・ ハワイ・オアフ島のオリビン(かんらん石)
( Olivine of Oahu Island , Hawaii , U.S.A )
この時、「オリビン(橄欖石:かんらんせき)」を採集したかったが、結局小さな結晶が入った溶岩を購入した
だけで、オアフ島での採集は難しいことが判っていた。
次回ハワイを訪れるときは、ハワイ島まで足を伸ばし、ぜひとも「オリビン」を採集したいものだと思っていた。
そのため、日本を出発する前から、次のように準備を進めていた。
・ 産地情報の収集
ハワイ島は活火山の島で、キラウエア火山は現在も噴煙を上げ、流れ出た真っ赤な溶岩が海に流れ
落ちる光景は映像で見た方も多いはずだ。これらの火山活動に伴う鉱物や岩石が採集できるようだ。
何よりも、「グリーンサンド・ビーチ」は、”オリビン(橄欖石)の砂”でできていて、名前の通り緑色に見え
るらしい。当然これらのオリビンを含む溶岩が近くにあり、うまくすれば「母岩付き」が採集できるはずだ。
産地は、島の南東部にあるので、西側にあるコナ空港よりも東側にあるヒロ空港を利用することにした。
・ 航空券の予約
オアフ島とハワイ島ヒロ空港の便は、それほど多くなく、時間帯によっては2時間に1便くらいしかないから、
無駄なのだが空港での待ち時間を長めにとった便を予約する必要がある。
入港が7時だから、入国審査で1時間、空港まで30分、離陸1時間前にチェックインするとみて、9時30分
以降の便になるので、ホノルル 11:02 発を、同時に、帰りの便は翌14日、ヒロ 14:53 発を日本にいる
ときにインターネットで予約し、カードで支払いも済ませておいた。(片道 税・サービス料込 12,600円)
・ レンタカーの予約
ハワイ島は公共交通機関がほとんどない。しかも自由に動こうと思うと、レンタカーが必要不可欠だ。
カナダでレンタカーを借りたように、インターネットでハワイ島のレンタカー会社を探し、”小型車”を24時間
予約し、カードで支払いも済ませておいた。車社会のアメリカはレンタカーも安い。(料金 7,442円)
・ 採集用具の持参
「母岩付き」を採集するには、ハンマーとタガネが不可欠だ。帰りは採集した岩石・砂で重たくなるはず
だから用具は捨ててくるつもりだった。2000年、ドイツに出張した時に、鉱物採集に案内してしてくれる
ことになり、急きょ現地のホームセンターで買ったハンマーとタガネを持参した。
この”ハンマー”が問題になるとは、船を出るときは思いもつかなかった。
こうして、ハワイ島ミネラル・ウオッチングの準備は整った。
この2日ほど前、船の中で「ホノルルでワイキキビーチに近い、できれば”オーシャン・ビュー”のホテルを予約して
欲しい」、と頼まれ、インターネットで探して予約してあげたことがあった。その人が泊るホテルはこの辺りにあるは
ずだ。
朝食を済ませている間に、船はホノルル港クルーズターミナル2埠頭に接岸していた。アメリカの入国は厳格で
全員対面審査を受けることになった。寄港した23カ国の内、対面審査があったのはアメリカだけで、いかにテロ
に神経をとがらせているを肌で感じた。これは、アメリカが他国から憎まれているかの裏返しなのだろう。
対面審査はIDカードの番号の若い順に行われることになっていた。この4ケタの番号は、申し込み順だという
人もいた。
IDNo が話題になり、お互いに見せ合っていると私の IDNo42627 と続き番号の人がいたので、カードの写真を
撮らせてもらった。そうなると IDNo0001 の人の顔を見たくなるのがMHの困った性(さが)だ。対面審査が始まる
前に会場に行き、先頭に並んでいる女性に確認すると、IDNo0001 だったので記念に写真を撮らせていただい
た。申し込んだのは何年も前ではなく、私よりも少し早いくらいで、IDNo 神話は崩れたようだ。
予定の8:30よりも30分以上早く、私のグループ IDNo2000 番以降の番になり、いよいよ私の番だ。審査官は
一通りパスポートと入出国書類を見たあと、しげしげと私の顔を見て、笑いながら
