愛知県津具村白鳥山の水晶

愛知県津具村白鳥山の水晶

1.初めに

 私のHPを見て頂き、産地の情報を提供したり、案内して差し上げた
人たちと採集会を開催するようになって、3年目を迎えた。
 年に何回か採集会を開催し、今回は「岐阜・愛知の鉱物産地を訪ねて」と
題して、延べ29名の皆さんと各地で鉱物採集を楽しんだ。
 その2日目、愛知県津具村にある白鳥山での採集を楽しんだ。
 先行した埼玉のAさんの息子・Sさんが、大きなガマを開け、その余禄に
あずかった人も多く、さらに集合5分前に、千葉県のYさんが、4cmの逆松茸の
良品をゲットし、”ラスト5分のYさん”の伝説が蘇った。
 案内や下見をしていただいた、愛知県のKさん、Hさん、静岡県のYさんに
厚くお礼を申し上げます。
(2003年10月採集)

2.産地

  愛知県津具村の南東に、標高968mの白鳥山があります。その中腹に
 「白鳥神社」があり、この裏山一帯が水晶産地です。
  近くには、金・輝安鉱として有名な津具鉱山があり、津具鉱山には何回も訪れた
 ことがあっても、白鳥山は初めて、という人が多いようです。
 (斯く言う私もその一人でした。)

3.産状と採集方法

  白鳥山は、珪質岩からなり、頂上付近には、風化に強い岩体が残っています。
 これらが、永い年月で崩落して、神社裏の転石になっているようです。
  案内していただいた静岡県のYさんが、”白鳥山は、小川山のミニ・バージョン”
 紹介してくれましたが、全くその通りです。

  白鳥山露頭

  この珪質岩に貫入した石英脈の太くなった晶洞部分に水晶が産出します。
 転石や露頭の表面を観察し、晶洞部分を探し、タガネとハンマーで掻き取りますが
 うまく石目を読まないと、肝心の水晶が粉々になってしまいます。

  白鳥山採集風景

   兵庫のNさんご夫妻は、苦心惨憺の末、晶洞部分から母岩付を採集した。

  Nさんご夫妻【中央が晶洞】

4.採集鉱物

(1)松茸水晶【Mushroom type Rock Crystal:SiO2】
   ここを何回も訪れているYさんによれば、松茸水晶は比較的産出しやすいようですが
  今回私が採集した、母岩付は珍しい様です。
   写真の標本は、2本の松茸水晶が寄り添うような形をしており、”夫婦”のようです。

  松茸水晶

(2)水晶【Rock Crystal:SiO2】
   ここの水晶の特徴から、私が推定した水晶の生成シナリオは、次の通りです。
   @根元部分は白濁し、成長が急激で、ガスや不純物をたくさん取り込んだ。
   A先端部分は、先細り(逆松茸)で透明度が高く、成長速度が低下した。
    速度の低下が急激なものは、”太っちょ”に、徐々だったものは、”先細り”に
    なった、と考えています。
     また、一度成長が停止(速度ゼロ)した後、成長を再開したものが、”松茸”に
    なったと考えます。

     
      太っちょ           先細り
         白鳥山産の代表的水晶

(3)その他
    ここでは、水晶以外に目ぼしい鉱物は見当たりません。

5.おわりに

(1)楽しかった採集会も終わりを迎え、静岡・兵庫グループとは白鳥神社前で、愛知グループ
   とは根羽村でお別れし、一路甲府ICに向かう。
   途中ノンストップで、19:09に到着。所要時間2時間10分と最短記録更新。
   山梨県内の乙女鉱山より、白鳥山の方が”近い”??!!
    「日本道路公団」にからんで、議論が盛んな昨今ですが、前にもHPに書いたように
   道路などのインフラが整備されると、産地が近くなり、鉱物採集はもっと楽しくなります。
(2)白鳥山(津具村)から長野県飯田に抜ける”三州街道”沿いは、紅葉の見ごろで
   また訪れて見たいと、妻と話し合っています。

6.参考文献

1)柴田 秀賢:原色鉱物岩石検索図鑑,北隆館,昭和48年
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