2002年8月秩父・渦の沢の燐灰石

2002年8月秩父・渦の沢の燐灰石

1.初めに

東京の石友・Mさんと秩父鉱山へ秋の採集会の下見に行き、最後に渦の沢を訪れた。
燐灰石を含む露頭は跡形も無く、燐灰石を含む転石もめっきり少なく、僅か3ケ月の間に
産地がまるで変ってしまい、おおいに驚いた。
頭付き結晶を探すのは、非常に難しく、2時間近く粘って、辛うじてmm単位のものを
採集したが、『絶産』と言うべきかも知れません。
(2002年8月採集)

2.産地

私の住む山梨県・甲府から、国道140号線で、1998年に開通した雁坂トンネルを
通り、埼玉県に入り、中津川を経由して、「彩の国ふれあいの森・森林科学館」をめざす。
悪路を覚悟すれば、長野県川上村から、三国峠を越える道もある。
「彩の国ふれあいの森・森林科学館」の先、約300mに右に登る急な坂があり、その上が
「炭焼き体験場」になっている。この左奥に枯れ沢(幅は広い)があリ、この沢を
約250m遡上すると左手に、鉱山跡を思わせる石組みがあり、孔雀石が点々と
見える枯れ沢があり、これとの合流点の高台が産地です。
「渦の沢」は、通称で正式名は別にあるようです。
渦の沢燐灰石産地

3.産状と採集方法

ここの燐灰石は、磁鉄鉱の晶洞部分に、緑簾石や灰鉄輝石を伴って柱状結晶で
産出した。かつては、晶洞を含む磁鉄鉱の露頭があり、そこから採集したが
その露頭は、影も形も無い。磁鉄鉱の塊の転石すらない。
緑簾石(?)の塊の転石には燐灰石が入ったものがあるが、石が硬い上に
空隙が無いため、へき開してしまい、頭付きは採集できません。

4.産出鉱物

(1)燐灰石【Apatite:Ca5(PO4)3F】
表面の光沢は強く、白濁した水晶と似た形で、6角柱状で頭が尖った結晶で
産出した。
神奈川県・玄倉(くろくら)の標本に優るとも劣らないものでしたが、
今では、『幻(まぼろし)』です。
燐灰石【3mm】
(2)磁鉄鉱、黄銅鉱とそれに伴う孔雀石、緑簾石、灰鉄輝石などが
採集できます。磁鉄鉱は、自形結晶も見られます。
灰鉄輝石

5.おわりに

(1)「燐灰石」を確実に採集できる1つの産地が消えてしまった。
露頭を掘り込めば、新たな脈がでてこないとも限らないが・・・・・・・。
(2)古い坑道が”ポッカリ”口を空けています。斜坑になっているようですが
崩れそうなので、入っていません。
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