湯之奥金山博物館 - 2018年砂金掘り大会ミニ -














              湯之奥金山博物館
            - 2018年砂金掘り大会ミニ -
 

               ( THE Yu-No-Oku MUSEUM OF GOLD MINING HISTORY
                GOLD Panning Championship Mini 2018 , Yamanashi Pref. )

1. はじめに

    2018年6月、山梨県身延町(旧下部町)にある湯之奥金山博物館から送られてきた会報で、今年も恒例の
   砂金掘り大会が7月28日(土曜日)に開催される知った。その後送られてきたチラシには、「平成最後のチャンピオン
   シップ』
と謳っていた。

      
            『平成最後のチャンピオンシップ』と謳うチラシ

    湯之奥金山博物館の学芸員・小松さんからメールをいただいて、例年のように競技者として参加させていただくと
   同時に、ボランティアとして競技結果の集計をお手伝いできることを伝えた。

    湯之奥金山博物館では、年間を通して、いろいろな催しを企画していて好評だ。夏休みに開催する行事の1つ
   に、2001年に始まり、今年で18回目を迎えた「砂金掘り大会」がある。

    「砂金掘り大会」は、世界大会も開催されるほどで、外国では人気の高い趣味(スポーツ?)だ。小松学芸員
   は、国際大会で世界チャンピオンになっている事からも解るように、湯之奥金山博物館主催のこの大会のレベルは
   高い。
    案内のチラシに”砂金採りはスポーツだ!”とあるように、国際大会に出場した人たちの話を聞くと、外国人は
   体力にまかせてスピードが速いのが非力な日本人との大きな違いのようだ。

    今回の大会を翻弄したのが台風12号だった。その進路は、日本列島に接近・上陸して東から西に向かう、という
   前代未聞のコースだった。身延町の南、静岡県あたりに接近・上陸するのが大会のある28日の午後と予想されて
   いた。

      
                 台風12号 実際の進路
             【8/3 NHK「ニュース シブ5時」に加筆】

    27日の夕方、小松学芸員から、「28日の午後3時からJR身延線と中央線が運休すると発表され、28日の開催は
   難しい。本大会を延期とした形ではないが、非公式の『砂金掘りミニ大会2018』を29日10時から開催する」、との
   メールが配信された。
    29日に予定されていた「砂金掘り大会(学校対抗)」に遠方から出場する学校は既に身延町入りしているので
   開催してあげたいという想いからの計らいだった。
   ( 2018年7月 体験 )

2. 「砂金掘り大会」の種目とルール

 ● 種目
    ジュニア(中学生以下)と一般(高校生以上)の年齢別「競技種目」とややアトラクションの要素を入れた「番外
   種目」があり、ジュニアと一般のトップ同士の決戦でその年のチャンピオンが決まる。

区分 種目 参加資格 砂の量
 (kg)
制限時間
 (分)
 備   考
競技種目 ジュニア部門 中学生以下 6 10  
男女一般部門予選 高校生以上 10 10  
男女一般部門決勝 予選20位以内 16 10  
頂上決戦 ジュニアと
男女一般の
トップ
8 5 勝者が
チャンピオン
番外種目 マイパンニング皿部門 だれでも 7 7 先着20名
フラットパン部門 だれでも 7 5 先着10名

 ● ルール
    砂金掘り大会のルールは、基本的に「国際大会ルール」に従い、主催者が砂の中に隠した砂金を、”早く”しかも
   ”見逃しなく、正確に”パンニングする技を競う。

    種目によって隠してある砂金の形状ごとの数は違い、これも勝負の行方を面白くしている要素の一つだ。
    ( 砂金の数がわかっていれば、その数だけ発見した時点で勝負を切り上げて時間を稼ぐことができるが、わから
     ないから最後の一握りの砂までパンニングすることになる。)

 ● 順位の決め方
    @ 館長の「3、2、1、ピー!」という笛の合図から、バケツの全ての砂を処理し、砂金回収ビンにフタをして、
      タイマーのスイッチを押すまでのまでの時間(分)+ 【見逃し砂金数×3分】 の総合時間が短いほうが上位

      【例】

       Aさん:9分で全部見つけた   総合タイム=9分 +(0×3)= 9分
            (見逃し 0ケ---「パーフェクト」
       Bさん:7分で1ケ見逃した    総合タイム=7分 +(1×3)= 10分

       この場合、総合タイムが短い、Aさんが上位になる。

       実際の競技では、下の競技結果からもわかるように、秒単位の争いになることもある。

      A 制限時間(5分/7分/10分)以内に終了しなかった人は、” Time Over ” で、
        最下位。
        最近は参加者も慣れてきたせいか、制限時間ジャストで終了する人もいる。

3. 『 砂金掘り大会ミニ 2018− 』

 (1) 模範演技とルール説明
      例年だと競技開始に先立ち、博物館応援団団員2名による模範演技を通して、小松学芸員から競技ルー
     ルの説明がある。
      主な注意点(禁止事項)は次の通りだ。

