性あり』との
メールをいただいた。
採集したものを見てみると、水晶の表面や内部に鋭錐石がついたものがありました。
(2001年12月採集)

2.産地

2.1 「角閃石入り水晶」
場所は、湯沼鉱泉の社長に場所を教えてもらうと良いでしょう。
湯沼の角閃石入り水晶産地【2,3日前の雪が残る】

3.産状と採集方法

湯沼鉱泉の社長の話では、ここでは、褐鉄鉱を採掘したそうです。晶洞の水晶を
渇鉄鉱が埋めたようで、水晶が無数に入った渇鉄鉱の大きな塊が転がっています。
板樋で、鉱石を山裾まで落とした際に、こぼれたものが、ズリになっているようです。
落ち葉の下の、赤玉土状のところを、小さなツルハシや熊手で掘り返して、採集します。

4.産出鉱物

(1)角閃石入り水晶【Rock Crystal:SiO2】
ここの水晶は、ほとんどが白色・針状の角閃石が入っています。大きさは、6cmどまりで、
3cmクラスが最も多い。
表面が渇鉄鉱で覆われているものも多いので、頭付きは持ち帰り、蓚酸で処理すれば、
綺麗になります。
酸性雨のせいか、表面の渇鉄鉱が消え、表面がきれいな水晶の単晶や母岩付きもある。
両錐の角閃石入り水晶【球状の緑泥石も含む】
(2)皮かむり水晶【Rock Crystal:SiO2】
ここでは、石友のKさんが名付けた「皮かむり」と呼ぶ、逆松茸状の水晶が数%の確率で
存在します。
皮かむり水晶【逆松茸】
(3)鋭錐石つき水晶【Rock Crystal with Anatase:TiO2/SiO2】
表面にボツボツした凹凸のある水晶に最大1mm程度の鋭錐石が10ケくらいついている
ものが何個かありました。鋭錐石があるということは、同質異像の板チタン石があっても
不思議ではありません。
鋭錐石つき水晶

5.おわりに

(1)湯沼鉱泉の社長からは、『小さな産地なので、1人数本にとどめ、採り過ぎ
ないように』との注意を受けています。
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