湯之奥金山博物館 - 2014年砂金掘り大会 -










              湯之奥金山博物館
            - 2014年砂金掘り大会 -

1. はじめに

    2013年6月、山梨県身延町(旧下部町)にある湯之奥金山博物館から送られてきた会報で、今
   年も恒例の砂金掘り大会が開催されると知った。ここ数年、単身赴任先でバタバタしていることが
   多<、直前に小松学芸員からの確認メールで慌てて申し込む醜態を演じていた。今年は、地元に
   帰ってユッタリ(ノンビリ?)した日々を送っているので早めに申し込んでおいた。同時に、ボランテ
   ィアとして競技結果の集計をお手伝いできることも伝えておいた。

    湯之奥金山博物館では、年間を通して、いろいろな催しを企画していて好評だ。夏休みに開催
   する行事の1つに、2001年に始まり、今年で13回目を迎えた「砂金掘り大会」がある。

      
               開会式を待つ参加者
                 【NHKも取材中】

    2014年から、前年まで1日で開催していた一般の砂金掘り大会と高校生対抗を2日に分けて開
   催することにしたので、一般の砂金掘り大会参加者は減るだろうと予想したのだが、減るどころか
   200名近くになり、過去最高だ。どうやら、高校生たちは前日に大会の雰囲気を経験し、本番に臨
   もうということらしく、一校がそうするとなると、他校もそれにならったようだ。
    ( 関西地区から参加する高校生は当然宿泊することになり、この大会は地元経済にも貢献して
     いるはずだ。)

    大会の週初めに、仕事のある三男を置いて、お嫁さんと孫娘が一足先に帰省していた。毎日の
   ように私の案内でアチコチ遊び歩いていたが大会前日は私が事前準備・確認で湯之奥金山博物
   館に行くため、妻が勤めを休んで対応することになった。当然、妻は仕事よりも孫娘と一緒のほう
   が数段楽しかったらしい。

    参加者名簿をもとに、競技結果の集計シートに参加者名前などをコピペして、事前準備は1時間
   足らずで終了した。例年、直前になって、追加や変更があるのは”合点承知之助”だ。

    「砂金掘り大会」は、世界大会も開催されるほどで、外国では人気の高い趣味(スポーツ?)だ。
   湯之奥金山博物館の小松学芸員は、国際大会で世界チャンピオンになっている事からも解るよ
   うに、湯之奥金山博物館主催のこの大会のレベルは高い。

    私は、博物館応援団の団員でもあり、ボランティア+競技者として第3回から欠かさず参加して
   いる。今年も、PCを使った競技結果の記録・集計と順位決定のボランティアとベテランの部の競技
   者として参加した。
   ( 参加費用 500円、小中学生 300円 )

    今回も、小松学芸員の”意地悪”(本人の性格ではないことをお断りしておく)なたくらみで、小石
   と多量の砂鉄を含んだ土砂の中から、スチールパンで砂金をパンニングするのには苦戦を強いら
   れた。
    孫娘一家の声援を受けながら競技した私の成績は、ベテランの部・参加30名中22位で、2013年
   より6ランクダウンし、入賞にはほど遠く、『 実戦のMineralhunters 』 としては、これが実力だろう。

    孫一家を含め楽しい1日を過ごさせて頂き、谷口館長、小松学芸員はじめ湯之奥金山博物館の
   関係者に深く感謝している。
   ( 2014年7月体験 )

2. 「砂金掘り大会」のルール

    砂金掘り大会は、主催者が砂の中に隠した砂金を、”早く”しかも”見逃しなく、正確に”パン
   ニングする技を競う。
    湯之奥金山博物館の砂金掘り大会のルールは、基本的に「国際ルール」に従い、第14回は、
   次の通りである。

    (1) 種目
 部  門
(参加資格)
砂の量
  (kg)
制限時間
  (分)
使用するパンニング皿
ジュニア
(小学生〜中学生)
6 10 規格以内ならマイパンも可能
パンニング皿のない人には
貸出する。
規格サイズ:40×40×15センチ以内
男女初心者
(高校生以上の男女)
10 10
ベテラン
(過去の入賞者または一般)
16 15 博物館で準備した皿
(スチールパン)を全員使用

    (2) 砂金の数:競技終了まで秘密(部門別に違うことがあり、今回は下表の通り)
    (3) 順位の決め方:
      @ 館長の「3、2、1、ピー!」という笛の合図から、競技者が砂金回収ビンにフタを
        して手を挙げ、終了を宣言するまでの時間(分)
         + (見逃し砂金数×3分) の合計時間が短いほうが上位

      【例】

       Aさん:9分で全部見つけた   総合タイム=9分 +(0×3)= 9分
            (見逃し 0ケ)
       Bさん:7分で1ケ見逃した    総合タイム=7分 +(1×3)= 10分