      ・ バケツからパンニングイング皿に移す際に、こぼした砂を拾う
      ・ パンニング皿から落とした砂金粒をビンに入れる
      ・ 船の中の砂をもう一度パンニングする

      今回は「マイパンニング皿部門」の実際の競技を行いながらの説明だったので、よりリアルで、何よりも大会の
     時間短縮になった。

      
             模範演技とルール説明

 (2) 集計のボランティア活動

    私は、今回もテントの中の「集計」席で、競技者別にタイムと採取した砂金の数をPCのEXCELシートに入力し、
   総合タイムの短い順にソート(並べ替え)して”仮の順位”を出し、印刷し、速報として掲示板に貼り出すのをお手
   伝いさせていただいた。

    2017年から、博物館のプリンターに外部の私がアクセスするのは望ましくないということで、使い慣れたマイPCと
   プリンターそして用紙などを持参して印刷したので、事務所まで往復する時間やプリンターの起動待ち時間が無く
   なり、競技終了毎に速報を表示することができた。

       
                集計作業のテント                       競技結果の掲示
              【MyPC、プリンタ設置】

    タイムキーパー兼記録補佐として町役場の職員が付いてくれた。今年は、集計のテントが競技する「船(水槽)」
   群のすぐ近くにあるので、競技が終わったのにタイマーのスイッチを押し忘れた競技者に気づいて、「○番、タイマーの
   スイッチを押して!!」、などアドバイスしてくれた。
    私が自分の競技で席を外すときは、PC入力を代行してくれ、着々と代がわりが進みつつある。

 (3) 競技風景
      今回は、台風のせいで大会日程が1日ズレたため、毎年参加している石友のM.OさんやT夫妻などの姿が見ら
     れなかった。
      石友の競技やボランティア活動風景を撮ってあげたいと思っていたが、「集計」作業に追われて、自分が競技
     するとき以外席を外すことができないので、代わりに妻が写真を撮ってくれた。

      
         「砂出し」に奮闘するTさん

      私が競技するのを妻が撮影してくれた。

      
                  競技するMH

4. 競技結果

    各部門の上位入賞者と石友、そして私の記録を、湯之奥金山博物館のHPから引用させていただいた。

部門 ジュニア 競技の砂金数 7
順位 氏    名 時  間
(分.秒 1/100秒)
採集した砂金数 総合成績
(分.秒 1/100秒)
備  考
1 富田 朱菜 2.53 7 2.53 大妻中3
2 古賀 咲津希 3.36 7 3.36 大妻中3
3 大森 俊英 4.00 7 4.00 灘中1

     ・ 大妻女子中が1,2フィニッシュで、大妻黄金時代が続くのか。
     ・ 上位入賞者は全員見逃しなしの”パーフェクト”
     ・ 1位は今年も3分を切った。

部門 男女一般
(予選)
競技の砂金数 6
順位  氏   名 時  間
(分.秒 1/100秒)
採集した砂金数 総合成績
(分.秒 1/100秒)
   備    考
1 中村軒一 4.24 6 4.24 37万人目
2 紙中 緑香 4.33 6 4.33 大妻OGコーチ
3 木村伸之 5.17 6 5.17 時々 入賞
4 山野 元暉 6.01 6 6.01 灘高2
5 中澤 明日香  6.33 6 6.33 大妻高1
6 岩井一泰 3.48 5 6.48 ギニア
7 山下 裕矢 7.00 6 7.00 明大高2
8 丸山 ひなた 4.21 5 7.21 大妻高2
9 宮坂 4.55 6 7.55
10 鈴木 真子 5.29 5 8.29 大妻高2
11 野村敏郎 5.54 5 8.54 灘引率
12 阪本雅和 3.14 4 9.14  
13 小林 那奈 6.29 5 9.29 大妻OG
14 渡辺 孝生 6.48 5 9.48 明大高2
15 武富 美愛 6.51 5 9.51 大妻高1
16 斉田 麻子 6.52 5 9.52 大妻高1
17 天野直人 3.53 4 9.53 マイクパフォーマー
18 高橋 奈々恵 6.53 5 9.53 大妻高1
19 小松 大介 3.59 5 9.59  
20 諌山浩士 5.30 4 11.30 名の知れたバレボーラー
21 稲田幸代 5.45 5 11.45 峡南2年
28 大道あかり 4.04 3 13.04 2017年チャンピオン
32 井村智子 5.25 3 14.25 過去優勝
34 中川 清 5.44 3 14.44 時間の番人
46 近藤直美 3.03 1 18.03 過去優勝
47 鶴岡寛 6.05 2 18.05 石友
64 高野 健太 7.26 0 25.26 明大高2

     ・ 大妻女子高生に代わり、一般男女が1位から3位を奪還
     ・ 私は34位で、参加64名の中ほどだ。
     ・ 過去に優勝した井村さんが私の2つ上、近藤さんは14番も下で、”信じられない”(世代交代か?)
     ・ 石友の中では、鶴岡さんが47位と振るわなかった。
     ・ 17位の天野さんが決勝進出を辞退したので、21位までが決勝に進出した。

