「山梨の鉱物誌」

1. はじめに

    私のHPは3月23日以来、今日まで1ケ月近く更新していなかった。従来は、3日と
   空けずに更新していたのだから、”異常事態”である。
    これを察知した、何人かの石友からメールをいただいた。

    @体調が悪いのではないか?・・・・・・・・千葉・Mさん、奈良・Aさん
       Mさんは、最後に更新した『アルフォンス・ミュシャと「黄道十二宮」』の筆致が
      それまでと違うので、妻が代筆をしているのではないか、とまで気遣って下さった。

    A採集にあちこちと奔り回っているのか?、と想像している・・・・・・・・奈良・Yさん
       別なネットワークで、私が三重県の産地に出没しているのが、Yさんには、
      ”筒抜け”であった。

    昭和21年(1946年)に生れた私は、60歳の「還暦」を無事迎えた。息子達や娘
   達の発案で、還暦祝いを計画してくれた。
    まだお祝いをしていただくほどの歳でもないという気持ちもあるが、せっかくなので
   申し出に甘えることにし、何か記念になるものを、配りたいと考えた。
    趣味の1つである鉱物採集で「山梨の鉱物誌」という本を書いてみたいという”夢”
   抱いているので、その実現に向けて一歩踏み出すことにした。
    山梨県で産出する鉱物をアルファベット順に並べ、自分で採集した標本を中心に
   それらの写真をつけ、それぞれの鉱物にまつわる話や思い出話を綴ってみることに
   した。
    50ページあまりの小冊子だが、3月16日に着手し、印刷・製本を終えたのは4月13日で
   その後「祝賀会」、修正・増刷などでHPにかかる余裕が全くなかった、と言うのが真相
   である。

               
                      表紙
               【早川町保金山の自然金】

    これをまとめてみて、1つひとつの鉱物ごとに、産地を案内していただいたり
   ご一緒させていただいている、大勢の石友のご支援があったことに、改めて感謝
   している。
    また、意外なことに気がついた。J, U,V, W,Yの5文字で始る鉱物を持っていない
   のである。当面の目標の1つを、これらの5文字で始る鉱物の完全採集におき
   「山梨の鉱物誌」の区切りとしたいと考えている。
    ( 2006年4月作成 )

2. 「山梨の鉱物誌」作成の経緯

    昭和21年(1946年)に生れた私は、60歳を迎えた。昔流に言えば「還暦」を無事迎えた
   ことになる。息子達や娘達の発案で、4月15日〜16日に静岡県熱海で還暦祝いを計画
   してくれた。
    「人生50年」の時代には考えられないほど、日本人の平均寿命が延び、60歳は、まだ
   まだお祝いをしていただくほどの歳でもないという気持ちもあるが、せっかくなので
   申し出に甘えることにし、何か記念になるものを、配りたいと考えていた。
    趣味の1つである鉱物採集で「山梨の鉱物誌」という本を書いてみたいという"夢"を
   抱いているので、その実現に向けて一歩踏み出すことにした。
    山梨県で産出する鉱物をアルファベット順に並べ、自分で採集した標本を中心に
   それらの写真をつけ、それぞれの鉱物にまつわる話や思い出話を綴ってみることにした。
    私が鉱物採集を始めた原体験は、中学3年になった春、郷里の茨城県真壁郡山の尾で
   美しい鉄ばん柘榴石を採ったことである。しかし、それは一時的なもので、学校を卒業し
   社会人となってからは、鉱物採集とは全く縁のない日々を過ごしていた。
    ちょうど40歳になった昭和60年(1985年)ころ、人生の折り返し点にいることに気付き
   これからは健康が第一だと考えた。30歳頃までは、実業団サッカー部の現役GKで体力
   的に多少の自信はあった。その頃の生活を振り返ってみると、朝7時過ぎに家を出て
   帰宅するのは夜10時過ぎで、日頃運動らしい運動を全くしていないのが気がかりであった。
    運動で一番先に思いついたのが「山登り」であった。しかし、ただ登って降りてくるだけ
   ではつまらない。何か記念になるものを持って帰れないかと考え、思い出したのが「鉱物
   採集」であった。平成元年(1989年)山梨県甲府市に転勤になったのが縁で、水晶などの
   鉱物採集を本格的に始めた。
    私が住む山梨県は昔から「葡萄と水晶」が有名で、甲府は今でも「宝石の街」と謳って
   いる。
    しかし、山梨県で産出する(した)鉱物について、まとまって書かれた本がないので
   これを1冊にまとめるのが"夢"である。
    今回まとめたのは50ページ余りの小冊子で、途中段階のものだが、このような形で
   いつか世に送りだしたいと思っている。幸い、今のところ健康にも恵まれ、丈夫な体に
   生んでくれた両親、結婚以来支え続けてくれている最愛の妻、そして今回の祝賀会を
   企画してくれた3人の息子達と縁あって家族になった2人の娘に感謝している。

