中学生とミネラルウオッチング 2015年7月











        中学生とミネラルウオッチング 2015年7月

1. はじめに

    私のHPを読んだK県の私立小中一貫校のR・H先生から『クラスの小学6年生18名を鉱物採集に
   連れて行きたいのだが、適当な場所を教えて欲しい』、と相談のメールをいただいたのは、2007年
   9月の初めだった。
    10月に山梨県の水晶産地に案内したところ、生徒だけでなく付添いの保護者や引率の先生方
   にも好評で、同校の恒例行事になった。
    この話が他校にも広まり、神奈川や東京そして横浜の学校や違った学年のこどもたちを案内して
   欲しい、という依頼が飛び込むようになった。それが、いつしか各学校の恒例行事になっていった。

    2015年春、横浜の私立一貫校のK先生から、「中学一年生の鉱物の授業で、案内して欲しい」
   との連絡があり、7月中旬に案内することになり、5月連休にK先生と下見も済ませておいた。
    7月中旬、台風11号が襲来し、台風は「梅雨前線」を蹴散らして去ったが、ミネラル・ウオッチング
   の舞台の甲武信鉱山貯鉱場に行くのには千曲川の源流の一つ・梓川を渡る難所があるのだ。
    甲府の自宅附近を流れる川も濁流なくらいで、開催2日前に下見で梓川に行くと濁流で渡れず、
   延期せざるを得ないかと思った。1日前になると快晴の暑い日で、もしかするとと思い、再度下見に
   訪れた。すると、隠れていた足場となる岩が見え、長靴を履けば何とか渡れそうだ。
    99%決行するつもりで、水が引いていなければ流木を集めて仮橋を造るため、大小の「カスガイ」
   を購入して持参していたのだった。

      
              梓川の濁流も収まりそう
              【前日に3回目の下見】

    「明日、決行!!」を現地からK先生に連絡した。湯沼鉱泉に立寄り、「明日、水晶洞見学を
   予約」した。居合わせた石友・Dさんが「甲武信でガマを開けてべスブを採った」、と素晴らしい標本
   を見せてくれた。6月のミネラル・ウオッチングに参加できなかった石友・Mさんもいて、この日訪れたク
   ロム鉱山の「灰バンざくろ石」を見せてくれた。

    当日、甲府駅で中学生15名、先生・保護者5名を出迎えて挨拶のあと、私の車とレンタカー3台
   に分乗し、長野県川上村を目指す。途中、野辺山にある「JR最高地点」でトイレ休憩し、記念
   写真を撮り、出発だ。
    10時半過ぎに湯沼鉱泉に着き、社長とお姐さんにあいさつし、「水晶洞」の見学だ。1,200万年
   前に生まれたままの状態で展示してある『緑水晶の日本式双晶』などに釘づけになり動こうとしな
   い子等を急(せ)かせるようにして洞を出ると、『水晶さがし』のサプライズだ。
    湯沼鉱泉の駐車場の木陰を借りて昼食を食べ、社長とお姐さんを囲んで記念写真を撮って、
   ミネラル・ウオッチングの舞台・甲武信鉱山貯鉱場に向かって出発だ。

    難所の梓川は、男性の保護者と私が川の要所に立って、皆さんを手助けしながら岩伝いに渡り
   切った。
    貯鉱場では、全員に「チェックリスト」を渡し、採集方法を実演して見せ、採集した「灰重石」が
   ミネラライトの紫外線で青白く蛍光するのをみて、皆さんビックリだ。
    1時間ほどたち、「チェックリスト」に採集済みの”〇”も増えたころ、採れていない標本を目指して
   ラストスパートをかけ、産地を後にした。

    車に戻るとサプライズが待っていた。石友・Dさんがこの日訪れた川端下水晶坑の水晶を「子ども
   たちにやって下さい」というメモをつけて置いてくれていたのだ。K先生に順番を決めてもらい、1つずつ
   好きなものを選んでもらう。
    そのあとは、行きしなに梓川に浸しておいた、夏のミネラル・ウオッチング恒例の冷えたMH農園、
   ではなくて購入した『スイカ』も皆さんに大好評だった。

    野辺山でトイレ休憩の後、甲府駅に戻ってお別れだ。感想を聞くと「楽しかった!!」と元気な
   声が返ってきて、疲れやこの日あったいやなことを忘れることができた。

    私の持論の1つに、『ミネラル・ウオッチング(鉱物採集)は、水晶に始まり、水晶に終わる』
   ある。嬉々として水晶を探す中学生と教育関係者を見ていて、その感を一層深くした。参加した
   皆さんが、鉱物を通して、自然を大切にする心を養ってくれることを祈っている。
    おもてなしをしてくれた湯沼鉱泉の社長とお姐さん、そして子どもたちにとってサプライズを提供して
   くれた石友に感謝している。
    ( 2015年7月 観察 )

2. 湯沼鉱泉「水晶洞」へGO!!