       この場合、総合タイムが短い、Aさんが上位になる。

       実際の競技では、下の競技結果からもわかるように、秒単位の争いになることも
      あるため、1/100秒まで記録している。

      A 制限時間内(10分もしくは15分)で終了しなかった人は、” Time Over ” で、
        最下位。

3. 『 第14回 砂金掘り大会 −2014− 』

 (1) 模範演技とルール説明
      競技開始に先立ち、博物館応援団団員2名による模範演技を通して、小松学芸員から競技
     ルールの説明があった。”ボケ”と”突っ込み”漫才コンビのような2人の演技では、「こぼした
     砂を拾う」、「落とした砂金粒をビンに入れる」、「船の中の砂をもう一度パンニングする」などの
     違反行為を次々と演じてくれ、特に初めて参加する人には判り易かったのではないだろうか。
      2011年から、「電光掲示板」が導入され、競技の残り時間が一目でわかるようになり、ペース
     配分に役立つようになった。
      ( もっとも、競技者の脇でタイムを計測する”タイム・キーパー”が経過時間や残り時間を教え
       てくれるので、「電光掲示板」振り返って見る必要はなかった。私に限っては、「電光掲示
       板」を見る余裕はなかった、というのが正確かもしれない。 )

         
             模範演技とルール説明                   「電光掲示板」

 (2) 競技風景

    私は、今回もテントの中の「集計」席で、競技者別にタイムと採取した砂金の数をPCのEXCEL
   シートに入力し、総合タイムの短い順にソート(並べ替え)して”仮の順位”を出し、印刷し、速報と
   して掲示板に貼り出すのをお手伝いさせていただいた。
    前年までは、データをUSBメモリーに入れ、小走りで事務室に行き印刷していたので、往復の時
   間が馬鹿にならず次の競技のスタートを待ってもらうシーンもあった。
    2014年から、小松学芸員のほうで、PCとプリンターを準備していただいたが、悪名高い(?)
   Windows8.Xで、私には使いこなせず、結局持参した使い慣れたマイPCとプリンターで対応させて
   いただいた。

       
                集計作業                   競技結果の掲示

 (3) ベテランの部
      私が出場したベテランの部は、全員が”リッフル”と呼ぶ砂金流失防止の突起がない”ツルツ
     ル”のスチールパン”を使用する。
      バケツに入った砂の中に、最大ピンポン玉大の「小石」と「砂鉄」をタンマリ混入してあり、パ
     ンニングの終盤になると皿の底に真っ黒い砂鉄が溜まり、その中から砂金粒を洗い出すのは
     容易ではない。
      おまけに、砂金粒には、丸い球状のと平べったい扁平なものの2種類が一定数ずつ混入して
     あるという念の入れようだ。

         
                パンニング終盤                     2種類の砂金粒
               【苦戦するMH!!】
                             競技風景【ベテランの部】

4. 競技結果

    各部門の上位入賞者と私の記録を、湯之奥金山博物館のHPから引用させていただいた。

部門 順位   時間
 (分.秒)
採集砂金数 総合成績
 (分.秒)
ジュニア 1 3.5143 8 3.5143
競技の砂金数 2 4.0437 8 4.0437
8 3 4.4824 8 4.4824
部門 順位   時間
 (分.秒)
採集砂金数 総合成績
 (分.秒)
男女初心者 1 4.0885 7 4.0885
競技の砂金数 2 4.2766 7 4.2766
7 3 4.1823 6 7.1823
部門 順位   時間
 (分.秒)
採集砂金数 総合成績
 (分.秒)
備  考
ベテラン 合計
競技の砂金数 1 9.4229 8 6 14 9.4229   
  平8 2 8.4631 7 6 13 11.4631   
  丸6 3 6.4230 6 5 11 15.4230   
合計14 22 7.4644 4 2 6 31.4644 Mineralhunters

    最近砂金掘りに”はまって”いる千葉の石友・Aさんが男女初心者の部に初めて参加した。砂金
   掘りを始めて1年足らずだが、ナゲット級を採集し、恒例のミネラル・ウオッチングのオークションに
   出品してくれるほどの腕前のAさんだが、参加63名中34位と、実戦と競技の違いに戸惑ったようだ。

5. おわりに

 (1) 上位入賞の条件
      上の表を眺めてみると、上位入賞の条件が浮き彫りになる。

      @ 『パーフェクト』
          2014年も、ジュニアの部と男女初心者の部の入賞者6名中5名が”見逃した砂金数ゼロ”
         の『パーフェクト』達成者で、6名全員が『パーフェクト』の年も珍しくない。
          1個見逃しごとに3分のペナルティはやはり痛いのだ。

      A 『スピード時代』 ?
          ジュニアの部と男女初心者の部は、3分〜5分台と制限時間の1/2〜1/3でないと上位
         入賞は難しいようで、その意味ではスピードだ。

          ただ、ベテランの部は、2011年以降、土砂の量が多い上に、混ぜられた砂鉄と小石の
         量も半端でなく、皆さんの作戦も変わってきているようだ。
          優勝者、2位の人とも、競技時間は私より長いのだ。いずれにしても、総合成績で15分
         を切らないとだめだ。

 (2) ”Mineral Hunters” の課題と改善結果
      @ データ印刷のスピードアップ
          持参したマイPCとマイプリンターを使い、集計印刷が例年になくスピーディにそして楽
         にできた。どうやら一番知恵を使わないこのやり方が良いようだ。

