山梨県竹森水晶山の鉱物

山梨県竹森水晶山の鉱物

1.初めに

山梨県塩山市竹森の水晶山は、「ススキ入り水晶」「鋭錐石」など、各種の
鉱物が採集でき、しかも、東京からも近く、鉱物採集のメッカで訪れる人が後を
絶ちません。
2年ほど前、某グループが露頭を掘り込んで、立ち木を倒すなど山を荒らしてから
山の持ち主(雨宮 愼さん)が、「無断で水晶山に入る事禁ず」の表示を出されたそうです。
竹森水晶山の案内板
愛知県に住むHさんが、水晶山に行きたいとの事なので、事前に雨宮さん宅に電話して、
入山をお願いして、許可していただいた。
当日、Hさんと手土産を持ってご挨拶に伺うと、ご主人が出てこられ、改めてご了解を
いただいた。
HPの掲示板にも書いておきましたが、必ず許可を得て入山し、いつまでも採集できる
産地にしましょう。
雨宮さん宅の電話番号は、0553-32-0966
(2002年6月採集)

2.産地

竹森は、「鉱物採集フィールドガイド」などにも、詳しく地図が掲載されており
改めて説明は不要でしょう。
小倉山の南斜面(前山)と北側のズリが産地です。
竹森のズリ

3.産状と採集方法

採集方法

(1)表面採集
1〜3cmクラスの水晶なら、女性や子供でも拾うことができます。鋭錐石などが
ついた水晶の群晶も雨水で洗われた表面採集の方が探しやすい。
(2)露頭や大きな転石を叩く
大きな転石があり、それを叩くと、自然硫黄や母岩付きを発見することがある。
「鉱物採集に来た」という実感が湧くと思います。(成果は保証できませんが。)
(3)ズリを掘る
熊手などでズリの斜面をベンチカットで掘り込むと、比較的良品を採集できます。
ポイントは、採掘当時どのようにズリを捨てたかズリの流れを予測して、
誰も掘っていない場所を掘ることです。
採集が終わったら、ズリを埋め戻しておくことをお忘れなく。

4.産出鉱物

(1)ススキ入り水晶【Rock Crystal with inclusion;SiO2】
水晶の中に、針状の苦土電気が入った水晶は、透明なものより多いくらいです。
小さな水晶の方が美しいものが多い。
竹森のススキ入り水晶
(2)星入り水晶【Rock Crystal with star;SiO2】
水晶の中に、白雲母が入った星入り水晶も比較的多く見られます。
この他、緑泥石が入った「マリモ入り状」なども採集できます。
(3)自然硫黄【Native Sulfur;S】
今回も、石英の晶洞の中に、自形結晶をした自然硫黄を採集した。火山地帯なら硫黄は
極ありふれた鉱物ですが、石英脈の中の硫黄の自形結晶は珍しい
火山性のものと違い、ガラスを思わせる緻密な結晶が特徴です。
竹森の自然硫黄【自形結晶】
(4)鋭錐石【Anatase;TiO2】
水晶の表面や中や晶洞の雲母に貫入する形で、1mm程度の細長い八面体結晶が
見られる。これに伴って、六角板状の板チタン石も見られる事がある。
鋭錐石や板チタン石は、玉宮神社近くのズリの米水晶の間からの方が、見つけ易い。

5.おわりに

(1) 竹森が採集禁止と聞いて心配したのですが、雨宮さんのご好意で幸い
まだ採集は可能です。
この日も、東京の母子2グループが来て、嬉々として水晶(石英)を集めていました。
しかし、山の持ち主の雨宮さんは、山が荒らされ迷惑しておられます。
この産地がいつまでも採集できるよう、次のことをみんなで守りましょう。
a)採集前に入山許可をいただく。
b)立ち木を倒したり、山を荒らさない。
c)ズリを掘ったら必ず埋め戻す。
d)ゴミは散らかさず、必ず持ち帰る。
e)採集で怪我をしない。
f)採集が終わったら、お礼の挨拶。
(2)ズリを掘っていると湯のみのカケラが出てきた。ほどなく、50cmほど
離れた場所から、同じ模様のカケラがでた。
家に持ち帰り、考古学漬けの妻に見せ、2つを合わせて見るとピッタリ合い
水晶山が稼動していた明治〜昭和初期までの産業遺物かと思っています。
湯のみ茶碗【水晶山出土】
(3)夏にはやぶ蚊が多く、蚊取り線香などの持参をお奨めします。
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