北極圏をめぐる地球一周の旅 【ノルウェー2 -フィヨルドクルーズ-】 ( Tour around the World & Arctic Circle 2016 , Norway 2 - Fjord Cruise - )









              北極圏をめぐる地球一周の旅
              ノルウェー2 - フィヨルドクルーズ -】

              ( Tour around the World & Arctic Circle 2016 , Norway 2
                                               - Fjord Cruise - )

1. はじめに

    6月5日、23時ごろ船はノルウェーのベルゲン港を出港した。周りは”薄暮”だ。それもそのはず、ベルゲンは北緯
   60度23分にある。日本近辺だと、サハリン(樺太)の北端が北緯55度で、カムチャッカ半島の付け根くらいの緯度だ。
   しかも、6月初旬で夏至が近く、一年中で一番陽が長い時期なのだ。

    
                    ベルゲン港を出港
                   【23時なのに薄明るい】

    カモメの群れが空を舞い、われわれを見送ってくれている。船は北に進路をとり、「ソグネ・フィヨルド」を目指して
   ゆっくりと進んでいく。23時30分ごろになってようやく山の端に陽が沈む。きれいな夕焼けで、明日も好天気が期待
   できそうだ。

    
                    ベルゲンの夕日

    調べてみると、ベルゲンの1ケ月の降水日数は23.5日で、3日に2日は雨が降る計算になる。東京は9.4日だから
   倍以上雨の日が多いのに、こんなに晴に恵まれるのは”ラッキー”なのだ。

    翌日は、大型船に乗ってのフィヨルド・クルーズが楽しめそうだ。
    (2016年6月6日 体験 )

2. フィヨルド・クルーズ

    ノルウェー観光の目玉は、”フィヨルド・クルーズ”だ。前の日、オプショナル・ツアー「フィヨルド列車とフェリーでゆく
   ソグネフィヨルド観光」を楽しんだ。
    グドヴァンゲンから200トンくらいのフェリーに乗り、フロムまでのクルーズを楽しんだ。フェリーに乗っていたのは、ものの
   2時間くらいだった。デジカメのGPS位置情報を世界地図の上にプロットしてみると、最も美しいとされる「ネーロイ・
   フィヨルド」から「アウルランド・フィヨルド」の行き止まりまで航行したのだった。

    同じ手法で今回航行したところを地図にプロットしてみると、世界第2位、ノルウェー最大のソグネ・フィヨルドの
   入口から、「アウルランド・フィヨルド」の行き止まりフロムまで、存分に楽しんだことになる。
    黄色い線が前の日の航路、赤が今回の行き、群青が戻りの航路だ。2日間で、ネーロイ・フィヨルドの入り口から
   フロムまでは1往復半したことになる。

    
                           フィヨルド・クルーズ・マップ

3. 「ソグネ・フィヨルド」クルーズ

   朝6時過ぎにデッキに出てみると、陽は高く昇り、船はフィヨルドの中をゆっくりと走っていた。この辺りはフィヨルドの
  幅も数キロと広く、島と島の間を航行しているように錯覚する。

    
                 ソグネ・フィヨルドの中ほどを航行

    ソグネ・フィヨルド遊覧予定表の地図を見ると、夜中の2時ごろにはソグネ・フィヨルドの入口を通過したようだ。それ
   から4時間経っているので、80キロは奧まで入ってきているはずだ。最初の目的地フロムまで入口からおよそ120キロ
   だから、2/3くらいまで来ているだろう。

    
                  ソグネ・フィヨルド遊覧予定表

    やがて、両岸が迫って来て、幅は1キロあるかなしかになる。朝の気温は20℃くらいなので、船が日陰に入ると肌寒
   く感じられる。女性たちはマフラーを巻いたり、防寒対策をしているのだが、カナダ人のトーマスさんは、半袖シャツ姿
   で、寒さを感じないようだ。
    ( ゆるキャラの左の2人は新婚さんで、独身のトーマスさんはその熱に当てられたかも )

    
         ソグネ・フィヨルド遊覧記念写真
            【ゆるキャラを囲んで】

    8時半ごろ、見覚えのある景色が見えて来た。右手に見えるネーロイ・フィヨルドとの合流点だ。ここから先は前の
   日にフェリーで通ったところだ。

    
                  ネーロイ・フィヨルドとの合流点

    全長205m、3万5千トン余もある大型船がこんな狭いフィヨルドを航行して底を擦(こす)ったりしないのか気になる
   ところだが、水深は1,000m前後あると聞くと一安心だ。

    もともと波が少ない鏡のような水面だが、大型船だと揺れがほとんど感じられずなくて滑るように進む。フェリーより
   視点が高いので、前の日に見たと同じ景色でも違って見えるから不思議だ。

    
                  アウルランド・フィヨルド入り口

    9時半ごろ、これも見覚えのあるフロムの町が見えて来た。ここで船は180度方向を換え、ネーロイ・フィヨルドに向
   かう。船は左に曲がりネーロイ・フィヨルドに入り、グドヴァンゲンを目指す。

    
                    グドヴァンゲンを目指す

    フロムとグドヴァンゲンの間は定期フェリーが就航しているので、その1隻とすれ違う。前の日の自分が乗った船を
   見る、これまた不思議な感覚だ。

    
                    定期フェリーとすれ違う

     岸辺をみるとやや平坦な部分があるようで、”ガレた”岩石が積もっている。先ほど深さ1,000mと言ったが、まっ
    すぐ垂直に1,000mあるのではなく、”河岸段丘”状になっているのかもしれない。

