区分 | No | 標本 | 産地 | 備考 *印:他産地代用可 |
50種 | 5 | 方鉛鉱(八面体と六面体の集形) | 秋田県太良鉱山 | 9 | 黄銅鉱(三角式結晶) | 秋田県荒川鉱山 | 19 | ルチル | 徳島県眉山 | 30 | 荒川石(ベスジェリ石<原文のまま>) | 秋田県日三市鉱山 | 38 | 褐簾石(花崗岩中の結晶) | 京都府白川 | 45 | 灰鉄輝石(結晶) | 大分県尾平鉱山 | 番外 | @ | 手稲石 | 北海道手稲鉱山 |
このリストをもう一度眺め直してみると、、”自力採集できそうなもの”が思い浮かんだ。
それは、『京都府白川の褐簾石』であった。
2年ほど前のミネラルショーで、真鍋鉱物研究所の店主に、「白川の褐簾石」の標本の在庫が
あるかを尋ねたところ、『今でも、採れるんと違いまっか』、と言われたのが記憶の片隅にあった
からである。
新車の慣らし運転を兼ね、往復800km、下道をひた走り、如意ケ岳(大文字山)周辺で
『白川の褐簾石』を採集できた。
(2005年7月採集)
@砂防ダムへの道・・・・・・・・銀閣寺の北から大文字への登山道を約500m登ったところ
A太閤岩・・・・・・・・・・・・・・・・明治30年、京大の比企 忠博士が日本で最初に褐簾石を
発見した場所
B大洞穴・・・・・・・・・・・・・・・・石材を採掘した跡が大きな洞窟になっている
3.1 砂防ダムへの道
登山道の脇には、「白川谷」と呼ばれる谷川が流れており、この川底の土砂を”パンニング”
すると「褐簾石」、「鋭錐石」を初めとする希元素鉱物を採集できる。
褐簾石の比重は、3.5〜4.2と花崗岩の主成分の石英、長石(比重約2.7)との差が少ないので
「苗木石」(比重約4.1)よりもパンニングは難しい。
3.2 大洞穴
「京都の地学図鑑」には、『洞穴内の砂をすくって外で新聞紙などにひろげて見る』とあるが
褐簾石の結晶は最大でも10mm以下と小さい上、洞窟内には”泥”が流れ込んで砂は
”ドロドロ”で、広げてみて探し出せる状況にはない。
ここは、”土嚢袋作戦”の出番で、洞窟内の土砂を袋に入れ、持ち帰って水洗いした後
”ジックリ”探すことになる。
(洞穴附近に、水はない)
33 太閤岩
今回訪れていないので、産状が把握できていないが、「京都の地学図鑑」の写真を見る限り
「大洞穴」に近い産状と思われる。
今回採集した2箇所の標本は、ともに上記の褐簾石の特徴を備えている。
斑晶が抜け落ちたままなので、”頭付き”も高い確率で見られる。
(2)その他の鉱物として、白川谷では3mm以下の「鋭錐石」が多量に採集できます。
(2)今回、白川谷へは銀閣寺の参道側からアプローチしたが、快晴なのに長靴を履き、スコップを
入れたリュックサックを背負い、手にパンニング皿を持って歩く姿は観光客からは”異様”に
見えたと思うので、如意ケ岳側からのほうが良いかもしれません。
また、銀閣寺周辺の寺領では、採集は遠慮したほうが良いでしょう。
(3)「苗木石」に続いて「白川の褐簾石」を自力採集でき、次なるターゲットに向けて文献の調査を
進めているが、残り6点は、産地が遠いだけでなく、絶産との声も聞かれる難物揃いなので
気長に取り組むしかないと観念している。