現在、山梨県で水晶が採集できる場所は限られ、2009年にも何回か小学生を案内した
場所へお連れすることにした。
8月下旬、F先生一行16名は、3台の車に分乗し、道の駅に集合した。初対面の挨拶の
後、小中学生達は私のワンボックスカーに乗って産地を目指した。
分校跡でトイレ休憩の後、さらに奥に林道を進み、産地入口の駐車場に到着した。標高
1,800mの登山道を歩き、川に横たわる丸太を橋代わりにして、フィールド・アスレチック気
分で無事渡り終えた。
「水晶鉱山跡」に到着すると、一面に散らばる石英を見て『水晶だ!!』の歓声が
上がった。ここで、この産地特有の透明な水晶や「武石」が採集できた。
別な産地に移動し、そこで昼食を摂った後採集を開始すると『山入りがあった!!』
『緑水晶があった!!』、と歓声が響いた。
私の持論の1つに、『鉱物採集は、水晶に始まり、水晶に終わる』がある。
嬉々として水晶を探す小中学生と保護者を見ていて、その感を一層深くした。
参加した皆さんが、鉱物を通して、自然を大切にする心を養ってくれることを祈っている。
( 2009年8月実施 )
林道を登って行く。前方の山々には靄(もや)がかかっているが、雨の心配はなさそ
うだ。分校跡でトイレ休憩し、産地入口の駐車場に到着したのはほぼ予定通り10時過ぎ
だった。
(2) 難所を越えて
産地への道は、下り→平坦→下り→川渡り→緩やかな登り、で”行きは良いヨイ”
のコースだ。
このコースの難所は渡河だ。しかし、子ども達は怖がる気配もなく渡り終えた。
ここで、私は一仕事。小学生に手伝ってもらい、今回も中川農園のスイカ3個を沢水
に浸して冷やしておくのだ。
目聡いK君が、20cmもある大きな「サンショウウオ」を発見、捕らえて皆さんに見てい
ただいた後、再び沢に戻した。
(3) 「水晶鉱山跡」で水晶探し
枯れ沢を2つ横切ると遠くから、”真っ白い水晶(石英)片”が一面に散らばる、
「水晶鉱山跡」が見えてくる。
Fさんと母親が、『 水晶だ!!』、と歓声を上げる。荷物を降ろし、思い思いの
場所で採集してもらう。
すぐに、アチコチから『水晶があった!!』の声が上がる。結晶面がいくつか見える
ものでも大喜びだ。六角柱状で錐面もついた完全なものを探すように教える。
「武石」が採集できることも話し、見本を差し上げと、皆さん見つかったようだ。
1時間採集のあと、このズリの元になっている坑道を外から見学し、次の産地へと
向った。
(2) 「山入り」そして「緑水晶」
採集ポイントに移動し、前回良品が出たあたりを中心に、採集を開始した。ここの目
玉の「山入り水晶」や「雲入り」そして「ミルキー・クオーツ」そして「緑水晶」など、皆さん
一通り採集でき、満足そうだ。
(3) 帰りはコワイ
皆さん、産地を離れがたい思いが強いようだったが、予定もあり、14時前に産地を後
にした。
帰りは、来たときと違うコースで、急坂を下りる。最初、皆さん尻込み気味だったが
下から見れば何のことはない。
(4) スイカを食べて元気回復
行きしなに沢水に浸しておいたスイカは、野生動物に食べられることもなく、食べごろ
に冷えていた。
3ケのスイカを持参したナイフで切り分け、皆さんと食べると、果汁と甘さが口一杯に
広がり、疲れが吹き飛んだ。
(5) 駐車場に無事到着
川を渡り終えて、今回のミネラル・ウオッチングの記念写真を全員で撮る。
急な登り→平坦→そして急な登り、を乗り越え、全員無事に駐車場に着いたのは、
予定通り15時ジャストだった。
分校跡まで、ご一緒し、ここで皆さんとお別れの挨拶をして、私も帰路についた。
鉱物種名 俗名 【英名:組成】 | 産 状 | 標 本 写 真 | 説 明 | 石英 水晶 【QUARTZ :SiO2】 | 山入り |
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透明水晶に真っ白い山が 入った典型的な標本 |
黄鉄鉱入り |
最初にできた水晶の表面に 結晶した黄鉄鉱がしばらく時間を 置いて後からできた水晶で 覆われている。 成長が止まった時間が長かった のか、酸化性の環境だったのか、 黄鉄鉱が「武石」に変化している 標本もある。 |
チタン鉱物と 共生 |
鋭錐石
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赤黄色、透明、ガラス光沢の チタン鉱物が2種見られる。 普通、黒色、不透明の ものが多いのだが、今回採集 したものは、鉄(Fe)が少ない のか(?)
@ 鋭錐石【ANATASE:TiO2】
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『 先ほどぶじに帰宅いたしました。渓流の水に冷やされた西瓜の美味も、忘れられ
ません。
また、美しい森の景色を満喫しつつ、倒木の多さが、少々気にかかったりもしまし
た。苔むした倒木も、見とれるほど美しいのですけれど。
9月には、それぞれが手に入れた水晶を持ち寄って、観察したり、観賞したりして
2度目の楽しみのときを持ちたいと思っています。 』
今回のミネラル・ウオッチングが参加した皆さんにとって良い思い出になり、いつまで
も鉱物を通じて自然に愛着を持ってくれることを祈っている。
(2) 今回のように、小学生など、鉱物に興味を持ち始めた人々を産地に案内する依頼が
夏休みの間、ほぼ毎週のようにあり、都合が付く範囲で対応させていただいている。
10月には、東京の小学生100名あまりに、「出前授業」の打診があり、シナリオ作りと
当日配布する「お土産」の準備も始めたところだ。
これも、私の”余生の生かし方”の1つだと考えている。