@マル秘産地
A有名産地
『白鳥山の水晶(巨晶)』『延板(のべいた)の”ハーキマダイア”』
『津具鉱山の輝安鉱』『田口鉱山のパイロックスマンガン』『黄柳野の霰石』
『中宇利鉱山の中宇利石・輝銅鉱・コバルトペントランド鉱・ヒーズルウッド鉱
デュルレ鉱・ブロシャン銅鉱・アルチニ石など』
愛知・Hさんが下見してくれた鳳来町の「サイクリング・ターミナル」は、”貸切状態”で
春の訪れを告げる「ふきのとう」や地元の「ヤマメ」など食べきれないほどの料理で満腹に
なった後、恒例となった『オークション』と『標本玉手箱』さらに『大人の時間』で22時過ぎ
まで盛り上がった。
標本の整理が終わるか終わらないかの内に、恒例となっている5月連休の採集会を何処に
しようかと、頭を悩ませています。
(2005年3月採集)
甲府の自宅を前日に出て、茅野、高遠、飯田を経て信州平谷(ひらや)の道の駅泊。
6時過ぎに津具村に向かうが、途中の気温表示板はマイナス7℃と甲府よりも寒い。
7時に、集合場所の白鳥神社に到着。石川・Yさん、東京・Kさん、愛知・Hさん
愛知・KNさんが到着。Hさんが神社入口で皆を誘導してくれる。
地元の人が集まってきたので、話を聞くと、この日は白鳥神社春の大祭とのことで、邪魔に
ならない位置に車を移動。やがて、愛知・Kさん夫妻、愛知・Sさん一家、静岡・Mさん一家
前泊の奈良・Yさん、東京・Hさん夫妻が集合。地元愛知・KTさんが来ていない。初めての
人もいるので自己紹介の後、愛知・Sさんの先導で産地を目指し先発隊が出発
【白鳥山の水晶】
昨年暮れの下見の時にSさんの奥さんが12cm両錐・その上薄く紫がかった逸品を採集した
愛知・Sさんが開拓してくれたマル秘ポイントに到着。お奨めのポイントの周辺に散らばって
採集開始する。間もなく、愛知・KTさんも到着。
良品は固まっているようで、1本見つかるとその周辺から続々と発見できる。奈良・Yさんの
ポイントは特に好調で、ここが初めての中学生のAさん、小学生のK君も場所を譲ってもらって
楽しんだ。
やがて、愛知・Sさんの”あった!!”の声で駆け寄ると10cmの巨晶。採るべき人が採った
と一同納得。
【津具鉱山の輝安鉱】
途中、津具村役場でトイレ休憩の後、”輝安鉱”にご執心の愛知・Hさんの先導で、津具鉱山に
向かう。昨年11月ごろ、砂防ダムが完成したようで、産地の状況が一変している。現地参加の
愛知・Iさんと合流、採集を開始する。
もともと、輝安鉱の採集は難しかったが、一段と厳しい状況。それでも、産地に慣れている
Hさんが『毛鉱』と思われる産状のものを採集し、これは、この日の玉手箱に直行。
上のほうのズリで、私が輝安鉱を含む母岩を発見し、小割りにして、早速ジャンケンで玉手箱
がご開帳となった。
そうこうする内に、Sさんの息子・Y君が「中川さん、これ」と差し出したのは、立派な石膏の
結晶がビッシリついた掌大の素晴らしい標本であった。ただ、結晶にダメージを与えずに持って
帰るのが難題で、車まで手に持って帰るしかなかった。
そろそろ引き上げようかと言う矢先、東京・Kさんが「これ何ですか?」と見せてくれたのは
放射状に結晶した輝安鉱の塊であった。ここから、Kさんの”ラスト5分”伝説が始まった。
【津具村役場で昼ごはん】
再び津具村役場に戻り、冷たい風を避け、陽だまりで昼食とする。
【田口鉱山のパイマンを狙え!!】
田口鉱山のズリに到着し、2年前、奈良・Aさんの息子T君がパイマンの良品を採集したあたりを
中心に採集を開始する。
愛知・Hさんが「初めて、老眼でも見える満バン柘榴石」を採集したとご満悦であった。
しかし、本命の”パイマン”を採集したという歓声は聞かれない。そろそろ引き上げようか
