鉱 物 | 化学式 | 説 明 | 観 察 品 | 備 考 (産出頻度) |
(灰)十字沸石 (Phillipsite /Harmotome) | (Ca0.5,B0.5,K,Na)4-7 Al4-7Si12-9O32・12H2O |
透明〜白色不透明の短柱状結晶 全て双晶していて、錐面がなす稜が 結晶軸方向から見ると”十字”型に 見え、これが和名の由来 ここのは、カルシウム(Ca)と バリウム(Ba)を半々含むとされ 「灰十字沸石(Phillipsite)」と 「重土十字沸石(Harmotome)」の 中間の種に相当する。 強いて言えば「灰重十字沸石 ( Wellsite ) 」でしょうか。 ただ、この名前は現在では 使われず、灰十字沸石(Phillipsite) とされている、と石友・Mさんから ご教示いただいた。 | △ | 方沸石 (Analcime) | NaAlSi2O6・H2O |
無色透明〜白色、ガラス光沢を示し サイコロの角を落としたような 偏菱24面体の結晶で現れる のが一般的だが、ここでは 結晶の完全明瞭なものは まれ(無い?)で集合体の断面が 見られる。 ”ポロッ” と結晶が抜け落ちた ような感じで、破断面がギザギザの 菱沸石集合と区別できる。 | ○ | 菱沸石 (Chabazite) | Ca[Al2Si14O12] ・6H2O |
茶褐色〜白色〜無色透明で ガラス光沢を示す立方体に近い 菱面体で産する。 茶褐色のものは鉄錆びで 染まったもの | ◎ | トムソン沸石 (Thomsonite) | NaCa2[Al5Si15O20] ・6H2O |
半球状の集合体で産する とあるが、今回明瞭な標本は 採集できなかった。 | △ | 方解石 (Calcite) | CaCO3 |
ガラス光沢、白色の犬牙状結晶が 晶洞の中に散発的にみられる。 微量元素の影響か部分的に 黄色く色づいたものもある。 | ○ |
(1) 今まで、いろいろな本を読んでも「十字沸石」は分からないものだ、とばかり思って
いたが、この産地のものは、” なるほど、これが十字沸石か ” と納得できるものです。
私なりの理解を図解してみると次の通りです。
@ 「結晶A」 と 「結晶B」 が双晶面で結合
A これを上(頭)の方から見ると、円内の図赤く図示した”稜線が十字”に
見える。
(2) このように、珍しい標本が、住宅地のすぐ近くで観察できることに驚きを感じる
と同時に、いつまでもなくならないことを願っています。
(3) 近くに、天然記念物の「ヒカリゴケ」が観察できる国指定史跡「吉見百穴
(よしみひゃくあな)」などもあり、鉱物だけでなく植物、歴史などのウオッチングに
ピッタリの場所です。