湯之奥金山博物館では、年間を通して、いろいろな催しを企画していて好評だ。夏休み
に開催する行事の1つに、2001年に始まり、今年で13回目を迎えた「砂金掘り大会」があ
る。
「砂金掘り大会」は、世界大会も開催されるほどで、外国では人気の高い趣味(スポー
ツ?)だ。
湯之奥金山博物館の小松学芸員は、国際大会で世界チャンピオンになっている事から
も解るように、湯之奥金山博物館主催のこの大会のレベルは高い。
私は、博物館応援団の団員でもあり、ボランティア+競技者として第3回から欠かさず参
加している。今年も、PCを使った競技結果の記録・集計と順位決定のボランティアとベテラ
ンの部の競技者として参加した。
( 参加費用 500円、小中学生 300円 )
今回も、小松学芸員の”意地悪”(本人の性格ではないことをお断りしておく)なたくらみ
で、小石と多量の砂鉄を含んだ土砂の中から、スチールパンで砂金をパンニングするの
には苦戦を強いられた。
私の成績は、ベテランの部・参加34名中16位で、2012年より12ランクアップしたが、入賞
にはほど遠く、『 実戦のMineralhunters 』 としては、これが実力だろう。
午後からは、「東西中高交流砂金掘り大会」があり、見学させていただき、競技結果の
集計などにPCを応用できないか、検討させてもらった。いくつかアイディアが浮かんだので、
”鬼が笑う”かもしれないが、来年の大会に反映できれば、と準備するつもりだ。
この日の正午過ぎ、博物館に隣接する下部温泉街で温泉旅館数軒が全半焼する火災
があり、消防車や防災ヘリがけたたましいサイレンや爆音を轟かせて行き交っていたが、
それをかき消すような中高生の声援が飛び交い、”若さ”に圧倒される思いだった。
楽しい1日を過ごさせて頂き、谷口館長、小松学芸員はじめ湯之奥金山博物館の関係
者に深く感謝している。
( 2013年8月体験 )
(1) 種目
部 門 (参加資格) | 砂の量 (kg) | 制限時間 (分) | 使用するパンニング皿 | ジュニア (小学生〜中学生) | 6 | 10 | 規格以内ならマイパンも可能 パンニング皿のない人には 貸出する。 規格サイズ:40×40×15センチ以内 |
男女初心者 (高校生以上の男女) | 10 | 10 | ベテラン (過去の入賞者または一般) | 16 | 15 | 博物館で準備した皿 (スチールパン)を全員使用 |
(2) 砂金の数:競技終了まで秘密(部門別に違うことがあり、今回は下表の通り)
(3) 順位の決め方:
@ 館長の「3、2、1、ピー!」という笛の合図から、競技者が砂金回収ビンにフタを
して手を挙げ、終了を宣言するまでの時間(分)
+ (見逃し砂金数×3分) の合計時間が短いほうが上位
【例】
Aさん:9分で全部見つけた 総合タイム=9分 +(0×3)= 9分
(見逃し 0ケ)
Bさん:7分で1ケ見逃した 総合タイム=7分 +(1×3)= 10分
この場合、総合タイムが短い、Aさんが上位になる。
実際の競技では、下の競技結果からもわかるように、秒単位の争いになることも
あるため、1/100秒まで記録している。
A 制限時間内(10分もしくは15分)で終了しなかった人は、” Time Over ” で、
最下位。
(2) 競技風景
しかし、何回かに1回、大きな水槽に溜まった砂を取り除く水の入れ替えがあり、この時
だけは”ホッ”と一息つけ、競技者の写真を撮る余裕が生まれる。
(3) ベテランの部
私が出場したベテランの部は、全員が”リッフル”と呼ぶ砂金流失防止の突起がない
”ツルツル”のスチールパン”を使用する。
バケツに入った砂の中に、最大ピンポン玉大の「小石」と「砂鉄」をタンマリ混入して
あり、パンニングの終盤になると皿の底に真っ黒い砂鉄が溜まり、その中から砂金粒
を洗い出すのは容易ではない。
おまけに、砂金粒には、丸い球状のと平べったい扁平なものの2種類が一定数ずつ
混入してあるという念の入れようだ。
(4) 競技結果
各部門の上位入賞者と私の記録を、湯之奥金山博物館のHPから引用させていただ
いた。
順位 | ジュニアの部(砂金数:7ケ) | 初心者の部(砂金数:9ケ) | ベテランの部(砂金数:15ケ) | 時間(分) | 砂金数 | 総合 (分) | 時間(分) | 砂金数 | 総合 (分) | 時間(分) | 砂金数 | 総合 (分) |
1 | 3.5262 | 7 | 3.5262 | 5.5894 | 9 | 5.5894 | 7.4419 | 14 | 10.4419 | 2 | 4.0504 | 7 | 4.0504 | 4.2188 | 8 | 7.2188 | 13.2796 | 15 | 13.2796 | 3 | 5.4664 | 7 | 5.4664 | 7.4645 | 9 | 7.4645 | 8.1710 | 13 | 14.1710 | 16 MH | 14.2099 | 11 | 26.2099 |
東は、開成、山梨学院、大妻A、大妻B、慶応中等部、そして地元峡南高の6チーム、西は
灘、報徳学園の2チームだ。
(1) 団体戦
団体戦と言うよりは、「リレー」と言った方が判りやすいだろう。1チーム16名の2名が
同時にプレーし、終了すると次の競技者にバトンタッチする。@ チームの合計採取砂
金数 と A 競技時間 を競うものだ。
