埼玉県立自然史博物館の「砂金さがし」

埼玉県立自然史博物館の「砂金さがし」

1.初めに

埼玉県長瀞にある埼玉県立自然史博物館主催の「土曜おもしろ博物館・砂金さがし」に
妻と一緒に参加した。
親子ずれが多く、学芸員の説明のあと、荒川の砂を木地盆を使いパンニングして砂金採集に
トライした。
残念ながら、砂金は見つからなかったが、現在開催中の「自然の調べ方」の地学コーナで
長島乙吉氏が長瀞で発見した「苦灰石の中の自然金」を見学できるなど、貴重な体験であった。
(2002年9月採集)

2.場所

秩父鉄道「上長瀞駅」から約200mに博物館がある。国道140号線沿いに大きな案内表示が
出ているので迷うことも無いと思う。
駐車場も整備されており、車でも(の方が)便利である。
埼玉県立自然史博物館

3.「土曜おもしろ博物館」

土曜おもしろ博物館は動物、植物、地学などに関連するテーマで土曜日の午後に開催しており
予約不要、入館料無料です。今回のテーマが「砂金さがし」でしたので、参加してみました。
(1)展示物
長瀞の砂金、全国の自然金や金色をしているが金ではない鉱物(黄銅鉱、黄鉄鉱、金雲母)などの
標本が展示してありました。
(2)学芸員の説明
砂金の特徴、木地盆を使ったパンニングのやり方などの説明があり、磁鉄鉱に混じって黄金色に
輝く砂金が拡大してモニタに映し出されると、参加者全員既に採集した気分です。

    木地盆を使ったパンニング    磁鉄鉱と砂金
(3)パンニングに挑戦
制限時間10分、木地盆を使ったパンニングに挑戦した。木地盆が塗装していない木目のまま
なので、細かい砂金を識別することは難しく、砂金が見つかったという歓声は私がいた間には
ついに聞かれませんでした。
私は、下部町の湯之奥金山博物館で購入したプラスチック製のパンニング皿で挑戦しましたが
砂の量が少なく、発見できなかった。
ご夫婦と娘さんの家族連れにパンニング皿を貸して、パンニングの手ほどきをしたところ
1mmを超える砂金が見つかった。
砂金さがし風景

4.「自然の調べ方」

9月23日まで、企画展「自然の調べ方」を開催している。ここには、化石などのほかに
地学コーナがあり、「長瀞の岩石・鉱物」の概要を実物標本を見ながら理解することができる。
長瀞の岩石・鉱物案内図
(1)「苦灰石の中の自然金」
この展示の白眉は、長島乙吉氏が長瀞で発見した「苦灰石の中の自然金」です。
氏は1919年秩父鉄道の依頼で、埼玉県立自然史博物館の元となった「鉱物標本陳列所」に
展示するための標本を神保小虎先生と長瀞から秩父鉱山にかけて採集した経験があり
この辺りの鉱物に精通されていたのでしょう。
その後、苦灰石脈の中の自然金を発見したのは、櫻井欽一博士だけだそうですから
この標本の貴重さがお分かりいただけると思います。
長島乙吉氏採集「苦灰石の中の自然金」
(2)長瀞の代表的な鉱物
長瀞は、紅簾片岩はじめ地質・岩石で有名ですが、私の興味の中心の鉱物関係で目についた
標本の写真を掲載します。
これらの標本はいつでも見れる訳ではなく、このような企画展の機会を捉えることが大事です。

      砂金               自然銅

5.おわりに 

(1)長島乙吉氏が採集した「苦灰石の中の自然金」の消息を博物館の副館長さんに
質問したところ、早速、地質課の学芸員の方からメールで次のような回答をいただいた。
厚く御礼申し上げます。

『先生の発見された自然金は、当館の前身の秩父自然科学博物館で収蔵してきましたが
県立に移管に伴い当館の所蔵となっています。
 現在、その標本は、2階で開催中の企画展「自然の調べ方」の地学コーナーで
展示中です。
 標本は、長径約10cmの苦灰石中に約2mm程度の自然金が含まれています。』

私が、写真撮影した標本だったのです!!

(2)埼玉県立自然史博物館では、このように各種の催し物を随時企画しています。
  HPにこれらの案内がありますので、ウオッチしていると面白いでしょう。

埼玉県立自然史博物館

6.参考文献 

1)櫻井欽一、加藤昭共著:鉱物採集の旅 関東地方とその周辺,築地書館,1972年
2)中津川鉱物博物館:第4回企画展図録 長島鉱物コレクション展 -希元素鉱物への探求-
  同博物館,2000年
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