福島県裏半田鉱山の紫水晶

福島県裏半田鉱山の紫水晶

1.初めに

2000年に、長野・山梨の産地を案内した福島県の石友に、雨塚山の
近く福島県裏半田鉱山を教えていただいた。
ここは、杉沼鉱山とも呼ばれ、銀を採掘したと言われていますが、
「日本鉱産誌」にはこの鉱山の名前がなく、詳細は不明です。
「鉱物情報」にこの産地の情報があります。
ここは、ほとんどが紫水晶の群晶やファントム状の紫石英で、単晶は
全くと言って良いくらいない。
産地は、ほとんど荒らされておらず、今後良品が期待できる産地である。
(2001年4月採集)

2.産地

飯坂温泉の奥座敷とも呼ばれる穴沢温泉を通り、国道399号線を摺上
(すりがみ)川に沿って、北上し、「田畑」の集落から三日尻林道に入る。
蓮華瀧不動尊を経て、約7kmで産地に着く。

裏半田鉱山【鉱物情報から転載】

裏半田鉱山ズリ遠望【雪の残る下がズリ】

3.産状と採集方法

ここの紫水晶は、緑色凝灰岩(グリーンタフ)の裂罅を埋める珪素分に
富んだ鉱液から胚胎した。裂罅の幅が狭く、大きな結晶は少なく、
また何回かの鉱液の浸入で、柱面が埋まり、柱面の長いものは少ない。
坑道が残っているが、ほとんど埋まっており、入坑していません。
熊手や小さなツルハシでズリを掘り返しながら採集します。

紫水晶の良品を手にニッコリのS氏とO氏

4.産出鉱物

(1)紫水晶【Amethyst:SiO2】
空隙を充填して結晶した紫水晶、紫水晶の群晶やファントムアメシストと
呼べる美しい標本が採集できた。

紫水晶【長さ7cm】

紫水晶2【空隙を埋める結晶集合体】
(2)水晶【Rock Crystal:SiO2】
ここの水晶は、ほとんどが紫がかっており、透明(白)水晶のほうが
珍しいくらいです。
(3)銀黒をはじめとする銀鉱物は探せなかった。

5.おわりに 

(1)国道399号線を更に北上すると平成18年を目標に建設中の摺上川
ダムがあり、その手前に福島市茂庭広瀬地区温泉施設「もにわの湯」がある。
一寸熱目のアルカリ性単純泉で、露天風呂もあり、採集の汚れと疲れを
とるのにもってこいです。料金も250円と格安なのも嬉しい。
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