2012年6月に下見で、2人の先生を案内させていただくことになった。直前になって、東
京のKさんから「水晶を探したい小学2年生の娘がいるのだが・・・・」、と相談があり、それ
なら、「山梨県の水晶産地を一緒に案内します」、と話がまとまった。
現在、山梨県で水晶が採集できる場所は限られ、2009年にも何回か小学生を案内した
場所に案内することにした。
「水晶鉱山跡」に到着すると、一面に散らばる石英を見て『水晶だ!!』の歓声が
上がった。Kさんの娘・Mちゃん(小学2年生)にとっては初めての水晶拾いで、「石英」と
「水晶」の区別がつかなかったが、仕舞いには、『水晶博士』ぶりを発揮するまでになった。
私の持論の1つに、『鉱物採集は、水晶に始まり、水晶に終わる』がある。
嬉々として水晶を探す小学生と保護者そして教育関係者を見ていて、その感を一層深くし
た。参加した皆さんが、鉱物を通して、自然を大切にする心を養ってくれることを祈ってい
る。
( 2012年6月 観察 )
林道を登って行く。前方の山々には靄(もや)がかかっているが、雨の心配はなさそ
うだ。分校跡でトイレ休憩し、産地入口の駐車場に到着したのは予定より通り10時前
だった。
(2) 難所を越えて
産地への道は、下り→平坦→下り→川渡り→緩やかな登り、で”行きは良いヨイ”
のコースだ。
このコースの難所は渡河だ。先日の台風で仮橋が流されてしまったらしく、裸足にな
ってもらい無事渡り終えた。
ここで、私は一仕事。Mちゃんに手伝ってもらい、今回もスイカを沢水に浸して冷やし
ておくのだ。
(3) 「水晶鉱山跡」で水晶探し
枯れ沢を横切ると遠くから、”真っ白い水晶(石英)片”が一面に散らばる、「水晶鉱
山跡」が見えてくる。
Mちゃんが『 水晶だ!!』、と歓声を上げる。荷物を降ろし、思い思いの場所で
採集してもらう。
すぐに、アチコチから『水晶があった!!』の声が上がる。
小学2年生の都会っ子の脚力を考え、私たちとK先生一行はこの後、宿泊場所の
「湯沼鉱泉」までの長距離山岳ドライブが控えているので、この日はここで引き揚げる
ことにした。
(2) 駐車場に無事到着
急な登り→平坦→そして急な登り、を乗り越え、全員無事に駐車場に着いたのは、
予定より早い15時だった。
分校跡まで、ご一緒し、ここでKさん親子とお別れの挨拶をして、K先生一行と私は
「湯沼鉱泉」へと向かった。
鉱物種名 俗名 【英名:組成】 | 産 状 | 標 本 写 真 | 説 明 | 石英 水晶 【QUARTZ :SiO2】 | 山入り |
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透明水晶に真っ白い山が 入った典型的な標本 |
黄鉄鉱入り |
最初にできた水晶の表面に 結晶した黄鉄鉱がしばらく時間を 置いて後からできた水晶で 覆われている。 成長が止まった時間が長かった のか、酸化性の環境だったのか、 黄鉄鉱が「武石」に変化している 標本もある。 |
チタン鉱物と 共生 |
鋭錐石
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赤黄色、透明、ガラス光沢の チタン鉱物が2種見られる。 普通、黒色、不透明の ものが多いのだが、今回採集 したものは、鉄(Fe)が少ない のか(?)
@ 鋭錐石【ANATASE:TiO2】
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(2) 今回のように、小学生など、鉱物に興味を持ち始めた人々を産地に案内する依頼が
舞い込んでくるが、都合が付く範囲で対応させていただいている。
6月まで、土曜日が出勤日なので、代休をとって対応させていただいた次第だ。
帰宅したMちゃんの様子を母親がメールで知らせてくれた。
『 とても楽しかったらしく、いまだ興奮さめやらず・・・寝ても覚めても水晶の話をして
おります。
水晶だけでなく、冷たい川を渡ったり、急な崖をのぼったり・・特に、よく冷えたすい
かに塩をかけて食べたことが格別だったようで、とても貴重な経験をたくさんさせて
いただき、感謝しております。
見ず知らずのわたくしたち親子にこのような機会を与えてくださって、とても感謝し
ております。本当にありがとうございました。
娘いわく、『 もっといろんな鉱石をさがしたい!』とのことでしたので・・・また機会
がありましたら、ぜひご一緒させていただけたら嬉しく思います。
これからもまたよろしくお願いいたします。 』