最近の山梨県下部町湯之奥金山博物館-2002年7月-

最近の山梨県下部町湯之奥金山博物館-2002年7月-

1.初めに

山梨県には、武田信玄の隠し金山がいくつもあったと伝えられ、それらの中で、
塩山市北方の「黒川金山」と並んで下部町の「湯之奥金山」は有名です。
どちらも最近学術調査がなされ、なぞの多い「隠し金山」のベールが少し剥がされ、
学術調査の成果を踏まえ「湯之奥金山博物館」が平成9年4月に完成し、
ジオラマ展示・古文書や石臼などの遺物展示や砂金採り体験を通じて、往時の模様を
学習できるようになっています。
博物館の友の会も発足し、ホームページを通じて最新のイベント情報などを入手する
ことも可能です。
(2002年7月訪問)

2.場所

山梨県下部町の温泉街の川を挟んだ反対側に、金色も眩しい建物があり、ここが
「湯之奥金山博物館」です。

「湯之奥金山博物館」

3.湯之奥金山博物館

湯之奥金山は中山、内山、茅小屋3つの金山の総称で、16世紀頃が最盛期で
甲州金で数万両産出したと推定されています。

左:湯之奥金山       右:甲州金【重さ約15g】
この博物館では、採掘から精練までの工程をジオラマや実物大の人形で見る事ができ
それぞれの工程で使われた道具の実物が展示してあります。
1階のお土産コーナーの反対側が砂金採り体験場になっており、パンニング皿を
貸してくれ、パンニングのやり方を説明してくれます。
3.1 ジオラマ展示 毛無山の頂上近くの露天掘りの位置から鉱石を掘り出し、槌や石臼で粉砕し、
ユリ板を使って比重選鉱して山金を採取するまでの一連の作業がジオラマで
再現してあります。
ジオラマ展示
3.2 金採取作業展示
山金を製錬し、甲州金にする”灰吹き法”の作業などが等身大人形で再現して
あります。
灰吹き作業【パンフレットから引用】
また、金山にかかわる古文書や出土した生活遺物なども展示してあり、
16世紀頃が最盛期だったことが理解できます。
鉱物関係では、湯之奥金山とそのほか山梨県にあった金山の金鉱石が佐渡などの
金鉱石などと並んで展示してあるのが興味を引きます。
3.3 砂金採り体験
パンニング皿を借り、制限時間内で採集した「砂金」は、小瓶に入れて持ち帰る
事ができます。
もっとも、ここの「砂金」は、田中貴金属(株)で、砂金状にしたものを
撒いているとの事です。
砂金採り体験場
3.4 お土産コーナー
パンニング皿の他にも、砂金、金山関係の本、絵葉書など鉱物関係のグッズが沢山あり
訪れるたびに新商品がでてます。

4.博物館友の会

今回、訪れると”博物館友の会”入会案内がありましたので、早速入会しました。
発足の趣旨は、『博物館を通して学習し、共に学び自らの教養を高めるとともに
利用者の立場から博物館の活動に協力する』とあり、これに共鳴(チョッと大袈裟かな?)
したからです。
年会費は、大人1,000円、小中学生は300円で、家族会員の制度もあります。
会員の特典は、
@博物館の常設・特別展示無料鑑賞
A”博物館だより”はじめ行事案内などの情報送付
B博物館刊行物10%引き
C友の会主催行事への参加
などがあり、特にBに魅力を感じました。

5.ホームページ

博物館のホームページも開設してあり、各種イベント情報などを入手したり、申し込んだり
できます。
http://www2.town.shimobe.yamanashi.jp/kinzan/
8月のイベントに申し込みました。参加費用は無料です。
(1)砂金堀り大会     8月3日(土曜日)
   ・10kgの砂の中に予め隠した砂金を全部発見する時間を競う。
(2)こども金山探検隊   8月10日(土曜日)〜11日(日曜日)
   ・茅小屋金山遺跡見学
   ・金鉱石精錬(粉成(こなし))体験
   ・山金ゆり分け体験
   ・灰吹き作業体験(オリジナル甲州金製作)

6.おわりに

(1)湯之奥金山は、下部温泉街の温泉会館から湯の奥を目指して「湯之奥猪之頭線」を
進むと約4.5kmで左側に「湯之奥金山跡」の標識があり、ここから川に沿って登ると
「慰霊碑」などがあり、その先一帯が鉱山跡になっている。
この先に、茅小屋金山や内山金山があったので、8月の茅小屋金山遺跡訪問が楽しみです。
「湯之奥金山跡」の標識
(2)「湯之奥金山跡」の標識近くに草間鉱山(?)があり、マンガン鉱物や自然銅などが
採集できる、とある文献で読んだ記憶があります。
今回、孔雀石と自然銅を見つけましたので、別途探査の上、報告したいと思います。

7.参考文献

1)湯之奥金山資料館編:金山史研究 第1集,湯之奥金山資料館,平成12年
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