      
             乾杯!!                   記念品贈呈
                        祝賀会の一コマ

3. 「山梨の鉱物誌」

 3.1 構成
      最近発行された松原先生の「日本鉱物型録」など、鉱物の英語名をアルファベット
     順に並べるのが流行っているようだ。
      それに、かぶれたわけではないが、山梨県で産出する鉱物をアルファベット順に
     並べ、自分で採集した標本を中心にそれらの写真をつけ、それぞれの鉱物に
     まつわる話や思い出話を綴ってみることにした。
      これだと、”A”〜”Z”の26種類の鉱物を揃えればよいことになり、何とかなるだろう
     との読みだったが、甘かったことを後で思い知った。

 3.2 内容
      松原先生の「日本産鉱物種」を見ながら、候補となる鉱物をピックアップした。
     今回収録できた鉱物は、次の21種であった。『同質異像鉱物』のお話の流れで、
     「ルチル」の章には「板チタン石」と「鋭錐石」も付け加えるなどしたので、取上げた
     鉱物の総数は、30種ほどになった。

     Almandine(鉄礬(ばん)ザクロ石)
     Beryl(緑柱石)
     Covellite(銅藍)
     Dumortierite(デュモルチ石)
     Enargite(硫砒銅鉱)
     Feldspar(長石)
     Gadrinite-(Y)(ガドリン石)
     Hausmannite(ハウスマン鉱)
     Ilmenite(チタン鉄鉱)
     J
     Kankite(カニュク石)
     Laumontite(濁沸石)
     Molybdenite(輝水鉛鉱)
     Native Gold(自然金)
     Orthoclase(正長石)・・・・・・・・Feldspar(長石)に含む
     Prehnite(葡萄(ぶどう)石)
     Quartz(石英/水晶)
     Rutile(ルチル/金紅石)
     Sulpher/Sulfer(硫黄)
     Titanite(チタン石、旧名くさび石)
     U
     V
     W
     Xenotime-(Y)(ゼノタイム)
     Y
     Zircon(ジルコン)

 3.3 原稿作成
      原稿作成は、以下のような手順で、比較的簡単に進めることができ、興が乗って
     くると1日に、2〜3文字進むこともあった。

      @ HP原稿のホルダー内を”キーワード”(例えば、「輝水鉛鉱」)で検索し、過去に
        作成したHPで該当するものを全部ピックアップ。
      A それらの中から、岐阜県平瀬鉱山や栃木県大鷲鉱山などを除外し、山梨県
        に関連するページだけ残す。
      B  ”HTML”文から”TEXT"形式に変換
      C ”Word”文書に貼り付け、手直し
      D 写真は、HPのものはサイズが小さく、印刷に耐えないため、元の画像をMO
        データから引っ張り出した。
        2、3の標本は、撮り直し

 3.4 印刷
      自宅のプリンターで両面印刷することにした。両面印刷できる”B5"サイズの用紙
     を売って(常備して)いないため、”A4"や"A3"の用紙を買い、裁断した。
      プリンターの調子が良くないので、だまし騙し、わずか、4部印刷するのに、丸2日
     もかかってしまった。

 3.5 製本
      厚手のものが綴じられるホッチキスを新たに購入し、”簡易製本ファイル”に差し
     込んで止めて、”はい、お仕舞い”、といたって簡単であった。

4. おわりに

 (1) 山梨県内で採集した鉱物を中心に、アルファベット順に「山梨の鉱物誌」として
    まとめてみて、産地を案内していただいたり、ご一緒させていただいている大勢の
    石友のご支援があったことに改めて感謝している。

 (2) また、意外なことに気がついた。
      J, U,V, W,Yの5文字で始る鉱物を持っていないのである。
     Vesuvianite(ベスブ石)とWollastonite(珪灰石)は大和村(現甲州市)のスカルン
     帯で産出することが判っていて、約10年前に一度訪れたが、産地が分からずスゴ
     スゴ引返し、それ以来、訪れていない。
      2002年版「日本産鉱物種」には、"J"で始る鉱物は17種、"U"で始る鉱物は12種
     そして"Y"は6種が日本国内で産出するとされている。それらの化学組成をみると
     山梨県では採れそうにないものばかりである。
      逆にいえば、これらが発見できれば、県内では初めての産出記録になるので
     挑戦のし甲斐もある。
      当面の目標の1つを、これら5文字で始る鉱物の完全採集におき、この「山梨の
     鉱物誌」の区切りとしたい。

 (3) 50ページ余りの小冊子だが、念願の「甲斐鉱物誌」に向けて第一歩が踏み出せた
    と思っている。3月16日に着手し、採集や私用の旅行で土日を使わずに、延べ20日
    余りで50ページできたのだから、単純計算では、半年もかければ、300ページくらい
    の本が書ける筈である。
     ベースになったのは、ホームページ(HP)にまとめた内容であった。引き続き
    HPをこまめに更新しながら、「甲斐鉱物誌」そしてゆくゆくは、「日本鉱物誌」の
    出版にむけて、充実した日々を送りたい、と考えている。

5. 参考文献

 1)松原 聰:日本産鉱物種 2002年版,鉱物情報,2002年
inserted by FC2 system