山梨県産 水晶印材コレクション-その9-

1. 初めに

   2003年3月に甲府市で開催された骨董市で水晶印材を出品しているお店があり
  早速8本まとめて購入した。
   この中に、インクルージョン入りが6本、その内『山入り』のものは1本だけだった。

     「山入り」【2003年3月入手】

   それ以来、山梨県は無論、各地の骨董市や骨董店を訪れる毎に、山梨県産の
  水晶製品に眼を光らせていた。その結果、既に120本前後の水晶印材が集まり
  その経緯と「山梨県水晶細工【印材】のミニ歴史」については、HPに何回か記載
  した。

 ・山梨県産 水晶印材コレクション
 ・山梨県産 水晶印材コレクション-その2-
 ・山梨県産 水晶印材コレクション-その3-
 ・山梨県産 水晶印材コレクション-その4-
 ・山梨県産 水晶印材コレクション-その5-
 ・山梨県産 水晶印材コレクション-その6-
 ・山梨県産 水晶印材コレクション-その7-
 ・山梨県産 水晶印材コレクション-その8-

   2008年1月、北関東で開かれた骨董市をのぞくと、「3重山入り水晶印」があった
  ので購入した。この品は、青森県の骨董商がもっていたもので、地元の画家の家
  から出た、とのことだった。
   山梨県名産の水晶を使った印材が本州最北端の地にまで運ばれていた事も
  初めて知った。

     「骨董市」【2008年1月】

   試行錯誤を重ねながら、かつて山梨県の名産の1つであった、水晶印章の本当
  の姿に一歩一歩、近づきつつある、と感じている。
   印材や印鑑は既に130本以上収集でき、資料は揃ったので、違った水晶製品も
  収集しておきたいと思うこのごろである。
   ( 2008年1月入手 )

2. インクルージョン入り水晶印

   水晶印材の収集をはじめたばかりの2003年、インクルージョン入りの水晶印材は
  『屑水晶を使った見本』 だろうと考えていた。

   2003年4月、山梨県旧六郷町にある「印章資料館」で、昔印章を彫っていたという
  80歳前後の方に話を聞いた。
   印材の展示品の中に、1点だけインクルージョンを含むものがあり、HPに書いた
  私の予想に反して、インクルージョンの入った印材は、『同じ物が2つとない』こと
  から、特に珍重されたとのことであった。

   2006年2月末、甲府市にある地場産業製品の展示・即売会場「かいてらす」で
  雨畑硯、印章など地場産業の加工実演・展示・即売が行われた。
   印章手彫り実演・体験コーナの係の方に、いろいろと教えていただいた結果、
  次のようなことがわかった。

 (1) 印章の材料
     印章の材料(印材)としては、つぎのようなものが使われ、”水晶”は現在でも
    使われている。

 系 類       印   材   名備  考
鉱物水晶透明水晶、インクルージョン入り水晶 
青田石、寿山石 
変り石メノウ、虎目石、ひすい 
動物象牙、マンモス牙、鯨牙、河馬(カバ) 
シープホーン(山羊角)、(水)牛角白、(水)牛角黒 
木質植物つげ、黒檀、紫檀、オノオレカンバ 

 (2) 「ススキ入り」など、インクルージョンが入った印材は、”自然、天然”の証拠で
    愛好する人も多かった。
     したがって、価格も安くはなく、透明なものに比べ、何割か高かったようだ。

3. 「3重山入り」水晶印

   今回入手した「2重山入り」かと思ったものは、よく見ると『3重山入り』になってい
  る珍しいものである。
   サイズは、一辺13.5mm、長さ50mmで、標準的な大きさである。

     3重山入り水晶印材

   この水晶の産地がどこか、気になるところである。山入り水晶といえば、まず想い
  浮かぶのが、山梨県甲府市『水晶峠』である。
   2007年6月、水晶峠で、20cmの山入り水晶巨晶を採集したのは既報の通りで
  ここで採集した標本の中には、2重、3重に山入りになったものがいくつかあった。

     山入り巨晶【水晶峠産】

   したがって、「水晶峠」のものだろう、と推測している。

4. おわりに

 (1) 今まで、骨董市などで入手した印材をみて、古い文献にもとずいた推測や一部の
    水晶加工に携わる人々の意見を聞き、HPに継続的に記載している。
     今回入手した『3重山入り』水晶印材は、珍しいものなので、大切に保管し、
    まとまった形で後世に伝えたいと思っている。

 (2) 今まで無垢の印材や実際に実印、認印あるいは蔵書印として名前が彫られた
    いわゆる水晶製の印鑑を130点あまり入手した。
     その中には、私が水晶印材を収集していること知った栃木県の石友・Sさん
    一家からいただいたものもある。

     材質も透明、紫、インクルージョン入りと各種あり、これらが珍重され、実際
    に使われていたことがもわかった。

     古い文献やカタログにある印材の現物がほとんど揃ったので、違った水晶
    製品も収集しておきたい、と思うこのごろである。
    

5.参考文献

 1) 山梨県水晶商工業協同組合編纂:水晶宝飾史,甲府商工会議所,昭和43年
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