山梨県水晶峠の山入り水晶

山梨県水晶峠の山入り水晶

1.初めに

京の沢でYさんとデュモルチ石を採集し、鶏冠山林道のゲートまで戻ると、
まだ12時前なので、水晶峠に行くことにする。
2人とも、意識の底に、10日前のミニ採集会で、愛知県のKさんが採集した見事な
山入り水晶と緑水晶があったことは確かです。
Yさんも水晶峠が2回目で、産地の状況が飲み込めていたせいか、今までで最高の
山入り水晶と頭が溶けてはいるが綺麗な緑水晶を採集できた。
私も、何とか「水晶峠の山入り水晶」と言えるものを採集できた。
(2002年6月採集)

2.産地

水晶峠に到るルートは次のどちらかです。
(1)黒平の集落から木賊峠に到る林道の途中から、水晶峠への登山道を約2時間歩く。
(2)柳平の集落から大弛峠に到る林道「川上牧丘線」から、金峰山への登山道を約1時間歩く。
(2)のコースは、柳平の集落のゲートが 12月1日から翌年の5月31日まで、閉鎖されて
しまいますので、注意が必要です。もっとも、林道が閉鎖されているときは、産地も凍てついて
採集が難しいでしょう。
川上牧丘線で乙女鉱山の入口を左に見て、約20分走るとアコウ沢を過ぎ、その先の左手に
広い駐車スペースがある。ここが金峰山への登山道の入口です。
以前は、登山の案内板があり迷うことがなかったのですが、林道の改修工事で撤去され
登山道の入口が分かりにくくなっています。
ここから沢音のする谷に向かって、やや急な坂道を下って行くと、林業用軌道が残る平坦な
道に突き当たる。
林業用軌道跡【錆びたレールと朽ちた枕木】
このほぼ平坦な道を約1km行くと、ガレ場の先が谷に向かった急坂になっている。
坂を下り切ったところが、荒川と御堂川(枯れ沢)の合流点になっている。
荒川は通年水量が多く、渡るのに注意が必要です。

今回は、Yさんと2人だけなので、橋代わりの大きな流木で川を渡り、水晶峠のズリの
末端まで直登を試み、九輪草が咲き乱れる湿地帯を駆け上がり、ズリに到達する。
ここまでの所要時間40分と前回の半分でした。
九輪草の群落

3.産状と採集方法

水晶峠では、マサ化した花崗岩に挟まれたペグマタイト脈の晶洞から水晶を
掘ったようです。
ここでの採集は、ズリを掘るのが一般的ですが、表面採集でも良品が期待できます。
ズリを探す

4.産出鉱物

(1)山入り(ファントム)水晶【Phantom Rock Crystal:SiO2】
英語の”Ph(F)antom”には、幽霊、お化けと言ったチョット不気味な意味があり、
日本語の「山入り」のほうが馴染みやすいと思う。
山入り水晶

5.おわりに

(1)山の部分は何なのか、角閃石、緑簾石それとも気泡か。どのようにして
山の部分が不透明でその外側が透明な山入り水晶ができたのか、不思議です。
冷蔵庫で作る氷に透明な部分と不透明な(白い)部分があるのがヒントのような
気がするのですが・・・・・・・・・・。
(2)2人とも、お互いに前回の採集会で目星をつけたズリの周辺を重点的に探す。
やがて、「中川さん、これを見て下さい!!」と、Yさんのやや興奮した声。
見せてもらった水晶は、水晶峠特有の細長い山入り水晶で透明感があり、頭、
6つの柱面とも完璧な良品。お互いに、「良かった、よかった」を連発。
その直後、私の目の前に現れたのは、ややズングリしているものの、これぞ
「水晶峠の山入り水晶」と呼べる写真のもの。
これで、水晶峠の山入り水晶は、卒業です。
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