北極圏をめぐる地球一周の旅 【消えた1日】 ( Tour around the World & Arctic Circle 2016    - Disappearing Day - )









         北極圏をめぐる地球一周の旅  【消えた1日】

              ( Tour around the World & Arctic Circle 2016 - Disappearing Day - )

1. はじめに

    横浜が近づいたころ、船内で発行された『船内新聞』のバックナンバーを全てそろえておこうと思った。これを
   読めば、その日に船内であったイベント、寄港地情報、水先案内人紹介、船客紹介などの情報がギッシリ
   詰まっているので、後々ブログをできるだけ正確にまとめるときに役に立つ、と思ったからだ。
    同じようなことを考える人は他にもいて、千葉・Tさんもその一人だった。Tさんとお互いに持っていない日の新
   聞をコピーしあい、それでもない日の分は「新聞局」に行ったらストックがあって、それを頂いた。

    しかし、『7月18日』の新聞がないのだ。Tさんと手分けしてあちこち探したが見つからない。再び新聞局に
   行って探してもらったが見つからない。しばらく探してから局員が、「その日は、”消滅日”だったから、新聞を発
   行していません」、と言うことで落着した。Tさんと2人で、”無いもの探し”をやっていたことになる。

    飛行機で成田からアメリカに向かうと前の日に到着するし、その逆だと次の日になる。これは、太平洋上に
   「日付変更線」という目に見えない線が設定されていて、これを跨(また)ぐと23時間時計を進めるか戻すこと
   になるのだ。( 跨いだ瞬間に、次の時間帯(Time Zone)に入るので、23時間補正する )

    時速1,000km近い飛行機で移動する場合、日付変更線を意識せずに、到着地の時刻に時計を合わせ
   れば済むのだが、速度が1/30くらい遅い船では、眠っていれば関係ないのだが、起きていれば「日付変更線」を
   跨ぐことの影響を意識せざるを得ないのだ。それがこの船の場合、7月17の深夜になっていたので、その時間帯
   に 「消滅日』 のイベントが行われた。
      ( 7月17日〜19日 体験)

2. 消滅日(Disappearing Day)イベント

    この船の場合、日付変更線をまたぐ7月18日が消滅日で、この日は存在しないことになる。そこで、7月18日
   を、7月17日24時から25時の1時間を使って、”バーチャル・リアリティ(VR:仮想現実)”風(もどき)に再現して
   みょうという企画だ。あたかも、ビデオを24倍速で早回しするような具合だ。(現実には、”0秒”の間に起きること
   だから、再現などできない現象だが、そこは退屈な船旅を面白くする、お遊びだ)

    それまで、エルシステマ楽団のクラシックリサイタルや洋上シネマを鑑賞して、間を持たせる。

    
                 エルシステマ楽団のクラシックリサイタル

    24時になったので、時計を23時に合せる。ここまで、眠たい目をこすりながら(時々眠っていた)、イベント会
   場にいた。流石にこの時間まで起きている人は少なく、200人はいなかったろう。

    朝一番の「太極拳」から、いつも行われているイベントが早送りのように展開される。「”チャコちゃん”の笑タイ
   ム」はいつもは5分(300秒)だから、その1/24の12.5秒で終わるはずだが、いつも通り5分やっていたような気が
   した。
    いつも参加したことがない企画は、早送りで見せられると、何をやっているのか全く理解できないものもあった。

       
                「チャコの笑タイム」                       「???」

3. 「日付変更線」を越えたのはいつ?

   7/17朝と7/19早朝の船の位置をカメラのGPS機能で計測しておいた。それを地図上に落としてみた。7/17
  朝、船は「日付変更線」の少し東側にいた。7/19早朝には、線を跨ぐかまたいだか微妙な位置だった。

    
                     「日付変更線」を越える

   2点の経緯度を写真のGPS情報から読みだしてみた。

月/日 7月17日 7月19日
時刻 6:58 5:54
緯度 24°48.519' 27°24.744'
経度 西経173°53.265' 東経179°23.940'
日付変更線から東へ(度) 6.11225 -0.601

    2点間を一定の速度で直線的に航海した(等速直線運動)とすると、7月19日に写真を撮った1時間52分前
   に日付変更線を越えたことになり、4時02分だった。
    別な解法として、7/195:54に日付変更線を越えて約36分(時間でなく角度)の位置にあった。速度1ノット
   (時速1.852km)の船が赤道上を1時間に移動する角度が1分だ。このとき船は北緯25度から27.5度あたりを
   航海していたから、真西なら角度で1.1分くらい進むのだが、やや北向きに進んでいたから3角形の斜辺を進んで
   いたからキャンセルし合って角度で1分だ。角度36分を進むのに15ノット(時速28.8km)なら2時間24分、18ノット
   (時速33.3km)なら2時間かかることになり、3時54分になる。     いずれにしても、おおよそ4時ごろということだ。

4. おわりに

 ■ 女神・ペレの祟(たた)り(続き)
    正月早々追突事故に遭った話を次のページで報告した。

    ・  北極圏をめぐる地球一周の旅 【ハワイ 第2日】
    ( Tour around the World & Arctic Circle 2016 , - 2nd Day in Hawaii - )

    一か月経った今も、夫婦して整形外科に通っていて、いつ完治するのか見通しは立っていない。大破した
   車は廃車にして、新しい車を手配せざるを得なくなり、1月26日に新しい車の契約を終えていた。

    2018年2月11日付読売新聞に、『75歳以上「軽」致死率1.6倍』、というショッキングな記事が掲載された。

    
         「軽」致死率1.6倍
       【2018.2.11付読売新聞】

    軽自動車は、車体が小さい分事故時の衝撃が大きく、骨密度が低下し骨が脆(もろ)くなっている高齢者
   が運転・同乗していた場合、肋骨が折れて心臓や肺を損傷しやすいのだという。その結果、普通車に比べ
   致死率(死亡に至る割合)が1.6倍高いという。1.6倍と言えば、およそ2倍だから、明らかに”有意差”がある。

    私は、70歳になる少し前まで排気量3リットルの普通車、妻は軽自動車に乗っていたのだが、私が現役を
   引退したのを機に、経済性が良い(車両価格が安い。税金・車検費用が安い。燃費が良い。高速道路の
   通行料安い)、そして運転・駐車しやすい(特に妻にとって)等の理由で、軽自動車1台を夫婦でシェアする
   ようにした。
    それから3年にして、この事故だった。
    軽自動車については、救急・救命業務に従事し、数々の事故を見てきた弟から、「兄貴、軽自動車は
   大きな事故に遭ったら一発(であの世行き)だからな」、と忠告を受けてはいたが、「自分で注意していれば
   事故は防げるだろう」、と思っていた。それが、”もらう”こともあるのだというのが現実になってしまった。

    実は、1月29日に契約したのは普通車だった。2017年の暮れ近くに、兵庫県の石友・N夫妻が「次の車を
   普通車と軽自動車のどちらにするか迷っている」との相談を受け、軽自動車をお薦(すす)めしたのに、”抜け
   駆け”した形になってしまい、N夫妻にはお詫びのメールを入れた。

    追突された車の変形の酷(ひど)さを見て、何年か前の弟の忠告を思い出しての決断だった。これから先、
   何十年も運転するわけでもなし、多少のお金より”命あっての物種(ものだね)だ。

5. 参考文献

 1) 地球の歩き方編集室編:各国編2013〜15,ダイヤモンドビッグ社,2015年
 2) 読売新聞:『75歳以上「軽」致死率1.6倍』,同紙,2018年2月11日


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