2005年12月、長野県川上村・湯沼鉱泉社長、長野県の石友・Yさんと一緒に山梨大学内の
そこには、水晶原石などの鉱物のほか、印材、硯、花瓶などの水晶細工品が並べられ、この
2013年春、関東地方で開かれた骨董市を訪れると、とある店先に水晶製と思われるものが
・ 使用後の毛筆を洗って掛けて置く「筆掛け」
われわれが、日常茶飯時に使用する箸を置く『箸置き』の筆バージョンと思えばよいだろ
奥行(Max) : 23 mm
高さ(Max) : 27 mm
重量 : 42 グラム
水晶は、完全な透明ではなく
これだと筆が転がって机から床に落ちたり、筆先が机に触れて周りを墨で汚すおそれがなく
42グラムという重さは、紙を抑えるのには十分で、鋳物製の筆架がそうであるように、『文鎮
「筆架」は、四宝には入っておらず、文房具としてはマイナーな存在だ。だが、”筆休め”と
今回入手した、水晶製の筆架は、富士山という山梨県、いや日本を代表する名山の雄大
(2) 近況
1) 『家庭農園』
事情を調べてみると、「不在借地人」になっていまい、地主の方が、整地しなおし、新たな
この間、サトイモ、ジャガイモ、ショウガの種を植え、自家製のネギ苗を植え、千葉の赴任
2) リハビリ STEP2
この日は、リハビリ STEP2として、社長に教えてもらった里山にある新産地に行く予定だ
新産地は、月遅れGWミネラル・ウオッチングで石友の皆さんと訪れるのを楽しみにしてい
「水晶館」を見学した。
ような水晶宝飾品を1つは欲しいものだ、と思い、「櫛」、「簪(かんざし)」、「瓶」など、気に入っ
た品を見かけると財布と相談の上、できるだけ購入している。
ヒッソリと置いてあった。富士山のような形だが、『宝永山』のような小山がついている。
店主の話では、「これは『筆架(ひっか)』、というもので、筆を寝かせるための道具だ」、との
ことだった。
装飾品としての『富士山の置き物』は古い水晶製品のカタログなどに掲載されているが、この
ような実用的な文房具としての『筆架』は初めてみた。『用の美』の一例として紹介する。
( 2013年4月 入手 )
2. 「筆架」とは
筆架には、次の2つのタイプがあるようだ。同じ名前でも用途・形態が大きく違う。
・ 書いている途中や書いた後の毛筆をそのまま机の上に置くと、転がってしまったり、墨で
机を汚すなどの恐れがある。そこで、『枕』をかって筆先を浮かせる。
この『枕』のことを「筆架」と呼ぶ。別名「筆置き」、「筆床」。陶磁器、鋳物(銅)、木材(紫檀、
黒檀)、玉石(水晶、瑪瑙、翡翠、硯石、珊瑚)そして玳瑁(たいまい:亀の甲羅)などでつく
られるようだ。
う。
今回入手したのは、「筆架」の後者のものだ。
「筆掛け」
3. 水晶製筆架
今回入手した筆架は次のようなものだ。
水晶製「筆架」
横幅(Max) : 73 mm
細かい気泡(液体?)が入り
”雲入り”状になっている。
4. 「筆架」(筆置き)の使用法
実際に筆架がどのように使われるのかを解明するため、毛筆を探しだして置いてみた。
「筆架」使用例
好都合だ。
(ぶんちん)』の役目も兼ねていたとも考えられる。
5. おわりに
(1) 『文房四宝』
「弘法筆を選ばず」、ということわざもあるが、古来、文人墨客(ぶんじんぼっかく)がこよなく
愛し、こだわったものが筆・墨・紙・硯(すずり)の4つで、これらを『文房四宝』、と呼ぶ。
も呼ばれるとされ、料理の”箸休め”がメインの料理の味を引き立てると同じように、文房四
宝を引き立てる名脇役だ。
さを高さ1寸(30mm)足らずの中に凝縮し、インクルージョンの”雲”で風の動きを表現してい
る。
これを使った人の文房(部屋)に、大自然の一部を再現していたのだろう。
千葉から山梨に戻って、1ケ月近くになろうとしている。
3年間の不在の間、農園は妻だけでは十分手が回りかね、荒れるにまかせていた。
久々に畑の様子を見に行った妻が帰ってくるなり、「 大変!!、うちの畑を知らない人が
耕している!!」 、と喚(わめ)いている。
借地人に貸したらしかった。慌てて、妻が地主さんに挨拶に行き、引き続き貸していただく
了解を得たが、すでに隣のNさんが耕した部分は、返還せざるを得なかった。
こうして、面積は2/3ほどに狭くなってしまったがそれでも100m2あまりある。「不在借地人」
でないことを証明するためには、”草1本はやしていない”状態にするしかない、と思い、翌
日から雨が降らない限り畑に通い続けた。まさに、『晴耕雨読』の日々だった。
朝8時から12時過ぎまで、延べ10日近くかかり、隣の田んぼのプロの方からも「きれいに
なったネ」 、と誉められるほどになった。
先をを離任する時、兼業農家のMさんからいただいた千葉県産落花生の種も播いた。こうし
て、GWに夏野菜の苗を植えるのを待つだけになった。
4月下旬の夕方、兵庫の石友・N夫妻とその日の宿・湯沼鉱泉に向かうと、雪が降り始め
夜中になっても降り続いている。一夜明けても、小雪がチラつき、積雪は10センチもある。
私の車はスタッドレスタイヤをはいているのでどこでも行けるが、Nさんの車のタイヤはノー
マルなので、とりあえず持っているというチェーンを湯沼のKさんに手伝ってもらって付けた。
降りしきる雪 記念写真【at 湯沼鉱泉】
4月下旬の時ならぬ雪
ったがギブアップし、民俗資料館で水晶製の石器を見学し、お昼前にお別れした。
る。
6. 参考文献
1) 山梨県水晶商工業協同組合編纂:水晶宝飾史,甲府商工会議所,昭和43年
2) 山梨大学編:水晶展示室パンフレット,山梨大学,2005年