東京の石友・Mさんと、”ここぞ” と狙ったポイントで採集したが、すっかりアテが外れ
バラ輝石すらチラホラで、”ご両人”には会えず仕舞いであった。
昼食を摂って、午後の採集をどうしようかと思っていると、Mさんの口から「梅田鉱山」の
名前が出た。桐生市の北に「梅田」という地区があり、そこにあった鉱山なので「梅田鉱山」
と名づけられたらしい。
桐生市周辺にあるのでマンガン鉱山かと思いきや、「鉄重石」「蛍石」などを産出した鉱山
で、茨城県高取鉱山と似た産状だったらしい。
Mさんの事前調査のお蔭で、さほど苦労せずに旧坑とその前のズリに到達でき、目的の
鉱物を採集できた。また、Mさんが発見した露頭を苦労して崩し、発見した晶洞から「褐鉄鉱
にまみれた水晶の群晶」を採集した。帰宅して蓚酸に漬けておいたところ褐鉄鉱が溶け去
り、”ピカピカの群晶”が誕生した。
新しい産地を案内していただき、素晴らしい水晶の群晶を採集させてくれたMさんに厚く
御礼申し上げる。
( 2007年5月採集 )
(2) 自然硫黄【SULFUR:S】
黄色、石英の空隙を埋める塊状で産する。
(3) 蛍石【FLUORITE:CaF2】
無色〜緑〜紫色の塊状で石英の中に産する。まれに、石英の晶洞の中に八面体自
形結晶を示す場合がある。
無色のものは、石英と判別しにくいが、へき開があることで識別できる。なお、ミネラ
ライトで蛍光を示さない。
(4) 水晶/石英【QUARTZ:SiO2】
細柱状結晶で、透明感が強く、根元の『白い雲』が一段と透明感を引きたたせている。
また、根元の部分に小さな針水晶を纏っているのも面白い。1本、1本の水晶は最大でも
3cmで大きくはないが、群晶となると一段と美しい。
(5) このほか、自形結晶を示す硫砒鉄鉱などを確認できたが、いずれも小さなものが多い
のが残念である。
(2) 水晶の群晶を採集したときには、褐鉄鉱に覆われ、全然見栄えのしない代物だったが
蓚酸に3週間近く漬けておいたところ、見違えるような美しい標本に生まれ変わった。
もともと「がま(晶洞)出し」で、褐鉄鉱に覆われていたのが幸いし先端や柱面に傷が
ほとんどなかったのが良かった。
それにしても、” 標本を生かすも殺すもクリーニング次第 ”、と思い知った次第で
ある。