長野県佐久町余地のズニ石

長野県佐久町余地のズニ石

1.初めに

ズニ石は世界的に稀産の鉱物と言われ、「日本の鉱物」には、長野県
真田町信陽鉱山の標本が掲載してある。
秋風に誘われ、佐久町の鉱物産地めぐりを計画し、ズニ石が採集でき、
以前訪れたことが有る長野県佐久町余地の「余地鉱業所」の蝋石採石場を
訪れた。
以前訪れたときには、大々的に採掘していましたが、今は休業している
とのことで、かつてのような訳には行きませんが、そこそこの標本は採集
できます。
(2001年9月採集)

2.産地

国道141号線を清里を経由し北上し、臼田町の入口の「千曲病院入口」の
信号を右折し、国道299号線に入る。約2.9kmで、「余地入口」の信号があり、
そこを左折する。約1km進むと余地川に掛かる「余地川橋」があり、
その手前で右折し、道なりに約1.3km進むと右手に採石場跡がある。

余地の採石場

3.産状と採集方法

ズニ石は、褐鉄鉱に鉱染された蝋石の中に産出しますので、黄色〜黒色の
晶洞部分を探します。
太陽光を背にして探すと、ズニ石が「キラ、キラ」と輝くので、簡単に
探せます。
採石場跡は、何段かになったベンチカット(階段堀)で採掘していましたが
上段ほど良いという情報もあります。

4.産出鉱物

(1)ズニ石【Zunyite:Al13Si5O20(OH,F)18Cl】
きれいなズニ石は、小さな四面体の透明結晶で輝きが強いので、見間違うことは
少ないのですが、表面が褐鉄鉱や赤鉄鉱で覆われているものも多いので、
四面体を手がかりに探す。

余地産ズニ石【結晶の大きさ 最大3mm】
(2)水晶【Rock Crystal:SiO2】
水晶は、大きくても5mm程度で不透明なミルキー・クオーツですが、両頭の
ものが多く、水晶の生成条件が両頭に適していたのでしょう。

余地の両頭水晶

5.おわりに 

(1)ここは、「余地川橋」の手前右側にある、「友野組」が管理して
いますので、断って採集させてもらいましょう。
(2)ここ以外に、山梨県の「京ノ沢」でズニ石を採集したと聞いたことが
あります。
また、余地では、「トパーズ」を採集したとの話も聞きますが、私はまだ
採集していません。
ズニ石とトパーズの化学式を見比べると、違いは塩素(Cl)の有無だけで、
産出してもおかしくはありません。
ズニ石 :Al13Si5O20(OH,F)18Cl
トパーズ:Al2SiO4(OH,F)2
(3)余地採石場跡に行く途中、道路端には栗の実が落ち、私の妻は、
30分足らずで1kgほど採集しました。
また、熟したアケビが口を開け、里山の秋の訪れを告げていました。

熟したアケビ
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