単晶 燕尾双晶
夜子沢産石膏【木下・小川「岩石鉱物」より引用】
しかし、2000年8月に訪れると3cmを超える巨晶を産出した露頭は埋め立てられ
「幻の産地」になっていました。その後の様子が知りたく、2年振りに訪れ、小さな
石膏を採集しました。
(2002年9月採集)
2.産地
中富町を流れる「夜子沢川」の上流の道路脇にあり、消防の倉庫と「透明石膏」の
案内板が目印です。
透石膏産地案内板
ここは、甲府の自宅から1時間と近い事もあって、一寸暇があると行って見ようかなと
いう産地でした。
しかし、かつて3cmを超える良品がでた粘土層は、崩落と言うより、埋め立てられ
採集不可能な状態です。
1998年頃は、鉄条網が張られてはいたが、無理すれば採集できる状態でした。
オーバーハングした部分があり、危険防止のため、町で埋め立てたようです。
現在では、草木が生い茂り、ここが産地だと教えてもらわないと分からない状態です。
透石膏露頭埋立て跡
3.産状と産出鉱物
ここの透石膏は、道路の拡幅に伴って出てきたようで、通りかかった女性の話では
「青い、柔らかな粘土の中にあった」ということで、私が以前採集したときも同じ
状況でした。他の透石膏産地と似た産状です。
その女性が一緒になって探してくれましたが、石膏が出そうな場所は、道路側には
ありませんでした。
案内板の反対の沢(川)側に回って見ると、急で危険な崖の極めて狭い範囲に微小な
石膏の結晶が析出している場所がありました。
4.採集鉱物
透明石膏【Gypsum:aSO4・2H2O】
かつて産出した大きなものは、半透明で白濁していましたが、今回採集したものは
結晶が極めて小さいので透明、ガラス光沢をもった針状です。
透石膏
5.おわりに
(1)最近鉱物採集を始めた人たちにとって、未だ採集する前に「幻の産地」に
なってしまったのは残念でしょう。
各地の有名鉱物産地の荒廃した現状を見るとかつての有名産地が埋め立てられ
後世に保存されるのはむしろ望ましいことなのかも知れません。
(2)いつの時代でも『君、鉱物採集を始めるのが10年遅かったよ!!』と
言われ続けてきたのですから、気を取り直して新しい産地を開拓しましょう。
6.参考文献
1)木下亀城、小川留太郎共著:岩石鉱物,保育社,平成7年