 (1) 嫌な出来事
      朝起きるとミネラル・ウオッチングにふさわしい快晴だ。前日から始まった町内会のラジオ体操
     を休んで、食事を終え、汚れていた車を洗車する。
      朝の連続ドラマをBSで見て家を出る。甲府駅前の整備で駐車場が整備されたらしいので、
     下見しておき、昼食を買おうとコンビニを探して車を走らせ、交差点を右折すると、隠れていた
     警官が道路脇に誘導する。何だろうと車を止めると、「あそこは、7時-20時右折禁止です」と
     いう。平日ならともかく、休日のこの日右折禁止にする正当な理由などなさそうな交差点だが、
     ここで喧嘩している暇がない。結局、「通行禁止違反」で罰金7,000円だ。10年ほど続いた
     「無事故無違反」も途切れてしまうのも悔しい。

      
                隠れていたパトカー

      コンビニを探し出せずに、そのまま甲府駅前の駐車場に戻る。大切な子どもたちや先生を乗
     せて往復150km以上運転するので嫌なことは忘れてと思うのだが、凡人の悲しさ、腹が立つ。

 (2) 甲府駅で子どもたちに自己紹介
      甲府駅の改札口に行くと、未だ改札を出ないでいる子どもたちの姿が見える。やがて、K先生
     に引率されて子どもたちが改札を出てきたので、「信玄公の銅像」前で自己紹介とあいさつだ。

      @ 鉱物は、植物、動物と違って再生しない。余分に採らない。採った標本は、洗浄・
        整理して記録に残し、家族にも見て楽しんでもらう。
        およそ1,200万年前に誕生した水晶やいろいろな鉱物にとって出会う最初の人間が君だ。
      A 自然は美しい。しかし、危険が潜んでいるので引率の先生の注意を守り、事故
        がないようにしよう。
      B 「水晶洞」の見学の後、社長に感想を伝える。

 (3) 野辺山「JR最高地点」を目指せ
      電車で酔った子がいるというので、できるだけ広い道路を通るようにルートを選ぶ。レンタカーを
     3台借り、お父さんやお母さんが運転してくれる。私の車を含め4台に分乗し出発だ。
      「甲府昭和IC」で中央道に入ると3連休で車が多い。「須玉IC」で降りて、清里を過ぎ、野辺
     山の「JR最高地点」でトイレ休憩だ。

      快晴で抜けるような青空で八ヶ岳が間近に迫って見える。ここには、「幸せの鐘」があるのだが
     これを鳴らすのが意外と難しい。”幸せを掴むということは簡単ではない”というとことを教えてくれ
     ているようだ。

      
          「幸せの鐘」を鳴らす子どもたち

      すると踏切の警報が鳴って、遮断機が下り始めた。小海線の「高原列車」が来るようだ。みん
     な遮断機のところで列車を待つ。1時間に1本位しか通らない列車に会えるだけでもラッキーだ。
      「幸せの鐘」の前に並んで、記念写真を撮って出発だ。

         
                 高原列車を見送る                     みんなで記念写真

      この近くの「金峰山(きんぷさん)」が見える場所に車を止め、「金峰山」が花崗岩の中心地で
     その周辺で水晶が採れることなどを説明する。

      JR小海線の踏切を渡り、川上村に入る。未明から始まった特産のレタスの収穫作業が終わり
     切らずに続いている畑もある。真夏の日差しが畑のビニールに反射してまぶしい。気温は28℃と
     甲府よりは涼しいが、今まで私が川上村では経験したことない暑さだ。

