3. 産状と採集方法
遠ケ根鉱山は、濃飛(のうひ)流紋岩に類する流紋岩や石英斑岩や花崗斑岩の中に脈をなす
鉱床で、鉄マンガン重石、砒鉄鉱を含む石英塊がズリに見られます。
案内のHさんによれば、それらのズリ石が、3ケ所(A,B,C)にあり、そのどこでも同じような
鉱物が採れる様です。
ズリ石のうち石英塊を割り、新鮮な砒鉄鉱や鉄マンガン重石を含む部分を掻きとります。
なお、この一帯は、「松茸山」になっていますので、採集する時期を選ぶなどの配慮が
必要です。
4.採集鉱物
ここで採集できるのは、砒鉄鉱とその2次鉱物のスコロド石、鉄マンガン重石、自然蒼鉛
などで、砒鉄鉱はふんだんにありますが、蒼鉛鉱物は採集できなかった。
(1)砒鉄鉱【Loellingite:FeAs2】
ズリにある表面には黄褐色の鉄錆が見られ、割ると劈開が強く、新鮮な面は銀白色で
金属光沢を示す。硫砒鉄鉱と似ているが、ここのものは、「砒鉄鉱」としておきます。
(2)鉄マンガン重石【Wolframite:(Fe,Mn)WO4】
外側は赤褐色の鉄錆が見られ、劈開が強く、割れ口は黒色・亜金属光沢を示し
大きなものは数cmの長さがある。砒鉄鉱と石英を挟んで共生するものもあり
生成のプロセスを暗示しています。
(3)スコロド石【Scorodite:FeAsO4・2H2O】
砒鉄鉱のように砒素(As)を含む鉱物が分解してできる2次鉱物で、普通は皮膜状で産出
することが多いが、石英や砒鉄鉱の晶洞部分に、灰緑色をした結晶がみられることがある。