栃原金山の自然金

栃原金山の自然金

1.初めに

茨城県の大子町に「茨城 天平の玉 ・栃原金山」と銘打つ、本州唯一 採掘中の金山が
あります。(ありました?)案内パンフレットには、天平時代にこの地方で産出した金を
携えた遣唐使が、これと交換に、その当時の最先端の文物を中国から持ち帰ったとあります。
それを裏書きするかのように、この地域には「盛金」「西金」「金山」「金砂」など
「金」のつく地名が、異常な程集まっています。
平成11年の正月と6月に訪れた時には、観光金山として採掘坑道や選鉱施設巡りがあり、
オプションで椀掛け(パンニング)で砂金採りなども体験できた。
最近、金山の事務所に電話しても応答がなく、大子町の観光協会に問い合わせたところ、
休業しているのか、廃業したのか不明とのことでした。
従って、訪れる前に、電話で確認されることをお勧めします。
(平成13年3月情報)

2.産地

国道118号線を大子町に向かって走り、JR西金(さいがね)を過ぎると
「栃原金山左折」の表示がある。これに従って進むと、約5kmで金山に着く。
正式には、東洋金属鉱業(株)栃原鉱業所です。
観光金山のコースは、マイクロバスで坑口まで行き、坑内に入り、「斜坑」や
「狸堀跡」などが見学できた。
坑道内は、夏でも肌寒いくらいでした。

栃原金山の坑道入口

栃原金山の斜坑【深さ約50m】

栃原金山の狸堀跡【佐竹時代?】
その後、選鉱施設を巡り、最後にオプションで砂金採りが体験できた。
栃原金山の選鉱施設【選鉱テーブル】

3.産状と採集方法

ここは、八溝山系の金鉱床で、苦灰石を思わせる乳白色の石英の中に、硫化鉱物
(黄鉄鉱、黄銅鉱、硫砒鉄鉱など)を伴う自然金で、マグマ起因の金鉱床とされています。
銀を伴い、銀は13〜14%で、比較的均一な組成と言われています。
平成11年には、まばゆいばかりの自然金のついたソフトボール大の石英塊が事務所兼
お土産売場の、ガラスケースに入っていた。
このような標本を採集するのは難しく、現金採集か砂金採り体験で我慢しましょう。

栃原金山の自然金

4.産出鉱物

(1)砂金【Native Gold:Au】
オプション料金を払うと、30cmくらいのパンニング皿を貸してくれ、砂金採りを
指導してくれた。
幅50cm長さ4mくらいの洗い場風の所で、土砂をパンニングして、皿の底に
残った黄金色の鉱物を容器に入れてくれ、持ち帰りできた。

5.おわりに

(1)茨城県岩井市にある「茨城県自然博物館」で2mm程度の自然金がついた
「栃原金山の標本」を触って、見ることができます。
(2)連絡先
金山事務所 :02957−4−1340
大子町観光協会:02957−2−0285
(3)参考文献
天野一男編著;「茨城の自然をたずねて」,築地書館,1997年

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