審査官「奥さんにやられたのか?」
私 「いや、ガールフレンドだ」、と言って小指を立てた手を見せた。
審査官は、笑いながら ”ポン”、”ポン”、と書類にハンコを押し半券とパスポートを返してくれた。これで無事
入国できることになった。
「ハワイ航路」のページに写真を載せておいたが、私の唇にはヘルペス、鼻梁(鼻の頭)には日焼けの”より”
が出ていて、まるで激しい夫婦バトルの跡の様相だったのだ。
■ ホノルル空港まで
ハワイで下船するRay夫妻などとお別れの挨拶を済まし、いつでも下船できる体制ができた。翌14日に飛行
機で日本に帰るKさんから、「MH、明日空港まで行くタクシーを予約して欲しい」、と頼まれていたので、一緒に
舷門を出たのが8:30だった。ターミナルの出口に何台かタクシーが並んでいて、その内の1台をつかまえて、運転
手に「明日の朝8時にこのご婦人をピックアップして、ホノルル空港まで届けて欲しい」、と頼み、念のため名刺
をもらってKさんに渡しておいた。
【後日談】
翌日、このタクシーが迎えに来てくれ、指をケガして急きょ飛行機で帰国することになったIさんと一緒に乗って
空港まで行き、無事帰国できたとメールがあった。
私も居合わせたタクシーに乗り込み、「ハワイ島に初めて行く」と伝えると、ハワイ島の気候などを解説して
くれるその英語が良く理解できる。
実は、ここに来るまで米国人のRay夫妻などとは話が通じるのだが、現地の人たちとの英会話がイマイチ通じ
なくて、”自信喪失”気味だったのだ。入国審査の検閲官とのやり取りあたりから、話が通じるようになってきた
のだ。気分が良くなってきたので、タクシーのメーター料金は25ドルとチップ5ドルを渡す。
■ 飛行機に乗り込むまでが大騒動
チェックインカウンターに行くと、まだ9時だったので、早い便に空席があればそれにしてもらおうとしたが満席で
ダメだった。11:02発の搭乗券を受け取る。座席も日本で予約しておいた19Fで、右翼の上だ。
9時半ごろ一旦待合室の外に出て、手持ちのドルがほとんどなかったので、両替することにした。3万円で
貰ったのは228米ドルだから、1ドル136円くらいで、えらくレートが悪い。内訳を見ると、1米ドル126.8円に手数
料7.95米ドル取られている。まさに観光地レートだが、仕方がない。
再び待合室に入ってみると、青くて四角の見慣れた郵便ポストがあったので、持っていた妻や孫娘宛ての
絵葉書の半分を投函する。(残りはハワイ島で投函だ)
待合室で待っていても暇なのでターミナルに入ることにした。アメリカの手荷物検査は厳しい。ポケットにある
ものは全部出すのはもちろん、ベルトも外し、靴まで脱がされる。丸裸だ。それでも身体はパスした。ハンマーを
入れたキャリーバックもパスだ。これで安心かと思いきや、ここで大失態。すっかり失念していたディバッグの中の
「アーミーナイフ」を発見されてしまった。(そりゃ、当然だ・・・・蔭の声)
検査官が「キャリーバッグに入れてあそこに預けろ」、指さす手荷物預かりに行くと、当然のように計量し、
「重量オーバーだから、25米ドル払ってください」、という。「検査官が預けろというから持ってきたんで、(指さして)
彼の指示だから預かれ」、と少し強い口調で言うとそのままになった。
もう一度身体検査を受けてパスしたので、中に入ることができた。
ターミナルには売店やレストランがいくつかある。2日目にホノルルで出す絵葉書用の切手がないことに気づき
1ドル切手を買うが、1.5ドルだという。これも仕方なく2枚買った。
ヒロ空港到着が 11:56 の予定だ。着いてから店を探して注文して、お昼を食べていたら遅くなるので、ここ
で早お昼を済ましておくことにした。焼きそばと肉炒めともう一品がワンプレートになっていて、11.51米ドルだった
から先ほどのレートで1,600円近い。これも観光地価格だ。
■ ヒロまでの空の旅
13番ゲートに行って搭乗案内があるまで待つ。ハワイアン航空の282便で、乗客の搭乗に向けて準備中の
ようだ。
失礼な言い方かも知れないが、思ったよりハワイアン航空は時間に正確で、10:55 に最後の乗客として
