静岡県河津町菖蒲沢海岸の自然金

静岡県河津町菖蒲沢海岸の自然金

1.初めに

比較的簡単に自然金が採集できる産地として、伊豆半島の菖蒲沢は有名です。
2月中旬に開催する採集会の下見に、福島県の石友を案内して訪れました。
この近くには、かって縄地金山があり、舟で積み出す際に鉱石が海中に落ちたとも
また海底に金の鉱脈があって、海が荒れた時に海岸に打ち上げられるとも言われて
います。
成因はともかく、思ったより簡単に自然金が採集できましたので、報告します。
また、ここは同じ河津町でも暖かいせいか、既に河津桜が満開で、一足早い花見も
楽しめます。
(2003年2月採集)

2.産地

菖蒲沢の産地は、「鉱物採集の旅−東海地方をたずねて−」でも紹介されて
います。河津駅から南に約1.5kmに「亀の博物館」があります。その先が
下り坂になっており、坂の途中を左に入り、坂道を下りていくと小さな漁港に
なっており、行き止まりがスキューバダイビングスクールになっており、広場が
有料駐車場になっている。(駐車料金 1000円)
私は、坂道の途中の邪魔にならない場所に駐車します。
スキューバダイビングスクールの前の海岸が産地で、礫がゴロゴロしている
幅約100mの範囲で採集します。
菖蒲沢海岸【2月中旬で桜が満開】

3.産状と採集方法

産状は、含金石英礫です。そら豆〜人頭大の石英礫を見つけ、銀黒部分を
ルーペで観察し、自然金を見つけます。
この冬以降、訪れた人が少ないせいか、海岸には石英礫がたくさん打ち上げられた
ままになっていました。
採集風景

4.産出鉱物

(1)自然金【Native Gold:Au】
石英礫の中に輝銀鉱からなる「銀黒」と呼ばれる脈が走っている。
「銀黒」の中に、点々と金色の自然金が点在する。まれに、肉眼でも分かる
サイズのものもあります。黄鉄鉱(Fool's Gold)もありますので、水(唾液)
で濡らしてルーペで確認しています。
自然金【中央金色の点】
(2)水晶【Rock Crystal:SiO2】
石英礫には晶洞部分をもつものも多く、晶洞には水晶の結晶が見られます。 水晶
(3)その他、メノウ、灰長石を含むものや、オリビンを含む溶岩礫などがあります。
これらが、伊豆七島から流れてきたものか、近くに露頭があるのか分かっていません。

5.おわりに 

(1)ここには膨大な量の石英礫があり、丹念にさがせば確実に自然金が採集できます。
(2)海岸には、研磨されて涙滴状になった色とりどりのガラス、遠く南の海からから
運ばれてきた貝殻などが打ち上げられています。小さな子どもは、宝探しも楽めます。
私が見つけた貝殻は、宝貝の一種「ヤクシマダカラ」で、遠く屋久島から流れて来たのか
と思うと、感慨無量です。
ヤクシマダカラ

6.参考文献

1)加藤 昭ほか:鉱物採集の旅-東海地方をたずねて-,築地書館,1983年
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