という頃になって、またしても東京・Kさんが「これ何でしょう?」と鑑定に持ち込んだのは
紛れもない”パイマン”であった。またしても、Kさんの運の良さ(実力?)には恐れ入った
一同であった。
【”延坂(のべさか)のハーキマダイア”を求めて】
愛知・Sさんに今回の採集会の案内をお願いした1ケ月ほど前に、新たな産地としてここを開拓して
くれた。何でも、ある書物に『延坂の水晶』の記述があるのを見かけ、水晶産地開拓の嗅覚に
物を言わせ、この場所を特定したとの事である。その努力たるや、以って瞑すべし。
産地の急斜面には、最大でも2cm程度と小さいながらも、”キラキラ”と輝きの強い水晶が
点在し、”ハーキマダイア”と呼ぶに相応しい。
日暮れも近くなり、今夜の宿である鳳来町「サイクリング・ターミナル」を目指すことにする。
【サイクリング・ターミナルの夜はふけて】
ここは、愛知・Hさんが若かりし頃、自宅から3時間自転車をこいできた場所で、競輪売上金の
補助でできた施設らしい。建物はやや古びているが、綺麗に手入れされて気持ちが良い。宿泊客は
われわれ一行だけの”貸切状態”であった。
10人以上入れる、ジェットバスを備えた広い浴槽で、第1日目の疲れをとる。お風呂から上がると
皆さんお待ち兼ねの懇親会だ。
それまでの間、オークション担当の愛知・Kさん夫妻が、皆さんから提供していただいた標本の
品定めをして、オークションに回す28点を選んでくれた。
@「懇親会」
皆さんお待ちかねの懇親会が、宴会部長・Hさんの司会でスタートした。この日の案内や下見で
ご苦労いただいた愛知・Sさんの乾杯の音頭で、ビール(子どもはジュース)を”キュ〜ウッ”と
飲み干すとあちこちから”ウマイ!!”の声があがる。
鍋物に火を点し、春を感じさせる「ふきのとう」の天ぷら、「ヤマメ」など食べきれないほどの
料理が並んでいる。ヤマメの塩焼き1匹と焼いたヤマメに八丁味噌を塗った1匹がペアで出され
愛知・Sさんの奥さんの解説によれば、これが正式なおもてなし料理との事。
宴たけなわとなり、宴会部長から事前に参加者に要請があった
@自己or家族の紹介
A鉱物採集を始めたきっかけと、その「鉱物」
B今、「はまっている鉱物」
C自分の目指しているコレクションの姿
などを、披露しあう。
A「オークション」
懇親会の後、お待ちかねの「オークション」と「標本玉手箱」がスタートした。
2004年GWの採集会から導入した「オークション」は、私の所属する「鉱物同志会」で
採用されている「逆ブービー方式」と呼ばれる、”2番目”に高い値段を付けた人が落札する
ルールです。
これは、悪戯に、価格を引き上げないための配慮です。
「標本玉手箱」に提供された標本の中から、28点をオークション向けに宴会の前に選んで
頂いており、点数が多いので、2番目に高い値段を付けた人が自動的に落札する”即決”方式
とした。(ただし、同じものを既に落札している場合、”辞退あり”というルールにした。)
オークショナーの愛知・Kさん夫妻の息の合った進行で、次々と落札した。
オークション落札一覧 | No | 鉱物(出品)名 | 産地ほか | 出品者 | 落札価格 | 1 | 緑水晶 | 甲武信鉱山 | 愛知・Kさん | 680円 | 2 | 水晶 | 奈良五代松鉱山 | 愛知・Kさん | 490円 | 3 | 紫水晶 | 福島県裏半田鉱山 | 東京・Mさん | 900円 | 4 | マンガンパイロクスマライト | 栃木県久良沢鉱山 | 東京・Mさん | 400円 | 5 | パイロファン石 | 愛知県久田野採石 | 愛知・Iさん | 210円 | 6 | 異極鉱・水亜鉛銅鉱 | 滋賀県灰山 | 愛知・KNさん | 350円 | 7 | 焼餅石 | 