 (3) 湯沼鉱泉「水晶洞」見学
      湯沼鉱泉に着き、社長とお姐さんのご挨拶だ。湯沼鉱泉と『水晶洞』の特徴・見どころを説
     明する。

      1) 誕生した当時の状態で観察できる『草入り日本式双晶』
          およそ1,200万年前、できた透緑閃石の針が入った水晶、しかも2枚の水晶が蝶の羽
         のように84度33分の角度で合わさった日本式双晶を誕生した当時の状態で観察できる
         貴重な展示施設だ。
          川上村で観察できる鉱物の一級標本を余すところなく展示しているのと日本各地、
         そして外国産の鉱物まで展示している。

      2) 個人で建てた博物館
         鉱物を展示している博物館は全国にあるが、それらのほとんどは国・都道府県・市などが
        税金を使って建てたものだ。
         「水晶洞」は、社長が個人のお金〇億円をかけて、そのほとんどを自分が重機を動かして
        建設したものだ。

      3) 貴重な川上犬
         湯沼鉱泉では、この地方で猟犬として育てられていた川上犬の保存にも力を注いでいて
        飼育している川上犬の中には、「狼爪」が残っているものもいて、オオカミに近い犬とされて
        いる。

      「水晶洞」に向かって歩くと、飼育している川上犬たちが出迎えてくれる。動物も好きな子ども
     たちは大喜びだ。

      
            「川上犬」と子どもたちの出会い

      陸橋を渡って「水晶洞」に向かうと、灰色をした大小の岩がある。これらは「大理石(方解石)」
     だ。この地域には石灰岩が多い。何億年か前、南の暖かいサンゴ礁がプレートに乗って北上し
     日本列島にくっついたものだ。
      地下深くでできた花崗岩が吹き上がり、接触した石灰岩は融けてユックリ冷えて結晶の大き
     な方解石になり、石灰岩のカルシウムを受け取った石英分がザクロ石などに変化したことを説
     明する。

      「水晶洞」に入ると、外の暑さが嘘のように”ヒンヤリ”と涼しいのを通り越して肌寒いくらいだ。

      磁鉄鉱に磁石を近づけて鉱物の「磁性」を体感したり、日本式双晶の2枚の水晶がなす角
     度が色や形が変わっても一定なことの不思議さに驚いている。
      全国の石人が寄贈した都道府県の鉱物を前に、「夏休みにおじいちゃんやおばあちゃんの家
     に遊びに行ったら、鉱物採集を楽しむ」ことをアドバイスする。
      やはり見どころの『緑水晶の日本式双晶』、『甲武信鉱山貯鉱場の自然金』などに人だかり
     がしている。

      
       「緑水晶日本式双晶」晶洞に見入る子どもたち

      意外と人気なのが「蛍光鉱物」だった。懐中電灯の光では”ただの石ころ”にしか見えないもの
     が、紫外線を浴びるとカラフルに蛍光するその変化が面白いようだ。

      展示品に釘づけになり先に進もうとしない子等を急(せ)かせるようにして洞を出ると、『水晶さ
     がし』のサプライズが待っている。
      6月のミネラル・ウオッチングでガマから採集し、「標本玉手箱」で引き取り手のなかった泥や
     褐鉄鉱に覆われた水晶を預かって塩酸で洗浄し、前の日に隠しておいてそれを探してもらおう
     という趣向だ。

      
               サプライズ「水晶さがし」

       ”一人1つ”というルールにしたので、3つも4つも採って、どれにするか悩んでいる子も多い。大
      きな群晶や「黄鉄鉱」が入った水晶を採った子もいる。

      事務所に戻り、「水晶洞」を見学して感じたことを社長に一人ひとり報告してもらう。「展示が
     判りやすかった」とか「蛍光鉱物がきれいだった」などの意見を眼を細めて聞いていて、「こんだア、
     この辺りにでっケエのを作るか」、と新たな展示計画も思いついたようだ。
      私が社長なら、純真な子どもたちの感想で、「水晶洞」が少しでも褒められると、今までやって
     きた苦労が報われたような気になるだろう。
     ( 無論、社長の性格としては、そんなことは全く期待していないだろうが。 )

      
               一人ひとり、感想を社長に伝える

      湯沼鉱泉の駐車場の木陰を借りて昼食を食べる。私は”嫌な出来事”のおかげでお弁当を
     持参できなかったので、着いた時にお姐さんに頼んで作ってもらったおにぎりで昼食だ。
      社長とお姐さんを囲んで記念写真を撮って、ミネラル・ウオッチングの舞台・甲武信鉱山貯鉱
     場へ向かって出発だ。

