2002年7月岐阜県中津川市関戸川のトパーズ

2002年7月岐阜県中津川市関戸川のトパーズ

1.初めに

加藤・松原・野村先生共著の「鉱物採集の旅-東海地方をたずねて-」に
「岐阜県苗木地方の鉱物(1)」の章があり、関戸川の川砂の中から
小型のトパーズや錫石などが採集できるとあります。
今回、妻と一緒に鉱物採集会の下見で訪れ、頭はないが透明感抜群で
緑柱石と共生するトパーズとこの産地にしては珍しく川擦れが少ない
煙水晶などを採集した。
(2002年7月採集)

2.産地

中津川市苗木から国道256号線で北に向かうと「関戸」のバス停が
左側にある。
反対側にやや上りになった道があり、ここを入り、ものの20mも行くと
右に下る道がある。この道はやがて急坂を登るようになり、道なりに行くと
平坦になり、関戸川に掛かる「関戸川橋?」がある。ここまで、関戸の
バス停から700m位でしょう。
この橋から上流にある橋の間の川と昔の川床が産地です。

3.産状と採集方法

花崗岩ペグマタイトにあったトパーズ、水晶などが花崗岩の風化・崩落で
川に流され堆積した1種の漂砂鉱床と考えられます。
産地の関戸川は、サラサラと水が流れる小川で、その模式図は和田峠の
満バン柘榴石が採れた和田川と同じです。ただひとつ違うのは、川底が
硬い花崗岩で、その上に積もった土砂や花崗岩の窪みの中にトパーズなどが
眠っています。
川底は何度も採集されているため、今は河川敷となっている昔の川床の方が
良品を採集できる可能性が高いでしょう。

関戸川模式図

ここでは、スコップで土砂を堀り起し、フルイに入れ、川の中で篩って探すので
鉱物採集につきもののハンマは全く不要です。

左:土砂の採掘          右:川の中でフルイ掛け
         関戸川での採集方法

錫石や希元素鉱物はパンニングで採集します。パンニングについては、別に
ページを作成する計画です。

4.産出鉱物

(1)トパーズ(黄玉);【Topaz:Al2SiO4(F,OH)2】
トパーズの水晶との違いは、次のように見分ければ良いでしょう。

       トパーズ                  水晶
@条線 :縦に筋がある。                横 
Aへき開:c軸に直角に明瞭で、割れ口が平坦   なし
B断面 :ひし形                      六角
C屈折率:水晶より高く、透明度が高く、キラキラした感じ。
D比重 :水晶よりチョット重い感じ。

トパーズの色は、文字どおり酒黄色〜薄い青〜透明 と各種有ります。
頭付が欲しい所ですが、確率的に20ケに1ケくらいでしょうか。
下の写真の標本のように、緑柱石を含むもの、共生するものもある。

左:へき開明瞭【上下c軸】   左:断面ひし形【画面中央が緑柱石】
      関戸川産の緑柱石と共生するトパーズ

(2)煙水晶【Smorky Quartz:SiO2】
煙(透明)水晶が採集できますが、川擦れしているのがほとんどで、見栄えは
今1つです。
今回、この産地にしては珍しく川擦れが少ない煙水晶を採集した。
煙水晶

5.おわりに

(1)心無い採集者によって、産地が荒らされ、地元の人から立入りを
禁止されている、と聞いていました。今回、蛭川村の帰りに寄って、何事もなく
採集できました。
私のHPを見た静岡県のMさんご一家もここを訪れ、見事、頭付きを採集したとの
嬉しいメールがありました。
今回、緑柱石と共生するトパーズがあることを知ったのも大きな収穫です。
(2)関戸川でのパンニング結果を別途報告したいと思います。

6.参考文献

1)加藤昭、松原聡、野村松光共著:鉱物採集の旅-東海地方をたずねて-,築地書館,1982年
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