私が搭乗すると、11時ジャストに機は駐機場を離れた。
ダニエル・K・イノウエ国際空港(当時ホノルル国際空港)は、真珠湾-ヒッカム統合基地(当時ヒッカム空軍
基地)と滑走路を共用していて、離陸するための滑走路までの誘導路を延々と移動する。その途中で、空軍
の大型機や海軍艦艇とすれ違う。
11:15 に機は離陸した。ハワイ島北端をかすめるように飛び、そこから東海岸に沿ってヒロ空港を目指す
飛行コースだ。ハワイ諸島にあることを初めて知ったライナ島やカホオラウェ島が眼下に見える。
水平飛行に移るとキャビン・アテンダントが飲み物の注文を取りに来たので「コーヒー」を注文する。ハワイ島
は有名な”コナ・コーヒー”の産地なのだ。
ハワイ島が前方に見える。”ビッグ・アイランド”の異名をとるだけに、先ほど見えたライナ島やカホオラウェ島に
比べ何倍も大きそうで、ハワイ諸島最大の島だと実感する。
ハワイ島の北を飛ぶと、マウナ・ケア山(標高4,205m)の頂が雲の中から飛び出して見える。大きな山容だ。
機が右に傾き進路を徐々に南に向け、11時45分ごろから高度を下げ始める。11時50分には、脚を出す例の
機械音が気体の下の方から聞こえてくる。窓の外を見ると真下には青い海と緑の島が見えてくる。海岸線は
赤黒い溶岩のようで、白い波しぶきが打ち当たっているのが見える。
機はさらに高度を下げ、12時ちょうどに着陸した。荷物を受け取って、ターミナルを出ると“ムッ”とする暑さだ。
「4番に停まっているのはジープで頼んだ小形車ではない」、とクレーム(?)をつけると、担当の女性は「同じ
値段だから良いでしょう」、とすまし顔だ。これが、”ハワイ島流”なのだろうと納得する。
( 結局、ジープが役に立つことになるのだから、人の先はわからない )
12時30分に空港を出発した。行先は、ミネラル・ウオッチングの”鉄則”の一つ、『訪れるのは遠い産地から』
に従って、オリビンの産地「グリーンサンド・ビーチ」に行くことにした。ただ、火山情報を確認するため、道路脇
にあるボルケーノ・ビジターセンターに立ち寄ることにした。(帰りだと時間外で閉まっているはずだから)
車にはナビもついていないし、まともな道路地図も持っていないが、地図の右上にあるヒロから島の最南端
サウスポイント近くにある目的地の「オリビン」の産地、「グリーンサンド・ビーチ」に行くには、11号線をまっすぐ
行けば良いはずだ。その途中に、「ボルケーノ・ビジターセンター」がある。
ヒロの町は明治時代にサトウキビ畑などの作業者として山口県や”広島県”からの移民が多かったので町の
名前が付いたと聞いた(読んだ?)ことがある。
( ハワイ島の人口の約15%を日系人が占め、ヒロの町はもっと高いようだ )
ヒロの町を出ると、道路の両側はうっそうとした林になる。趣味の”絵葉書”で集めた戦前(大正〜昭和初)
のハワイの道路を描いた1枚がある。タイトルは、”Road to Volcano " で、道路が立派になっている点が変わっ
くらいで、雰囲気は当時のままだ。つまり、自然が良く残っていると言える。
■ ボルケーノ・ビジターセンターに寄り道
道路は一本道で当然舗装されていて、皆さん”ビュン、ビュン”飛ばす。最高でなく、最低速度40MPH、およそ
60km/時に制限している区間もあり、日本では珍しい。40年以上昔に自動車教習所で習ったようなのに似た
交通標識があったので帰りに写真に納めた。
ここまで、道路脇に店や建物は全くと言って良いほど見ないので、道を間違えていないか不安になり、路肩
に車を止めて「地球の歩き方」からコピーした地図を見て確認すると、この道で良さそうだ。
空港から約50kmほど走ると左側に「ボルケーノ・ビジターセンター」入り口の標識が見えてきた。左折する時
は気をつける。料金支払いゲートの前に、入場のための車が2列に数台並んでいた。この日は平日だったが、
夏休みのこどもを連れた家族ズレが多かった。入場口で1台20米ドル(約2,700円)を払う。ここは、ハワイ火山
