矢塚の緑簾石

矢塚の緑簾石

1.初めに

今年は例年になく雪が多く、採集らしい採集に行けず仕舞いです。
何人かの石友から、「採集に行きたくてウズウズしている」との
メールを頂いていますが、私も同じ心境です。
ついに、意を決して福島県塙町矢塚に採集に行ってきました。
産地は一面の雪野原で、かろうじて露頭や坑道が判る程度で、
1時間足らずで、退散してきました。
それでも、透明で自形結晶が水晶についたものを採集でき、
雪の中の採集としてはまずまずでした。
(2001年3月採集)

2.産地

里美村のはずれで県道22号線に右折し、約5km先の里川に架かる橋の
手前を左折し、約5km行った集落の所を左折し、約1.5km行き右折し、
約1kmで産地です。里美村から30分くらいで着けます。
まだ林道の日陰には雪が凍って残っており、対向車にあわてって急ブレーキを
踏んだら車が横向きになり、対向車の運転手に押していただいて、脱出しました。
急な坂を登りきれず、チエーンを装着したりで大変な思いをして、産地につきました。
産地は一面の雪野原で、地元の人の話でも、彼岸まで雪が残っているのは今年が
初めてだそうです。
雪は、カチンカチンに凍っており、歩くのには不便はありません。

雪の矢塚【2001年3月16日】

3.産状と採集方法

雪に覆われていない露頭と水平坑道(?)でそれぞれ30分位採集しました。

矢塚の露頭

4.産出鉱物

(1)緑簾石【Epidote:Ca2(Al,Fe)3(SiO4)3(OH)】
露頭の自然崩落した部分に晶洞があり、ここから、小さいながら水晶に寄生する
透明で頭付き緑簾石を採集できた。

頭付き透明緑簾石(5mm)
(2)灰重石【scheelite:CaWO4】
露頭の柘榴石脈の中から、灰重石を採集した。坑道の中に持ち込んで、
ミネラライトの紫外線を当てると、青白く光ります。自形結晶ではなく、
透明度もないので、今回は採集しませんでした。

5.おわりに 

「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますが、今年は「みちのくの春は遠い」
と思わせる矢塚の状況です。
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