長野県武石村 | 愛知・Iさん | 450円 | 8 | 輝銅鉱・ヒーズルウッド鉱 | 愛知県中宇利鉱山 | 愛知・KNさん | 360円 | 9 | ベスブ石(2セット) | 岐阜県洞戸鉱山 | 愛知・KNさん | 300〜140円 | 10 | コバルトペントランド鉱 ヒーズルウッド鉱(3セット) | 愛知県中宇利鉱山 | 愛知・KNさん | 210〜200円 | 11 | 自然銅 | 愛知県中宇利鉱山 | 愛知・KNさん | 230円 | 12 | リヒター閃石・吉村石(2セット) | 愛知県田口鉱山 | 愛知・Iさん | 440〜400円 | 13 | 水晶・束沸石 | 神奈川県・玄倉 | 東京・Mさん | 30円 | 14 | 蛭川村鉱物20種セット | 岐阜県・蛭川村 | 愛知・KDさん採集品を 山梨・Mineralhuntaersがアレンジ | 1,680円 | 15 | 紫水晶 | 石川県・遊泉寺銅山 | 石川・Yさん | 490円 | 16 | 紫水晶・緑鉛鉱セット(2セット) | 石川県・尾小屋鉱山 | 石川・Yさん | 480〜100円 | 17 | 紫水晶群晶 | 石川県・尾小屋鉱山 | 石川・Yさん | 840円 | 18 | 紫水晶(4セット) | 石川県・尾小屋鉱山 | 石川・Yさん | 700〜340円 | 19 | 黄鉄鉱 | 石川県七尾市 | 石川・Yさん | 490円 | 20 | 灰礬柘榴石・葡萄石 | 岐阜県洞戸鉱山 | 愛知・KNさん | 480円 |
---|
No2「五代松鉱山の水晶」は、採集禁止となった、現在では貴重なもの。
No14「蛭川村の鉱物20種」は、ありふれた鉱物の代表である長石の双晶3種類(バベノ式
マネバハ式、カルースバード式)を揃え、ミネラライトで緑色に輝く玉滴石もあり
人気が高く、一番高額で落札していただきました。
(特に、マネバハ式双晶は少ないと思います。)
No15〜19は、石川県の産地の標本を地元・Yさんが提供してくれ、「北陸採集行」への
要望が一段と強まりました。
「オークション」の売上に一番寄与してくれたのは、愛知・Sさんの息子Y君で、半分近くを
落札してくれた。売上総額は、15,000円近くになり、飲み物代がでた勘定です。
B「標本玉手箱」
標本玉手箱には、「津具鉱山の輝安鉱(毛鉱?)」(気付かない人が多かったようです)
「石槫の蛍石(緑・紫結晶)」「中宇利鉱山の輝銅鉱」などオークションに入れてもおかしく
ない逸品も並びました。
特に、愛知・KNさんが出品してくれた河津鉱山産標本は、次の日訪れても採集できる保証
もなく、”保険”あるいは”眼慣らし”用として人気が高かった。
今回のルールは、愛知・KTさんが作成してくれた鉛筆を使った”クジ棒”を引き1〜16番の
順番を決め、最初は1番→16番の順で1点選び、次は16→1番の順で、これを繰り返した。
残った標本は、お化粧直しをして、次回採集会に回す予定です。
C「大人の時間」
持ち寄ったお酒を飲みながら、鉱物談義に花を咲かせ、早朝からの疲れもあり、早めに
お開きとなった。
石川・Yさんは、仕事の都合で2日目に参加できず、この後、石川まで帰って行った。
(若いという事は素晴らしい〜〜実感〜〜)
【2日目のスタートだ!!】
静岡・Mさん一家とは、ここでお別れすることになり、出発前に記念写真を撮る。宿に到着
したときには気付かなかったが、桜が満開である。植えられているのは、河津桜で、何でも
鳳来町と河津町が姉妹都市の関係で植えてあるとの宿の人が教えてくれた。
【棚山のノーブル・オパールを求めて】
2年前の採集会では棚山から流れ下った海老川支流・谷川の河原で採集したが、今回は
