北極圏をめぐる地球一周の旅 【船内ミネラル・ウオッチング】 ( Tour around the World & Arctic Circle 2016 , - Mineral Watching in Ship - )









              北極圏をめぐる地球一周の旅
              【船内ミネラル・ウオッチング】

        ( Tour around the World & Arctic Circle 2016 , - Mineral Watching in the Ship - )

1. はじめに

    6月6日20時ごろ、ノルウェーのソグネフィヨルドを出て、船は次の目的地「氷と火山の島・アイスランド」を目指して
   北大西洋に出るところだった。
    2015年の南極探検のときはいつでも「操舵室」を見学できたが、この船では「船内ツアー」の日時・人数も決まって
   いて、予約が必要だった。それに申し込んだのはだいぶ後になってからだ。

    時計を6月4日に戻す。ベルゲン港に向かって船はゆっくりと進んでいた。暇なので船内を探検してみることにした。
   探検というと大げさだが、気になっている場所をジックリみてみようという気になった。

    5階の写真プリンターの脇にショーケースがあり、その中に鉱物(石?)らしきものがあったので、船内でミネラル・
   ウオッチングをしてみようという気になったのだ。
    (2016年6月4日 体験 )

2. 何を飾ってあるの

    幅80センチ、高さ1.8mくらいのショーケースの中に並んでいるのは、訪問した国々(寄港地)との友好・親善の
   しるしを交換した時に、相手国からいただいた品々だ。

    
                   ショーケース

    3段の棚の最上段右はギリシャ・コリント市長、中は韓国の「緑の基金」、最下段の左は中国、右は南米のようだ。

    気になっていたのは、中段左側にある、4 × 3 のマスに入っている鉱物(岩石?)標本らしきものだった。

3. 地学標本

    中段左側にあるのは、やはり「地学標本」で、4行3列のマス目に12種の鉱物類が納められている。日本では、
   『ブック型標本』、と呼ばれるもので、この型式の考案者は、「長島石」や名著「日本希元素鉱物」に名を残す、
   長島 乙吉(おときち)氏だ。

    
                   鉱物標本

    誰もが抱く疑問は、@ 寄贈した国はどこか、だろう。 次いで、多少なりとも鉱物に関心のある人なら、A 12種の
   鉱物は何か、であろう。

    アラビア語と英語で「鉱物名」と「産地」が書いてあるので、なんとなくアラブ諸国のどこかだろうと推測はできるのだが
   これらの疑問に蓋の内側に張ってあるラベルが答えてくれる。

    
                         標本ラベル

    これを読めば大方の疑問は解決する。ここでも、『ラベルのない標本は価値がない』 は真理だ。

    左上に書いてある英語から、これを寄贈したのは、サウジアラビア王国だとわかる。そしてこの標本は、King
   Abdulaziz University (略称 KAU) が作製したもののようだ。

   【余談】
    ネットでKAUについて調べてみて驚いた。2014年の世界大学ランキングの7位にランクされているのだ。第1位はアメ
   リカのハーバード大学で、上位10大学のうち8つをアメリカが占め、日本の東大が24位だから、KAUの7位は驚異だ。
    ランキング上位に入るには、論文の発表数と被引用数が重要で、日本の多くの大学が苦しんでいる国際性も
   評価対象になっている.これらの評価指標で高得点を取るためにKAUが採用した作戦は、オイルマネーにものを言わ
   せて、論文の被引用数が多い研究者を外部教授(非常勤教員)として高給で雇用しているらしい。

    さて、標本のラベルをよく見てみよう。

MAGNETITE
(磁鉄鉱)
PYRITE
(黄鉄鉱)
GRANITE
(花崗岩)
GYPSUM
(石膏)
BARITE
(重晶石)
ANORTHOZITE
(斜長岩)
MAGNESITE(菱苦土石) BAUXITE(ボーキサイト)
PERIODOTITE
(橄欖(かんらん)岩)
BIVALVE
(2枚貝【化石】)
FLIORITE
(蛍石)
MARBLE
(大理石)

    標本には、「磁鉄鉱」などの『鉱物』6種のほかに、「ボーキサイト」のような『鉱石』が1種、「花崗岩」などの『岩石』
   4種、そして「2枚貝」の『化石』1種だ。その構成は、戦前の小学生が理科の授業で使った「地学標本」と同じだ。

    これを調製した人は、地学・鉱物・あるいは英語の知識が十分でないようで、「斜長岩」の英語のスペルが正しくは
   ” ANORTHOSITE ” だ。

4. そのほかの鉱物

    船内やデッキには植木や植物が植えられている。船旅だと陸地、とりわけ陸に生えている緑の草木に”渇望”する
   のを少しでも癒そうという配慮なのだろう。植木鉢の根元に鶏卵大の真っ白い丸っこい石が敷き詰めてあった。それは
   大理石だった。鉱物名でいえば「方解石」だろうか。
    別に珍しいものでもないので、お土産にもらおうなどという考えは、爪の先ほども思い浮かばなかった。

5. おわりに

 (1) 『船で楽しむ日本文化』
      「船内新聞」を読み直してみると、この日船の中では、日本文化紹介のイベントが開催された。およそ1,000人
    の船客の中にには一握りだが外国人もいて、日本文化に興味を持っている人が少なくない。
     私がイギリスでロンドンからドーバーへの電車の中で、イギリス人女性から「日本の仏教・神道」について質問され
    シドロモドロだったように、日本人でも日本の歴史・文化そして宗教などを日本語でですら説明できる人は多くない
    だろう。そんな理由(わけ)で、この企画の開催になったようだ。

     【第1部】
     ◇ 武道や日本の遊び、寄席など様々な文化の紹介
     ◇ 茶道体験

     【第2部】
     ◇ インターナショナル参加者紹介
             &
       ゆかた de みんな de 盆踊り

     私はいつものように写真係で、浴衣の着飾ったRayさん一家の写真を撮った。

          
           Rayさん                Teresaさん               Leeさん

     浴衣を着て、楽し気に踊るLeeさんに、この先訪れるアイスランドで摩訶不思議なことが起こるとは夢にも思わな
    かった。

6. 参考文献

 1) 松原 聰、宮脇 律郎:日本産鉱物型録,東海大学出版会,2006年
 2) 地球の歩き方編集室編:各国編2013〜15,ダイヤモンドビッグ社,2015年


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