部門 男女一般
(決勝)
競技の砂金数 10
順位  氏   名 時  間
(分.秒 1/100秒)
採集した砂金数 総合成績
(分.秒 1/100秒)
   備    考
1 阪本雅和 9.0900 10 9.0900
2 岩井一泰 12.2900 9 15.2900 ギニア
3 木村伸之 12.4600 9 15.4600 時々 入賞
4 鈴木 真子 13.0900 8 19.0900 大妻高2
5 中澤 明日香  9.3000 5 24.3000 大妻高1

     ・ スチールパンと多量の黄鉄鉱は難物で、”パーフェクト”は阪本氏だけだった。
     ・ パーフェクトでかつ時間が2位より3分以上速い阪本さんの優勝だ。
       仮に、阪本さんが1つ取りこぼしていても優勝できたタイムだ。

部門 マイパンニング皿 競技の砂金数 7
順位  氏   名 時  間
(分.秒 1/100秒)
採集した砂金数 総合成績
(分.秒 1/100秒)
   備    考
1 井村智子 3.29 7 3.29 自作
2 若月章弘 5.31 7 5.31  
3 田村夏暉 4.10 6 7.10  

     ・ 男女一般の部では振るわなかった井村さんだが、”自作”の皿で見事トップ

部門 フラットパン 競技の砂金数 12
順位  氏   名 時  間
(分.秒 1/100秒)
採集した砂金数 総合成績
(分.秒 1/100秒)
   備    考
1 桑形和樹 4.00 12 4.00  
2 井村智子 4.15 12 4.15  
3 野村敏郎 3.31 11 6.31 殿堂入りチャンピオン

     ・ 殿堂入りチャンピオンの野村先生をおさえて、桑形さんが優勝。ここでも世代交代か?

部門 頂上決戦
(総合優勝決定)
競技の砂金数 18
順位  氏   名 時  間
(分.秒 1/100秒)
採集した砂金数 総合成績
(分.秒 1/100秒)
   備    考
1 阪本雅和 3.4200 15 12.4200  
2 富田 朱菜 3.2400 12 21.2400  

     ・ 総合優勝は男女一般を勝ち抜いた阪本さんだった。
     ・ 平たい砂金8ケ、球状砂金10ケ、合計18ケの”パーフェクト”は難しかったようだ。
     ・ 富田さんは時間は速かったが、砂金数の差で今年も準優勝だ。来年こそ!!

5. おわりに

 (1) 振り返って
      平成最後の砂金掘り大会は台風12号の影響で1日遅れて開催された。そのせいか、上位入賞している何人
     かの”常連”さんの姿を見ることができなかった。
      そんなこともあってか、今年は今まで上位に入らなかった”男女一般”の人たちが活躍したように見受けられた。
     過去優勝した人たちの成績が振るわなかったことから、「世代交代」と言えないこともない。

      私は2017年よりは大幅にアップし、中位の成績で終わった。競技者、そしてボランティアとして参加できるのを
     目標に頑張りたい。

 (2) 孫娘と「砂金掘り」
      お盆休みに千葉の小学校3年になる孫娘一家が帰省した。母親は仕事があって夜遅く来るというので、息子
     と孫娘とどう過ごすか思案していた。
      新聞の折り込みチラシを見ていた妻が、「住宅展示場で無料で土肥金山・砂金採り体験ができる」という。

      
                  「砂金採り体験」チラシ

      静岡県の有名な土肥金山の付属施設でやっているのと同じようにパンニング皿を砂を”シャカシャカ”して金を
     探そうというイベントだ。

      午後一番14時からのコースに申し込んで1時間ほど時間があったので、住宅展示場を見学した。実は、前の
     週に石友の葬儀で名古屋に行った時に会った奈良の石友・Yさんから、「終の棲家はどうするの」、と聞かれ、
     東京の家に戻るとしたら建て替え、少なくともリフォームは必要だと思い、下調べするつもりだった。
      1ケ所見たあと、孫娘の「スーパーボールすくい」に付き合っている間に、体験の時間になった。孫娘は係の人に
     手取り(足取り)して教えてもらい、パンニング皿で砂金を採集した。
      砂金とは言っても、金銀合金の粒を薄い円板状に潰した工業製品で、銀の比率が高いせいか”黄金色”より
     ”白銀色”に近い。そのため、比重も小さく、うっかりするとパンニング皿から流れ落ちてしまい砂金採りが初めての
     孫娘には難しかったようだ。

       
               パンニングする孫娘                  パンニング皿の中の砂金(5ケ)
                                                  【丸い円板状】

      ちなみに、20分の制限時間で採集した砂金の数は、次の通りだ。

      私(MH)    9個
      息子      4個
      妻       2個
      孫娘      2個

      何とか、”じぃじ”の面目を保つことができた。

6.参考文献

 1) 山田 賀一:金属鉱物の選鉱法,岩波書店,昭和8年
 2) 国立科学博物館、毎日新聞社編:金GOLD 黄金の国 展示図録
                         科学博物館、毎日新聞社,2009年
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