宝鉱山地図【昭和7年】
笹子駅まで索道が設置されている【森の映画館から引用】
黒鉱を採掘していた明治時代のズリの位置を特定できず、現在黒鉱は見当たりません。
採集は露頭での硫化鉄鉱とカラミ捨場での孔雀石、溶融銅などになります。
4.産出鉱物
(1)黄鉄鉱【Pyrite;FeS2】
露頭の壁面から新鮮な黄鉄鉱を含む硫化鉱が採集できますが、ここの鉱石は粉状で
崩れやすいのが特徴でしっかりした硬質部分を探す必要があります。
黄鉄鉱
以下の鉱物は、カラミ捨場で採集したもので、厳密な意味で”鉱物採集”の対象に
なるのか、議論があるかと思いますが、形が変わっている、あるいは美しいので
集めてきた。
また、これらから天然の鉱物の生成したときの温度、圧力、冷却速度などを推測する
ことができます。
ここのカラミは珪酸のほかにかなりの鉄と微量の銅を含み、強い磁性を示します。
溶けたカラミを運ぶため入れた容器の形のまま固まったものもあります。
(2)孔雀石【Malacite;Cu2(CO3)(OH)2】
カラミの表面や空隙部に新鮮な緑色を示して産出する。
孔雀石
(3)溶融銅【Copper;Cu】
カラミの中に球状あるいは空隙部にホイスカ(ひげ)状で産出する。自然銀はひげ状で
産出することは珍しくありませんが、自然銅は樹枝状か皮膜状であり、カラミは自然銅の
生成条件よりはるかに早い速度で冷却されるからでしょう。
溶融銅
(4)葉片状鉱物【?;?】
カラミの空隙部に鏡鉄鉱などを思わせる葉片状の鉱物が成長しています。
これも冷却速度と関係しているように考えられます。
葉片状鉱物
5.おわりに
(1)「宝鉱山」のバス停の約200m手前を「管理棟→」に従って右に入ると
「宝の山ふれあいの里」の「ネイチャーセンタ」があり、1階のショーケースには
宝鉱山の鉱石と鉱山で使った採掘道具が展示してあります。
ショーケース
展示されている鉱物には、次のようなものがあります。
閃亜鉛鉱 黄銅鉱
方鉛鉱 水晶
稼動当時の宝鉱山標本
(2)2階には、鉱山が稼動当時などの写真が展示してあります。
選鉱場全景 選鉱作業
鉱石運搬トロッコ
稼動当時の宝鉱山写真
(3)「宝鉱山の歴史と自然を研究する会」があり(あった?)、「森の映画館」と
いうタイトルで鉱山の歴史や周辺の自然に関する情報をまとめてあります。
係の人に頼めば見せていただけると思います。
6.参考文献
1)澤田久雄:日本鉱山総覧,日本書房,昭和15年
2)宝鉱山の歴史と自然を研究する会編:森の映画館,同会,1991年