国立公園の中にあるのだから、高いのも致し方なしだ。ただ、1週間有効とあるので、7月19日までなら、この
レシートを見せれば何度でも入場OKだ。
ビジターセンターは、ハワイ島の火山(地学)や動植物などの自然、そして人と歴史を啓蒙するための施設で
渡されたパンフレットを見て、この年(2016年)はハワイ火山国立公園制定100周年の記念すべき年に当たっ
ていることを知った。
センターの建物の向かいにある建物の中で、「カラパナ溶岩流観察ポイント」まで行けるか尋ねると、「12マイル
(約20km)歩かないと行けない」、」と言うので行くのを諦めた。
わずか20分の滞在で、13時50分にビジターセンターを後にした。1分1米ドルという”コスパ”の悪い入場だった
が、この分翌日に取り返すことになるとは思ってもみなかった。
【後日談】
2017年になって、NHKBSを見ていると、若い男性タレントがハワイ島で数日を過ごすという番組で、「カラパナ
溶岩流」を観察に行くことになった。
車で行けるところまで行くと、そこには貸自転車屋があって、そこで借りた自転車で溶岩流のすぐ近くまで
行けることがわかった。この情報を知っていれば、2日間の行動は違ったかも知れない。
ただ、溶岩流は昼間よりも周りが暗くなった日没以降に見るのがベストだから、ミネラル・ウオッチングの両方
は2日間では難しいかも知れない。
■ サウスポイントを目指せ
「グリーンサンドビーチ」まで歩くと片道2時間くらいかかりそうだ。この日は快晴で、溶岩の上を2時間も歩いた
ら熱中症になりそうだ。飲み水と何か食べるものを仕入れようと思って店を探すのが、前にも言ったように、11号線
沿いには店どころか家が一軒もないのだ。ヒロの町はずれに”セブン・イレブン”があったので、あそこで買って置け
ば良かったと悔いてみても後の祭りだ。
道路を走っていると、「→ GAS(ガソリン)」などと書いてある標識が目についた。試しに右折して入って行くと、
小さな村があって、そこには標識にあったガソリンスタンドや雑貨店があって、その周囲は人家になっている。
ここは国立公園の中なので、自然の景観を損なわないように配慮してこのような形になっているのだ、と思い
至った。
雑貨店でミネラル・ウオーター、オレンジ、チョコレート、ビスケットなどを買い入れて、再び11号線に戻り、サウス・
ポイントを目指して走る。標高は徐々に下がっているようで、左手前方に海が見えて来た。地図で確認すると
「ホヌアポ湾」のようだから、あと15kmも走ったら左(南)に入れば良いのだ。
今回、「オリビン」を求めて訪れた「グリーンサンドビーチ」周辺の地図の私の足取りを入れてご紹介する。
11号線から左に折れて田舎道をほぼ真南に緩やかな坂を下っていく。路肩に車を止めた工事終えたらしい
男性がいたので、「グリーンサンドビーチへ行く道は」、と尋ねると、「この先で道路はY字路(三叉路)になって
いるから、そこを左だ」、と教えてくれた。11号線との分岐から15kmも走ったところでY字路があった。ここを左の
方に1kmあまり進むと、木の下に3方と天井をシートで覆った飲み物やスナック菓子などを売っている露店が
ある。回りの灌木の下が駐車場になっているようで、10台以上の車が停まっている。
インターネット等の情報だと、車をここに停めて、ここからグリーンサンドビーチまで4kmほどの距離を30ドル
(約4,000円)出せば4WD車が送迎してくれる、とある。どうしようか逡巡したが、ジープなら行けそうだと思い悪路
に突っ込んだ。
500メートルも走ると、私の考えが甘かったと思い知らされた。マッド(泥)だけの道路かと思いきやところどころ
溶岩が飛び出していて、私の運転技術では、底をするかタイヤをティアしてしまいそうなので、車を捨てて歩く
ことにした。
頭上から強烈な日射しと地面の黄土や溶岩からの照り返しは強烈で、頭が“クラクラ”しそうだ。途中の雑貨
店で買った350mlのミネラルウオーター1本だけが命の綱だ。脇を通り過ぎる4WDの送迎車に乗った水着姿の
“ぴちぴち”ギャルが目に眩しい。
