山梨県内の鉱物産地は広い範囲にまたがり、まだまだ隠れた標本が眠っているよう
ですの、今後も皆さんとご一緒するのを楽しみにしています。
( 2005年11月 採集 )
産 地 | 代 表 的 標 本 | 現 状 | 備 考 | 小尾八幡山 | 水晶、日本式双晶、燐灰石 | スリガラス状水晶採集可能 | 水晶峠 | 山入り水晶、緑水晶、日本式双晶 | 表面採集でもそこそこ採集可能 | 既報 12/1〜翌年5/31まで 林道閉鎖のため アプローチ困難 |
乙女鉱山 | 水晶、日本式双晶、灰重石、ライン鉱 | 採集禁止との情報あり | 鈴庫鉱山 | カニュク石、硫化鉱物と2次鉱物 | カニュク石は採集可能 | 平澤鉱山 | 氷長石、板チタン石、ルチル、水晶 | 氷長石は激減 | 平澤採石場跡 | チタン石、燐灰石 | チタン石はかろうじて採集可能 | 竹森 | ススキ(苦土電気石)入り水晶 鋭錐石、板チタン石 | 採集禁止 | 大菩薩峠 | 褐簾石 | 褐簾石は採集できると思われる | 冬季、林道閉鎖 | 裂石 | 煙水晶、緑簾石 | 採石場が閉鎖して 10年以上経ち良品採集困難 | 増富鉱山 | 銅藍、硫砒銅鉱、銅の2次鉱物 | 極めて狭い範囲で少量採集可 | 増富温泉 | 石灰華 | 観察のみ | 「増富の湯」(700円)は ミネラルウオッチングの後 最適 |
黒平地区 (含む向山) | 煙水晶、カリ長石、アマゾナイト 緑柱石、希元素鉱物 | 思いがけない良品に 出会うチャンスあり |
産 地 | 産 状 | 観察・採集方法 | 備 考 | 水晶峠 | 水晶鉱山のズリ および真砂化した ペグマタイト脈 | 表面採集、ズリや脈を掘る | 既報 | 鈴庫鉱山 | 鉱山ズリ | 表面採集、ズリを掘る | 坑道も残っている | 平澤採石場跡 | 花崗閃緑岩中の 石英脈の晶洞に産する | 母岩をハンマーと タガネで割る | 黒平地区 (含む向山) | ペグマタイトや石英脈に伴う晶洞 | 水晶や長石のカケラを 手がかりに晶洞を探す | 向山地区には坑道が 多数残っている |
増富鉱山 | 銅鉱山ズリ、貯鉱場跡 | 表面採集、ズリを掘る | 貯鉱場跡あり | 増富温泉 | 温泉成分が沈殿して 石灰華が層をなす | 観察・測定のみ | ガイガーカウンターで 調査した結果 特に高い放射能レベルは 測定できなかった 案内板の説明には 以前は川岸に達するほどの規模であった とある |
産 地 | 鉱物名 | 成 分 | 標 本 | 備考 | 鈴庫鉱山 | カニュク石 Kankite | Fe'''AsO4 ・3.5H2O | ウグイス色部分 | スコロド石【Scorodite:Fe'''AsO4・2H2O】より 水が1.5分子多いのが採集のヒント ズリのある深さ(水位レベルに近い)に 層をなし生成している チェコスロバキア(現在の国名?) クトナホラと鈴庫鉱山でしか 産しないとされた含水正砒第二鉄 クトナホラは、クトナホラ石 【Kutnahorite:CaMn(CO3)2】の 原産地(?) |
硫酸鉛鉱 Anglesite | PbSO4 | 方鉛鉱の表面を覆うように 白色結晶集合として生成 |
菫青石 Cordierite | Mg2Al4Si5O18 ・nH2O | 緑黒色ガラス光沢結晶として 石英に埋没して産出 一部、白雲母 【Muscovite:KAl2Si3O10(OH)2】 に変化している |
平澤採石場跡 | チタン石 (クサビ石) Titanite | CaTiSiO5 | 鉄電気石と共生 | 黒平地区 | 煙水晶 Smokey Quartz | SiO2 | 全体
| 内包物は黒雲母(?) | 増富鉱山 | 銅藍 Covellite | CuS | 新鮮なものは紫色だが 現在採集できるものは ほとんど黒色に変色 六角板状で 多孔質石英(水晶)の 空隙部分に産する 貯鉱場跡で小さなものを採集 |
硫砒銅鉱 Enargite | Cu3AsS4 | 針状結晶 | 木目の細かい(俗に白粉肌と呼ぶ) 石英に埋没して青黒い針状結晶と その集合体で産する ズリの特定部分でのみ採集可能 |
(2) 一週間後に、東京から「柳沢峠」を越えて山梨に戻った。峠付近はこの冬初めての
本格的な雪になり、側溝に落ちた車を何台か見かけ、パトカーと救急車ともすれ違った。
これから、本格的な冬を迎え、訪れることができる産地は限られ、採集品の観察や
来春以降に備え、文献調査が主体の日々になりそうです。
(3) 鈴庫鉱山は、カニュク石以外、目ぼしい鉱物は何もないだろうと思っていたが
今回「硫酸鉛鉱」を観察でき、「ブーランジェ鉱」や「車骨鉱」まであると文献にはあり
再訪せねば、と思い直しています。
さらに、山梨県北部には、広大な範囲にペグマタイト地帯が広がっており、2005年は
他府県への遠征の合間に、某地域を重点に探索したが、まだまだ訪れていない地域が
たくさんある。
何とか、足腰が達者な内に、制覇したいと考えている。