福島県高玉鉱山

福島県高玉鉱山

1.初めに

9月に妻と訪れた福島県立博物館の帰途、磐越高速道の磐梯熱海ICの
近くに「高玉鉱山」があるのを初めて知りました。このことを、福島県の
石友Sさんが拙宅を訪れた際話したところ、覚えていて下さって、今回Oさんと
一緒に私と高橋さんを案内してくれました。
大正3年に発行された、「本邦重要鉱山要覧」によれば、高玉鉱山は、300年
以上前に蒲生氏郷が稼行したと言われ、明治19年松浦某が借区の許可を取り、
明治23年に肥田某等が共同稼行し、大正2年に肥田興業合名会社が鉱業権を
継承した。
その後、久原鉱業を経て、昭和7年に日本鉱業の経営になった。
昭和51年にその歴史を閉じ、今は観光鉱山「ゴールドマイン高玉」として
生まれ変わっています。
(2001年11月採集)

2.産地

磐越道磐梯熱海ICでおり、磐越道の下を潜りぬけ、山の頂上を目指すと
平坦部があり、青化製錬所の遺構が残っています。
この手前左手に、坑口(閉鎖してある)やズリが広がっています。

左:高玉鉱山坑口跡【閉鎖してある】     右:高玉鉱山ズリ

3.産状と採集方法

高玉高山の金鉱石は、第三紀凝灰岩と石英粗面岩の裂罅を充填する含金銀
石英鉱脈で、主要鉱床の走向はほぼ東西に近く、30cm以下の細い脈は、
縦横に交走している。
ここでの採集は、ズリでの表面採集が中心で、石英や氷長石を含む母岩を探し、
「銀黒」部があるものを採集します。

4.産出鉱物

(1)金銀鉱石【GoldOre:Au】
ここの金銀鉱石には、金が0.002%(1トンあたり20g)、銀が0.02%(1トン
あたり200g)と比較的品位は高かったようです。
高玉鉱山の銀黒
(2)氷長石【Adularia:KAlSi3O8】
氷長石は、熱水鉱物として日本の金銀鉱脈の石英脈に産し、高玉鉱山が典型的な
熱水鉱脈であることを示しています。
(3)水晶【Rock Crystal:SiO2】
石英脈には、小さな晶洞があり、米水晶があります。
石英脈の米水晶
また、熱水鉱脈に伴う抜け殻石英も採集できました。

5.おわりに

(1)高玉鉱産鉱業所が平成7年に発行した「鉱山(やま)の思い出」を読むと
鉱山の最盛期には、100名を越す人たちが働いていたことが分かります。
青化製錬所の往時をしのぶ写真と現在を見比べると、一つの時代の終焉を感じ
させられます。
これらが、日本を支えた産業遺跡として、永く保存されればと願っています。

左:最盛期の青化製錬所     右:現在【2001年】
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