「水晶さがしにいこう」 ひけつとこころえ

「水晶さがしにいこう」 ひけつとこころえ

1.初めに

2002年12月初め、雪の降りしきる中、黒平に水晶の晶洞を求めて採集に
行ったが、その結果は、採集者によって明暗を分けた。
山梨県内の水晶産地の文献を調査するため、山梨県立図書館に何回か通った。
”水晶”で検索したところ、児童向けの書棚に「水晶さがしにいこう」があった。
サブタイトルの”ひけつとこころえ”に惹かれて、借りてきて、読んでみたら
大人の私が読んでも面白いので、結局、同じ本を注文して取り寄せた。
この本に書かれている、”ひけつとこころえ”をお伝えしたいと思います。
この本は小学生レベル向けに書かれており、水晶や鉱物が好きな子供への
クリスマス・プレゼントに好適かと思います。
(2002年11月調査)
表紙

2.著者と水晶の出会い

著者の関屋さんは、1944年、岡山県の生まれで、京都の美大を卒業し、絵本で
各種の賞を受賞しており、この本の絵も書いている。
小学校6年生のころ、お父さんに連れられて”水晶山”に初めて行って、煙水晶を
採集し、その後何十回と採集に行った体験をベースに書いています。

3.登場人物

ぼく・・・・・・・・主人公【晶夫(あきお)】、採集歴3年。著者の少年時代を
          投影していると思われる。
父(とう)ちゃん・・採集歴25年のベテラン。
じいちゃん・・・・・水晶とり65年の大ベテラン。
母(かあ)ちゃん・・水晶とりに行くとき、おにぎりを作ってくれる。
ばあちゃん・・・・・「水晶のおもさで、家がつぶれる」と心配。

4.あらすじ

水晶とり日和に、じいちゃん、父ちゃん、ぼくの3人で水晶山に採集に行った。
アチコチ歩き回るが、水晶は見つからない。やがて、ぼくが、ガマから頭をだした
水晶を見つける。
水晶谷にテントをはって寝る。翌日、谷川を掘って3人抱えの大きな黒水晶を発見。
この水晶は村の博物館に寄贈することにした。

5.舞台

3人が水晶採集に行くのは、”水晶山”となっています。
その特徴は、次の通りです。
@花崗岩のマサ化した禿山が多い。
Aこれらの間を「水晶谷」〜「水晶川」が流れている。
B麓に、「鉱物博物館」がある。
C山の上に、「お不動さん」がある。
D水晶のほかに、トパーズ、緑柱石、電気石などが採集できる。
水晶山

皆さんは、この物語の舞台は、どこだと思いますか?

6.秘訣と心得

この本には、水晶を見つける秘訣と心得が7ケ条書いてあります。
@欲を出さないこと。
A見つからなくても、あきらめないこと。
B目を一点に集中して出来るだけ地面に顔を近づけてあるくこと。
Cどんな小さな雲母や長石のかけらでも見つけたら、まわりを注意してさがすこと。
D大きな水晶のガマをみつけたら、次回の楽しみに少しのこしておくこと。
Eほった穴は、かならず土をうめてもとどおりにすること。
F水晶に感謝して、たまにはピカピカにみがくこと。
@〜Cが秘訣(ノウハウ)で、D〜Fが心得(ルール)でしょうか。
ひけつとこころえ

7.おわりに

(1)この秘訣を参考にして、皆さんが大きな晶洞を開けることを願っています。
(2)また、みんなが、心得(ルール)を守って、産地保護に努めましょう。
(3)山梨県内の水晶はじめ鉱物産地の文献を調査するため、山梨県立図書館に
何回か通った。
特に11月20日は、山梨県の「県民の日」で、博物館や美術館が無料で入館できるほか
県立図書館では、普段一般の人が立ち入ることができない資料室の書籍も閲覧できた。
八幡山鉱山などの情報もこの日に確認しました。
(4)県立図書館では、自分のところにない本をリクエストに応じて、他府県で
所蔵する本を取り寄せるサービスがあります。
今回、「福岡県鉱物誌」を取り寄せてもらいました。活用しようと思っています。

8.参考文献

1)関屋敏隆:水晶さがしにいこう,童心社,1999年
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