歩き始めて1時間近くたったころ、遠くにグリーンサンドビーチが見えてきた。高い急な崖の下にある砂浜の色
が緑色を帯びて見える。
■ ミネラル・ウオッチング at グリーンサンドビーチ
ここからさらに20分近くかけてビーチの崖の上に着いたのは、16時半ごろだった。急な斜面を降りると砂浜は
”ウグイス”色をしている。文字通り、「オリビン(橄欖石)」からなる「緑色の砂でできたビーチ」だ。♪♪ 牧場は
緑 ♪♪ 、という歌があるが、♪♪ お〜 浜辺は緑 良く積もったものだ ♪♪
海の中と浜辺には海水浴に来男女が20〜30人いた。
海の中と浜辺には海水浴に男女が20〜30人きていた。結構波がある。男性は海の中で水遊び、若い女性
たちが水着姿で浜辺で戯れていたので写真を撮らせていただいた。
「オリビン」は自然の波の力で、選(よ)り分けられて、左(北)側の砂浜に濃集している。昔、鹿児島県の
開聞岳付近の「オリビン」を含む砂を戴いたことがあった。「オリビン」は真っ黒い砂の中に”点々”と含まれて
いて選り分けるのに、磁石を使ってみたり苦労したことがあった。
濃集部分の砂は、緑の砂の中に”点々”と黒い溶岩があるので、選別が不要だ。手ですくった砂を持参した
タッパーに入れる、ただそれだけだ。50年近いミネラル・ウオッチングの中で、一番楽な採集方法だ。
こうなると「母岩付き」が欲しくなるのがMHの性だ。黒い溶岩が砕けた砂の中にあるのだから、当然母岩は
溶岩だ。崖下には握りこぶし大から一抱えもあるような大きさの溶岩が点々と落ちている。それらを片っ端から
拾い上げて持参したルーペでチェックする。すぐにオリビンが付いている溶岩かどうか、外観や手に持った時の
重さの感覚だけでわかるようになってきた。最大径5mmほどのオリビンが多数着いた重さ2、3キロはありそうな
塊を見つける。
これらの私の“奇怪”な行動は、海水浴に訪れた人々の注意を惹くに十分だったらしく、「何を探している?」
と聞いてくる。特に、少女たちや中高年のおばさんが多い。
「日本からきて、オリビンという宝石を探している」、と答え、「これだ」、と ルーペを使って拡大した結晶を
見せてあげると、“オー、ビュティフル”と歓声は上げるが自分で探して持って帰ろうという人はほとんどいない。
当然、砂浜の緑色の砂を持って帰ろうという人などいそうにない。それでも、「砂を持ち帰えらないように」、とか
「罰金500ドル(約5万円)」などの表示があった。
せっかく声を掛けてくれたのだから、記念に女子高生たちの写真を撮らせてもらった。
( みんなが欲しがったら、とっくに無くなっていただろう )
これだけ大勢の人がいるところでハンマーを使うわけにもいかず、手ごろなサイズで出来るだけ大きなオリビン
の結晶が付いたものを探すのは簡単ではなかった。それでも、数個確保できたので引き揚げることにした。
崖を登りながら露頭を観察すると、溶岩と石灰岩が互層(互い違い)なっていることがわかる。この海岸は
海の中に溶岩が流れ込んでできた。その上にサンゴ礁が生息し、その上を溶岩が覆うサイクルを何回か繰り
返した後、隆起して海面の上に出て、最後(直近)の溶岩流で覆われた、とこの海岸の地史を読み解くこと
ができる。
海岸の別な場所にサンゴだけがかたまって打ち上げられている箇所もあり、この読みは大きくは間違っていな
いだろう。
■ ♪♪ 行きはこわい(疲れる)が、帰りはよいよい(楽だ) ♪♪
来るとき1時間半歩いたから、帰り道も歩き通すと明日からの行動に差し支えると思い、帰りは15ドル払って、
恥も外聞もなく送迎車に乗ることにした。(日本人は、私しかいないのだから、「歩きとおした」と言えばそれで
仕舞なのだが・・・・)
運転手はオバハンだが、通いなれているのか運転は確かだ。15分ほどで私が車を停めた場所に戻ってきた。
やはり1分が1米ドル払えば、”楽ちん”だ。
■ ヒロの町に戻る
駐車場を出たのは18時ごろだった。いつの間にか、島の内陸部に雨雲が出て来ていた。この朝乗ったタクシー
の運転手が「ハワイ島は雨が多い」、と言っていた通り、スコール(通り雨)がきそうだ。