    お昼近くに、グドヴァンゲンの港が見えて来た。港の左側に真っ白い石の採掘場をよもや忘れることはない MH だ。

    
                 グドヴァンゲンの港と採石場

    ここでも船は180ど方向転換し、北海に向かってフィヨルドの出口に向かう。進行左側の切り立った岸壁に一筋の
   滝を見つけシャッターを押す。この岩山と少なくとも1,000m下まで一つの巨大な岩体でできているのかと思うと、ノル
   ウェーの自然の雄大さに心打たれる。

    
                   垂直の岸壁を下る滝

    船はフィヨルドの出口に向かってややスピード・アップして進む。幅が広くなり、出口が近いことを予感させる。

    
                  フィヨルドの出口を目指す

    船が北海にでたのは予定の20時ごろだった。これで、スウェーデン→フィンランド→デンマーク→ノルウェーの順に巡った
   北欧4か国の旅を終え、次なる目的地は「氷と火山の島・アイスランド」だ。

4. ノルウェーで思いつくこと

    読者の皆さんは、ノルウェーで何を思いだすだろうか。10月になると全世界のメディアが注目する「ノーベル賞」、
   ヨーロッパ中を震え上がらせた「ヴァイキング」、観光名所として有名な「フィヨルド」などなど、いろいろあるだろう。

    私の場合は、南極点に最初に到達した探検家・アムンセンだ。最近、「最後のヴァイキング」と題するアムンセンの
   伝記を読んだ。
    イギリス人・スコットとの「南極点到達競争」は当然知っていたが、それまでの38年間、そしてその後の16年間の
   彼の人生を初めて知った。
    不可能を可能にする強靭な身体と精神力、そして行動力で最後の秘境・極地に挑戦し続けたので、「最後の
   ヴァイキング」と呼ぶにふさわしい。
    一方、今まで語られることが少なかった私生活面では、探検家につきものの「借金地獄」、生涯独身を通しながら
   も「人妻との恋愛」、などなど色どり豊だった。
    イタリア人探検家・ノビレが行方不明と知って1928年6月18日にフランス提供の飛行船で捜索・救援活動に出発し、
   行方不明になる。56歳だった。

    常々周りに「活動中に死ねれば本望」、と漏らしていたアムンセンらしい最後だった。

5. おわりに

 (1) フィンランドのトマト
      フィンランドで人参、トマトそして赤かぶの種を買った。帰国した年の秋に人参の種を播いてみたが、水を切ら
     せてしまい、発芽しなかった。『人参作りに水切らすな』の農事諺通りだった。

      2017年夏近くになって、トマトの種を自宅プランターに播いたところ発芽し、暑中見舞いはがきの写真に使れる
     ほどに苗は順調に育ち、8月に畑に定植した。甲府盆地の暑い夏に適応できないのか、なかなか大きくならなか
     ったが、秋風が感じられる9月になって小さな黄色い花をつけ、やがて小さなあおい(緑色のこと)実がビッシリと
     ついた。朝夕涼しさが募ると、実は真っ赤に熟しはじめた。

    
                フィンランドのトマトがなった!!
                  【MH農園 2017年10月】

      さて、肝心なお味の方だが、”トマト臭さ”が全くないのだ。そういう意味では食べやすく、9月末の週末に千葉の
     孫娘が帰省した。お土産に持って来てくれたのは5月連休に帰省した時に家族で近くの川に釣りに行ったときの
     絵だった。

    
                   じいじと孫娘で魚釣り
             【川岸にいる2人と橋の上で見守る家族】

      フィンランドのトマトを孫娘に食べさせたら好評だったので、山梨名産のブドウやMH農園の野菜と一緒に明日
     送って上げるべく、荷造りを終えたところだ。
      しかし、日本のトマトを食べなれている私には、うまみやコクが薄くて物足りない。木のような仕立てで、背丈が
     低く、棚を作る必要がないので作りやすく、来年も作ってみようと種を採ったところだ。

 (2) ノルウェー硬貨
      妻の母親の介護にかかわるようになって1年になる。痴呆が進んでいるとはいえ、ケアマネージャー、ヘルパーさん、
     そして施設や業者の皆さんのおかげでQOLの高い日々を送っている。介護の先輩たちから「自分たちだけで抱え
     込まないように」とアドバイスいただいた通りに実践している。

      北関東に妻の妹の墓参に行った帰りに、ミネラル・ウオッチングと骨董市を巡ってきた。骨董市のとある店先に
     硬貨(コイン)が山のようにあった。外国のコインも多く、2016年に訪れた国のコインを選び出した。中にノルウェー
     のも何枚かあったので、まとめて購入した。
      1KR(クローネ)が15円、1ORE(オーレ)が0.15円だ。それにしては、立派な銅貨で、国の豊かさを表わしている
     ようだ。

       
           山のような硬貨(コイン)               5KR         2ORE     1ORE
                                              ノルウェーのコイン

6. 参考文献

 1) 地球の歩き方編集室編:各国編2013〜15,ダイヤモンドビッグ社,2015年
 2) スティーブン・R・バウン著、小林 政子訳:最後のヴァイキング,国書刊行会,2017年


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