      A 成績アップ!!
         第3回からこの大会に参加しているが、最高位はたしか4位で、一度も入賞していない。
        「参加する事に意義がある」のも確かだが、入賞は夢だ。
         少しでも、入賞の機会を増やすため、私が70歳になったら、『シニアの部』を新設してくれ
        るよう、小松学芸員に持ちかけてみようか、と真顔で考えている。

         冗談はさておき、ベテランの部の上位入賞者の優勝者のパンニングを見ていた実況中
        継者であり夫でもあるKさんが、(優勝者=奥さんは)丁寧だよナ、と言っていたのが参
        考になりそうだ。

 (3) いろいろな楽しみ
      2013年からだったか、湯之奥金山博物館に足湯が設置された。博物館が武田信玄公の隠
     し湯とされる下部温泉にあるので、そのお湯を引いているようだ。応援の合間に、女性陣は
     足湯につかり、”まったり”しているのはいつものことだ。
      また、2014年から博物館の”ゆるキャラ”のきぐるみ『もーん父さん』が登場した。名前の由来
     は、”わいいもーん”からで、七三ヘアがチャームポイントらしい。この姿を見かけた孫娘にせが
     まれ、並んで記念写真を撮ってあげる”爺馬鹿”であった。
      こうして孫娘も退屈することなく、砂金掘り大会を楽しんだようだ。

         
             足湯でまったり             もーん父さんと孫娘

 (4) 夏休み
    1) 孫娘の夏休み
        仕事のある三男は金曜日の夜に来て日曜日に帰ったが、嫁さんと孫娘は10日近く逗留
       した上に、8月のお盆休みも来る約束をして先週半ばに帰って行った。
        孫娘が来るとすぐに、嫁さん、孫娘を交えて、滞在する間の予定表と『孫娘の一日の予定
       表』を作成した。私の田舎では、”婆さん子は(甘やかされて育つので)三文安い”、と言わ
       れないための”爺馬鹿”なりの教育方針だ。

         
             夏休み予定表                 一日の予定表

        朝起きるとすぐに町内会のラジオ体操だ。私がこどものころのように夏休み中通してやる
       のではなく、この地区では夏休みに入った7/20から7/31までやるようだ。初日に行ってみ
       ると、こどもは数えるほどしかいなくて、大半が町内会役員と私より年上の高齢者だ。
        久しぶりにラジオ体操をやってみて、感じたこと。

        ・体が硬くなっている。(前屈・後屈など曲がらない)
        ・ラジオ体操を忘れていて、思い出したころには最終日だった。(特にラジオ体操第2)

        ラジオ体操が終わると「出席カード」に判を押してもらうのは昔と同じだ。

           
                  ラジオ体操                  出席カードに押印

        そして最終日のラジオ体操が終わると役員から参加賞をいただいて、孫娘はニコニコして
       いた。

        
                出席カード

        家に帰ると朝食だ。畑で取ったばかりの野菜が並ぶ。孫娘は、トマトの”アイコ”が大好物
       で、10粒くらいを”ペロリ”と平らげてしまう。作った甲斐があろうというものだ。

        ピアノの勉強はその日の外出から帰ってきてからになることもある。自然が好きな孫娘の
       ために、”じぃじ”が選んでおいた丸秘遊び場は次のような場所だ。写真を見ていただけれ
       はお分かりのように、平日ということもあり、人影もまばらな場所だ。

        ・笛吹川フルーツ公園
        ・山梨県立フラワーセンター ハイジの村
        ・双葉水辺公園
        ・清里「ロック」と「清泉寮」
        ・○○で国蝶「オオムラサキ」と「カブトムシ」観察
 などなど

           
               フルーツ公園                 ハイジの村
              【Kidnapper!?】

        
               双葉水辺公園

        夕食を終え、日が暮れると花火だ。この後、お風呂に入り、髪を乾かし、じぃじとばぁばの
       間でおやすみだ。

        
               ばぁばと花火

    2) 暑中見舞い
        「2014年の夏はエルニーニョ現象で冷夏になる」、という予想が見事に外れ、連日猛暑が
       続いている。
        ある日、郵便受けをのぞくと四角い箱が入った封筒があった。封を切って開けると、『鹿児
       島県大和鉱山産原田石』
で、送り主は、三重県の石友・O兄だった。

        
               O兄恵与の『原田石』
        当地の名産品を贈ったお返しとして送ってくれたそうで、”海老で鯛”ならぬ”みみずで鯛”
       を釣ったようなもので、恐縮している。

        未だ持っていないし、『ミネラル・ウオッチングで南極に行くことはあっても鹿児島県奄美
       大島に行くことはない』
のだから、貴重な標本だ。

6.参考文献

 1) 山田 賀一:金属鉱物の選鉱法,岩波書店,昭和8年
 2) 宮島 宏:日本の新鉱物 1934-2000 ,フォッサマグナミュージアム,2001年
 3) 松原 聰、宮脇 律郎編、日本産鉱物型録,東海大学出版会,2006年
 4) 国立科学博物館、毎日新聞社編:金GOLD 黄金の国 展示図録
                         科学博物館、毎日新聞社,2009年
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