インターネットの情報では、11号線との合流点にモーテルがあるはずなので探してみたがそれらしいものが見つ
からない。来る時に見た範囲では、食事ができそうなレストランなど全くなさそうだ。仕方がないので、ヒロの町に
一旦戻ることにした。130kmのドライブだ。
案の定30分もすると雨が降り始めた。カナダでレンタカーを借りたときに、方向指示器を動かそうとしたら、突然
ワイパーが動いて、”ビックリ”したことがあったが、左ハンドル車にん¥も慣れてそんなことはない。
雨はスコール(通り雨)だったようで、30分ほど走ってボルケーノ・ビジターセンター当りに来ると止んでいた。
■ 夕食後、お土産を買う
空港への入口を通り過ぎ、ヒロの町に入ったのは20時ごろだった。レストランやスーパーマーケットがある一角
に車を停め、まずは食事だ。
中華料理店が目に入ったので、入ると地元の常連らしき人や家族連れが多いので安心だ。ラーメンセットを
注文する。餃子とチャーハンがついて12米ドル(約1,600円)だからこんなものだろう。若いウエイトレスが二人
いたので、チップを2ドル渡す。
ここで、情報収集だ。船の中でコーヒー豆を買ってきて欲しいと頼まれていたので聞くと、ウエイトレス達には
判らないようで、店主が出て来た。”Farmer's Market”があるから、そこに行けば手に入るのではないか、と
教えてくれた。翌日、レンタカーを返す前に行くことにした。
この暑い時期、ハワイのお土産にチョコレートは今一つなので、コナ・コーヒー豆を買って帰ることにしていた。
3男の嫁さんに船の中からメールで欲しいコーヒーのブランドを聞きだしたら、写真を添えて返信があった。
中華料理店を出て左手を見るとスーパーマーケットがあった。カナダでもRayさんが案内してくれて入ったスー
パーで、お土産を安く手に入れたことを思い出し、入ってみることにした。(実は、缶ビールが欲しかった)
外観に似合わず広い店内で、品揃えもしっかりしている。コーヒーだけでも、30種類以上あった。残念ながら
Sさんの要望の”生豆”はなかった。ミルをもっていそうな人にはローストした豆を、そうでない人には粉を選ぶこと
にした。
3男の嫁さんのリクエストには、「ライオンコーヒー」もあったが、一袋9ドルもしないのでパスして、少し高級なも
のを選ぶことにした。コーヒーの棚の商品を端から見ていると、”PEABERRY(ピーベリー)"と印刷されたものが
あった。
船のSさんが欲しがっていたのがこれだ。60オンス(170グラム)入りで、13.59米ドル(約1,848円)に4.3%の
消費税が加わって1,900円だ。キロ当たり11,300円の豆だ。あるだけ、と言っても5袋しかなかったが全部買った。
コーヒを13袋、それとサッポロの500mリットルの缶ビールを買うと支払いは218米ドルだ。手持ちのキャッシュは
200米ドルを切っているから、カードで決済できるかが問題だが、とりあえずレジに進む。カードを出すと問題なく
決済でき、やっぱりアメリカだ。
■ 今宵の宿は
車に戻って缶ビールの飲む。歩き疲れたせいで、9時過ぎには眠くなり、車の中で寝てしまう。ハワイはどうな
のか解らないが、車の中での宿泊は禁止されている州もあるのが気になり、目が覚めたら12時だった。トイレに
行きたくなり、車に戻る前に行ったトイレに行くと鍵が閉まっていた。
11号線沿いにセブンイレブンがあったことを思い出し、そこに行くことにした。当然コンビニは24時間開いていて、
トイレをかりて、今夜はここの駐車場で寝ることにした。
ハワイ島第1日目のミネラル・ウオッチング「オリビン(橄欖石)」採集は大成功だった。明日の行動予定を
練っていると、いつの間にか寝込んでしまっていた。 Zzzzz・・・・。
ハワイ島には、このほかいろいろな鉱物が産出することが知られている。それらの中にはハワイ諸島の神々の
名前の付いたものもある。
@ 火山で噴出する溶岩に伴う鉱物
A 噴出する火山ガスに伴う鉱物
2日目はレンタカーを返却する12時まで、これら目指して島内を走り回る予定だ。