オパールの原産地である棚山高原林道のゲートの上流で採集する事にした。悪路の林道を
車の腹を擦らない様気を使いながらゲート前に到着すると、既に当日参加の愛知・KTさん
愛知・KDさん(私の一番古い石友)そして愛知・KAさん(私の石の師匠)が待っていた。
自己紹介の挨拶の後、KAさんの案内で、約15年前の砂防工事に伴って、ノーブル
オパールが産出した場所で、採集を開始する。
白・青・黄の蛋白石は比較的簡単に採集できるのだが、遊色を示す貴蛋白石はなかなか
見つからない。それぞれ、採集範囲を広げ、ここぞと思う場所で、採集する。
やがて、愛知・Kさんの奥さんが、「ありました!!」と見せてくれたのは、青から紫に
色が変わるノーブルオパールである。流石、”オパールの女王”と自称するだけのことは
あります。(以前、谷川の河原でも採集したこともあると伺った)
【黄柳野の霰石】
KAさんとKDさんは、「白鳥山」に行くと言うので、ここでお別れ。
(両ベテランを走らせるほど、12cmの巨晶は魅力的なのです)
途中のサークルKで、トイレ休憩と昼食を購入し、黄柳野に向かう。
「黄柳野の霰石」は、絶産かと思いきや、下見した愛知・Hさんが隠し玉を出してくれたり
蛇紋岩塊の霰石脈を割って、新鮮な霰石を出し、皆さん良い標本が採集できたようです。
【中宇利鉱山】
お昼ご飯を食べたあと、中宇利鉱山を目指す。中宇利鉱山では、採集中に亡くなった方が
おられるので、ヘルメットの着用など、安全に留意して産地を目指す。ズリを喘ぎながら登ると
露頭には”ポッカリ”坑口が開いており、古い坑道の側面に当ったらしく、坑道は左右に
それぞれ数メートルのびている。
地元愛知・KNさんは、2005年2月に、大きな「輝銅鉱」「磁鉄鉱」の塊を採集し、そのお裾分け
が前の晩の「玉手箱」に回った。KNさんのお奨めの場所で採集し、「中宇利石」「アルチニ石」
など比較的わかりやすい鉱物は皆さん難なく採集できた。
東京・Hさんの奥さんは、「アルチニ石」の良品と「コーリング石(?)」を採集された。
しかし、「輝銅鉱」などは、どのような石に来るのかが解らないと難しい。
@手に持って、重い。
A糸つき磁石が勢い良く吸い付く。
(殆ど母岩が強い弱いの差こそあれ磁性を帯びており、これも万能ではない)
などを、手がかりにそれらしい母岩をひたすら割ってはルーペで覗く。やがて、愛知・KTさんが
「黄色いのあった!!」と叫び、見せてもらうと蛇紋岩の間の鉱石にコバルトペントランド鉱と
ヒーズルウッド鉱が燦然と黄金色を放っている。「自力採集できた!!」と満足気であった。
愛知・Kさんのご主人は、コバルトペントランド鉱の入った標本の片割れを、割った拍子に
飛ばしてしまい、「残念〜〜」
誰かが採集した見本を見て、ほとんどの参加者が「輝銅鉱」などを採集できたようであった。
もう1つの坑道近くで、銅の2次鉱物が採集できるとの情報があり、そちらに移動する。
磁鉄鉱を含む鉱石の表面に緑色の2次鉱物が付着し、良く見ると「孔雀石」と稀に「ブロシャン
銅鉱」がある。愛知・Hさんは、「初めて、ブロシャン銅鉱を採集できた!!」と感激の面持ち
であった。
【いざ、帰りなん】
いつもながら、後ろ髪を引かれる思いで、3時過ぎに採集を切り上げる。次回、5月連休採集会
での再会を約し、皆さんとお別れした。
愛知・Hさんが、私たち、東京方面組を「三ケ日IC」まで先導してくれ、スムースに高速に乗り
「清水IC」でおり、甲府に無事帰宅した。東京方面は渋滞で遅くなったようだが、皆さん無事帰宅
されたとのメールをいただいた。
(2)採集した標本の整理・記録が一段落しないうちに、恒例となっている5月連休採集会の計画で
頭を悩ませています。
また、皆様とお会いできるのを楽しみにしています。