長野県川上村湯沼鉱泉の灰バン石榴石

長野県川上村湯沼鉱泉の灰バン石榴石

1.初めに

甲武信鉱山や小川山に行く途中、右手に「天然水晶洞」の看板が出ています。
ここが、ハート形草入り日本式双晶で有名な湯沼鉱泉です。
鉱物好きな社長(大将と呼ぶ人もいる)が、10年以上かけて、自分の敷地から
掘り出したハート形草入り日本式双晶をはじめ、川上村産や日本各地の鉱物を
水晶洞で展示しています。

ハート形草入り日本式双晶【パンフレットより転載】

水晶洞の外のフィールド(広場)では、自由に鉱物を採集することができます。
川端下採集の帰りに、入山料を払うため、6ケ月ぶりに立ち寄ると最近敷地内から
灰バン石榴石がでたとのことで見せて頂きました。
見れば、結晶の大きさ、光沢、透明感のいずれの点でも今は幻の産地となった
栗生大理石採石場のものより数ランク上で、驚きました。
その片割れを、シッカリ頂いてきました。
(2002年11月採集)

2.産地

川上郷を秩父方面に向かって走ると、右手に「天然水晶洞」の看板が出ています。
坂道を登り、突き当たりを右折し、約150m先の2又を左に進むと、すぐに着きます。
宿泊客は、自由に水晶洞を見せてもらえます。

湯沼鉱泉の水晶洞【パンフレットより転載】

3.産状と採集方法

ここは、スカルン産地で、露頭の一部をそのままの状態で展示しています。
何といっても見逃せないのは、ここで採集した、ハート形草入り日本式双晶です。
水晶洞の外のフィールドは、露頭が所々、硫化鉱物のヤケで覆われ、各種の
2次鉱物や灰バン柘榴石などの、スカルン鉱物が採集できます。
湯沼鉱泉のフィールド

4.産出鉱物

(1)灰バン石榴石【Grossular:Ca3Al2(SiO4))3】
斜方12面体で、大きなものは2cmを超え、透明感のある薄緑色で、宝石と言っても
良いものです。
従来産出したものは、ヤケの酸の影響か、黄褐色でボロボロになりやすく、表面が
溶けたようになっていたのと”月とスッポン”の違いです。

(2)灰鉄輝石【Hedenbergite:Ca(Fe,Mg)Si2O6】
実体顕微鏡でのぞくと晶洞の中に、透明感のある緑色の柱状結晶でみられます。
(3)石膏【Gypsum:CaSO4・2H2O】
晶洞の中に、透明感のある針状結晶でみられます。

5.おわりに

(1)久しぶりに訪れ、社長と鉱物談義に花を咲かせました。灰バン石榴石の
素晴らしさを褒めちぎったところ、「気に入ったのを持って行け」となりました。
皆さんも、川端下や甲武信鉱山の採集の行き帰りに、ここに宿泊し、岩魚の活造りを
はじめ、山菜や茸など、季節、季節に地元で採れた食材を味わって、お土産を頂いて
帰っては如何でしょうか。
(2)私のHPの愛読者のご家族が宿泊していました。社長に教えてもらった
「梓鉱山の貯鉱場」で水晶などを採集し満足そうでした。

6.参考文献

1)湯沼鉱泉:湯沼鉱泉案内パンフレット,湯沼鉱泉,2000年
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