その週末、石川県の石友・Yさんが山梨県でのミネラルウオッチングを楽しみたい
と来甲され、その初日に水晶峠を訪れ、結局この1週間に2回訪れたことになる。
産地付近の日陰には、前の週に降った雪が薄っすらと残り、消える気配がなく
このまま根雪になりそうであった。ズリの表土は、厚さ15cmくらいまでカチン
カチンに凍り、表面観察もままならない状況であったが、この産地らしい標本を
観察することができ、皆さんご満足いただけたようであった。
産地への林道は、12月1日〜翌年5月31日まで通行止めとなり、厳しい冬に
閉ざされてしまう。
2005年最後の水晶峠でのミネラルウオッチングとなった。
( 2005年11月 採集 )
4.1 Kさん一家の採集品
職業柄か(?)、Kさんが詳細に観察品を分類してデータを送ってくれましたので
ご紹介します。
(1)インクルージョン有無とその分類
頭付きの標本のみについて、インクルージョン有無とその種類は下表の通り。
タイプ | 数 (本) | 比 率 (%) | 備考 | インクルージョンなし | 14 | 45 | 山入り | 12 | 39 | マリモ、緑泥石入り | 4 | 13 | 緑 | 1 | 3 | 透緑閃石か緑簾石(?) | 合計 | 31 | 100 |
この結果から、「山入り(Phantom)」は約50%の水晶に見られるものの「緑(Green)」は
3%と産出が稀で、京都の石友・Nさんはじめ皆さんが欲しがる理由が納得できます。
(2)結晶形態
結晶は柱面”m面”からなる六角柱で、錐面は全て”三角形”に見える” r面 ”と
” z面 ”が交互に見られるのみで、” s面 ”や” x面 ”は観察できなかった。
4.2 Yさんの採集品
ズリから掘り出した、「山入り水晶の平行連晶」はピカピカで、近来稀に見る”佳品”
でした。
4.3 私の採集品
この2回の訪問で私が採集した標本は、平板である以外、何の変哲もない水晶1点だけ
であった。
この水晶の使い途に就いては、近々、HPでご紹介する予定です。
(2) 採集品について、Kさんが分類してデータを送っていただき、このように定量的に
まとめたことがなかった私にとって、貴重なものとなった。
採集→帰宅→採集品の観察・検討、と一回のミネラルウオッチングで2度楽しむ様に
すれば、採集された(?)鉱物も本望でしょう。
(3) それにしても、水晶峠から10kmも離れていない乙女鉱山の水晶には、” s面 ”や
” x面 ”を約80%という高い比率で見かけるのに、水晶峠では全く見かけないのは
”自然の妙”と言うか、”不思議さ” を感じます。