      
                 社長とお姐さんを囲んで記念写真

3. 甲武信鉱山「貯鉱場」でミネラル・ウオッチング

 (1) 甲武信鉱山貯鉱場跡
      秋山集落の手前から、梓川沿いに進み、甲武信鉱山への林道を入るとすぐに駐車場があ
      る。車を降りて、あらかじめ伝えてあった採集・収納道具をリュックに詰め、長靴に履き替える。
       「スイカ係」の女子に手伝ってもらい、スイカを梓川の流れに沈めて冷やしておく。そして出発
      だ。
       踏み分け道の脇にある白に黒い斑(まだら)模様の岩石を掻いてクイズだ。「この岩石の名
      前は?」。こどもたちから異口同音に「花崗岩!!」、と元気な答えが返る。
       「なぜ、花崗岩なのか?」と重ねて尋ねると、「白い石英と長石そして黒い雲母でできている
      から」と中学1年生にしては完璧な答えで、鉱物授業の知識が身についている。

       さて、問題は梓川の渡河だ。川の水量は先日の夕方より気持ち少なくなった気がする程度
      で、流れは急だ。
       男性の保護者と私が川の要所に立って、K先生が最初に渡って見本を示してもらう。手足が
      先生より長い生徒も多く、一人だけ長靴に水が入った子がいたくらいで、皆さん無事に渡り切
      った。

      貯鉱場の跡に立って、次のような説明をさせていただいた。

      @ 昭和25年ごろまで、ここから500mほど標高が高い位置に鉱山があって、そこで採掘した
        品位の高い鉱石を索道(ケーブル)でここまで運んでいた。
      A 甲武信鉱山は「スカルン(接触交代)鉱床」と呼ばれ、南の海で生まれた珊瑚礁などが
        起源の石灰岩と山梨県側に水晶をもたらした花崗岩とのコラボレーションでいろいろな
        鉱物が生まれた。
      B それは、今から1,200万年くらい前だった。

 (2) 「貯鉱場」でミネラル・ウオッチング

      荷物をおろして、ここでの採集は、つぎのように3通りあることを説明し、実演して見せる。

      @ 表面を見て回り、「方解石」、「水晶」、「柘榴石」などを探す。大きすぎる標本は、持参
        した金槌(かなづち)で小さく割る。このとき、眼鏡(めがね)やゴーグルを着けるのを忘れ
        ないように。
      A 川岸には崖になっている場所があり、そこを掘ると水晶などが次々に出てくる。
      B 私が持参した5つのパンニング皿を交代で使って土砂をパンニングすると、「自然金」や
        「Bi(蒼鉛)−Te(テルル)鉱物」そして「灰重石」など、比重の大きな重たい鉱物
        が採集できる。
        泥を洗って採集するので、「緑水晶」なども見つけやすい。

      実演で採集した「灰重石」の周りを暗幕代わりの風呂敷で囲い、薄暗くした中でミネラライト
     を当てると”青白く”光る蛍光に皆さんびっくりだ。

      今回も「鉱物図鑑」代わりに、ここで採集できる鉱物の特徴や産出頻度を一覧表にまとめた
     『甲武信鉱山の鉱物チェックリスト』を一人ひとりに配った。

      
                   『甲武信鉱山の鉱物チェック・リスト』

       採集開始すると、すさまじい勢いで質問攻めだ。「これは何ですか」、と採集した鉱物の名前
      を聞いてくる。「方解石」、「緑水晶」・・・・・・・、と次々に答える。
       その内、子ども同士で教えあっている。「この緑色で小さい球は緑泥石だって」。それを見て
      上げるとチェックリストには載っていない、先ほど教えた緑泥石に間違いない。教えた子に「MH
      の代わりができるね」と褒めてあげると、ニッコリしていた。

       素晴らしい標本を採集した子がいると全員に集まってもらい「このままでブローチにできるような
      灰バンざくろ石」などと解説する。透明で厚みのある方解石を採集した子がいたので、さらに
      劈開させて「複屈折」して一本の線が2本に見える角度があることを説明する。

 (3) 「金だ!!」
      「金がありました!!」、とお母さんが興奮気味に叫ぶ。「ここに一杯落ちている」と、水面を指
     差す。確かに水の中に金色にキラキラ光る粒が見える。

      
               金色にキラキラ光る砂金(?!)

