山梨県甲府市白山の鉱物

1.初めに

2003年の年が明け、「初詣は氏神様から」の譬えのように、今年の採集初めは
私の家の裏山にあたる、甲府市白山(しろやま)で行った。
白山はその名の通り、遠くから見ると白く見える、花崗岩の岩肌を剥き出しにした山で
近くの和田峠では、昔水晶を採集したという話を聞いたこともある。
ペグマタイト脈と晶洞を目指して、散歩がてら採集初めに訪れた。
ここでの鉱物採集の報告は目にしたことはないが、頂上付近のペグマタイト脈で
小さいながら鉄バン柘榴石と苦土電気石を探し出すことができ、幸先良い2003年の
スタートである。
今年も地元山梨県の産地に軸足を置きつつ、全国の産地を回って見たいと考えている。
(2003年1月採集)

2.産地

甲府駅の北約4kmのところに、白山がある。標高は600mほどであるが
甲府駅が既に標高300mくらいなので、甲府の市街が目近に見える。
私の家から直線距離で約2kmであり、家の窓から白い山肌が見える。
白山【自宅から】

3.産状と採集方法

ここは、甲府盆地北部に広がる花崗岩体の南の端に当る。長石と石英を主とする
アプライトと呼ばれる優白色花崗岩体からなっている。
今までの経験では、ペグマタイトは黒雲母を伴うので、黒雲母があればペグマタイトが
ある可能性が高い。
案の定、黒雲母花崗岩の近くに厚さ最大10cmばかりの石英脈が走っている。
この近くを探すと、”文象花崗岩”があり、それに隣接する長石、石英をバールで崩して
採集する。

4.採集鉱物

(1)鉄バン石榴石【Almandine:Fe3Al2(SiO4)3】
小さなものは紅赤色で偏菱24面体をなし、長石に埋もれて産出する。大きなものは、
暗黒色塊状で表面が茶褐色の鉄錆に覆われている。
鉄バン石榴石
(2)苦土電気石【Dravite:NaMg3Al6(BO3)3Si618(OH)4]】
緑黒色で径約1mm、長さ10mm以下の針〜柱状結晶で長石に埋もれて産出する。
苦土電気石

5.おわりに

(1)甲府に転勤して以来、自宅から白山の白い岩肌を見るたびに、何か採集できる
のではないかと思いつつ、15年余りが経っていた。
今回、初めて訪れ、アプライトの代表的な鉱物を採集できた。
(2)今年も、地元山梨県の産地の再発見に努めるとともに、全国の石友と一緒に新しい産地を
回って見たいと考えている。

6.参考文献

1)地学団体研究会地学事典編集委員会編:地学事典,平凡社,昭和45年
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