      子どもたちは冷静だ。なぜなら、パンニングするとその金色の粒は比重が軽いので流れ去り、
     本物の金でないことをすでに学んでいるからだ。
      お母さんには、「黒雲母が風化して金色に見える。金と間違う人がいるので『愚か者の金』と
     いう」と解説すると納得したようだ。

      子どもたちは、パンニングの有効性に気付いたようで、大勢が安全な”淀み(よどみ)”に集まっ
     てパンニング皿を揺すっている。パンニングの最後の仕上げを頼まれて「灰重石」などの重い鉱物
     の揺り分け方を実演する。こうして、念願の「自然金」を手にした子も何人かいた。
      子どもたちにとって手強かったのは「ホセ鉱」で、観察できたのは最初の実演の時に私が採集
     した1つだけだった。
      ( この標本を、近回撮影した写真と一緒にK先生に送る手はずだ )

         
                淀みでパンニング                          「ホセ鉱」
                                                 【採集、撮影:MH】

      1時間ほどたち、「チェックリスト」に採集済みの”〇”も増えたころ、採れていない標本を目指し
     て、ラストスパートをかけてもらう。まだ続けていたい雰囲気だったが、産地を後にする。

      車に戻るとサプライズが待っていた。前日会った愛知県の石友・Dさんがこの日訪れた川端下
     水晶坑の水晶を「子どもたちにやって下さい」というメモをつけて置いてくれていたのだ。K先生に
     順番を決めてもらい、1つずつ好きなものを選んでもらう。
      そのあとは、行きしなに梓川に浸しておいた、夏のミネラル・ウオッチング恒例の冷えたMH農園、
     ではなくて購入した『スイカ』も皆さんに大好評だった。

      
            疲れも見せず元気な子どもたちとお母さん
               【帰途、野辺山での休憩風景】

      野辺山でトイレ休憩の後、予定通り18時に甲府駅に戻ってお別れだ。感想を聞くと「楽しかっ
     た!!」
と元気な声が返ってきて、私は疲れやこの日の朝にあった嫌なことを忘れることができた。

4. おわりに

 (1) 今回のように、小・中学生から大学生、そして鉱物に興味を持ち始めた人々を産地に案内す
    る依頼が舞い込んでくるが、できるだけ都合をつけて対応させていただいている。
     とりわけ、湯沼鉱泉に宿泊したり、「水晶洞」を見学してくれる方は最優先だ。

     ミネラル・ウオッチング一期生の千葉・O家から、「音大を卒業した長女・Hが、友人3人を連れて
    山梨か長野でミネラル・ウオッチングを楽しみたいので案内して欲しい」とメールがあり、快諾した。
     都会のお嬢さんたちなので体力的に長距離歩くのは難しいと思い、今回の中学生と同じコース
    を提案した。
     Hさんに会うのは約10年ぶりになるので、楽しいような気恥しいような、複雑な心境のMHだ。

 (2) きゅうりの双晶!!
      台風が襲来したり、ミネラル・ウオッチングの下見や本番でバタバタしていて、MH農園に1週間
     近くご無沙汰していた。
      久しぶりに行くと、トマトはとうに10段に達していて、先端は2mを超す高さだ。真っ赤に完熟し
     たトマトが小さなレジ袋に一杯採れる。地這(じばい)きゅうり畑を見ると、面白い形のきゅうりが
     なっていたので写真に収めておいた。さしずめ、水晶なら「並行連晶」か「△△式双晶」とでも呼
     べそうな形だ。
      梅雨明け宣言も出て、『ガマ開け』も近いということだろうか。

      
              きゅうりの「△△式双晶」
               【栽培、撮影:MH】

5. 参考文献

 1) 谷山 四方一:鉱物鑑識の実際と鉱山探検,厚生閣,昭和14年(1939年)
 2) 山梨県・山梨県地質図編纂委員会編:山梨県地質誌 山梨県地質図説明書
                           同委員会,昭和45年(1970年)
 3) 益富 壽之助:鉱物  −やさしい鉱物学 -,保育社,昭和60年(1985年)
 4) 中川 清:山梨県の水晶 水晶Vol.11 No.1,鉱物同志会,1998年
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