見逃した砂金数×3分のペナルティが総合タイムに加算され、持ち時間30分を超え
ても終了しないチームは最下位になるのは、「砂金掘り大会」と同じルールだ。
各競技者のバケツには、1〜4ケの砂金粒が入っているが、何ケ入っているかは不
明。ただ、1チームの合計数は40ケ。
総合成績が1位のチームは30点、2位27.5点と2.5点ずつ得点が減り、8位のチームは
12.5点になる。
さらに、競技時間を分単位で切り上げた時間が30分より短い分、1分に付き0.5点の
ボーナスポイント(B.P)が加算される仕組みだ。
団体戦の結果を下の表に示す。
総合タイム1位の灘は、得点30点、競技時間が24分09秒90なので、(30-25)×0.5
=2.5点のボーナス・ポイントを加え、32.5点が合計得点になる。
2位の峡南は、採取金粒合計は灘と同じ36粒だったが、得点27.5点。競技時間が
27分34秒35なので、(30-28)×0.5=1.0点のボーナス・ポイントを加え、合計得点が
28.5になり、1位の灘との差は4.0点だ。
(2) 個人戦
個人戦と言うよりは、柔剣道などの「団体戦」だ。「先鋒」、「次峰」、「中堅」、「副将」
そして「大将」の5グループが、順番に競技する。
同じランクの8名同時にスタートし、@ 採取砂金数 と A 競技時間 を競うのだ。
見逃した砂金数×3分のペナルティが総合タイムに加算され、持ち時間6分を超えて
も終了しない競技者は失格(最下位になる)するのは、「砂金掘り大会」と同じルール
だ。
砂金の数はランク別に違うことがあるようで、今回、「先鋒」は7粒、・・・・「大将」は
11粒だ。
総合タイムが一番短い競技者には12点、2番目には10点、3番目には9点、・・・・8番
目には4点が与えられる。
見逃しがなかった競技者には、ボーナス・ポイントとして1.0点が加算される。
個人戦の結果を下の表に示す。
1位が2回、B.Pが4回あった峡南が合計得点56点で1位、それを追う灘は1位が1回
B.Pが3回で合計得点48点で、差は8点、この時点で総合得点で逆転し、総合優勝は
地元峡南に決定だ。
(3) 総合成績
総合成績を下表に示す。
団体戦2位の峡南が、個人戦で逆転し、総合1位だ。「新人賞」と「MVP」は、小松学芸
員がパネルをにらんで、”パッ””パッ”と決まった。
@ 『パーフェクト』
ジュニアの部と男女初心者の部の入賞者6名中5名が”見逃した砂金数ゼロ”の
『パーフェクト』達成者で、6名全員が『パーフェクト』の年も珍しくない。
A 『スピード時代』 ?
ジュニアの部と男女初心者の部は、3分〜5分台と制限時間の1/2〜1/3でな
いと上位入賞は難しいようで、その意味ではスピードだ。
ただ、ベテランの部は、2011年以降、土砂の量が多い上に、混ぜられた砂鉄
と小石の量も半端でなく、皆さんの作戦も変わってきているようだ。
2013年は、13分以上かけても見逃しゼロの”パーフェクト”の人が2位に入賞
している。
戦略を練る上で参考になりそうだ。
(2) ”Mineral Hunters” の課題
@ データ印刷のスピードアップ
私がお手伝いしているのは、集計係が読み上げる競技者別のタイムと採取し
た砂金の数をPCのEXCELシートに入力し、総合タイムの短い順にソート(並べ
替え)して”仮の順位”を出し、そのデータをUSBメモリーに入れ、小走りで100m
ほど離れた事務室に別なPCにUSBメモリーに差しこみ、印刷したものを速報とし
て掲示板に貼り出すのだ。
今回の「砂金掘り大会」の参加者は、競技者が176名(ジュニア:34名、男女
初心者:86名、ベテラン:56名)、練習の中高生34名を合わせると210名と過去
最多だった。今後、さらに参加者が増える可能性が高い。
今回、印刷の為に事務所に行き、戻って見ると次の競技チームの集計が始ま
り、データー入力を他の人が代わってやっていくれていることも度々だった。
いつの日にか、私から次の人にこの作業を引き継ぐことになるのだから、これ
は、これで結構な事なのだが、1つの競技が終わるたびに事務所まで行って、
戻ってくるのはいかにも無駄だ。
1) 無線LANでデータを飛ばす。
これでも、印刷したものを取りに行くのは同じで、画期的とは思えない。
2) プリンターを脇に置く。
これだと、USBメモリーにデータを落したり、事務所まで往復する必要が
なく、一番無駄な移動時間がなくなり時間短縮に効果がありそうなので、
来年からマイ・プリンターも持参する予定だ。
A 「東西中高交流砂金掘り大会」 集計作業のIT化
例年、「午前中の砂金掘り大会」が終わると会場を後にし、早い時にはその夕方
単身赴任先に戻ることもあった。
今後、長期の単身赴任はないだろうと思い、午後の「東西中高交流砂金掘り大
会」のお手伝いをさせていただくため、何ができるか、小松学芸員と相談し競技を
見せていいただくことにした。
競技の結果をボードに手書きで書き込んで、暗算や電卓で計算しているが、
これらはPCでできそうだ。
そのためには、1) データーベース(学校別参加者名など)の事前準備
2) 競技ルールのアルゴリズム化 などが必要で、『試行版』を作成し、改善を加
え、来年度から適用できれば、と考えている。
B 成績アップ!!
第3回からこの大会に参加しているが、最高位はたしか4位で、一度も入賞して
いない。「参加する事に意義がある」のも確かだが、入賞は夢だ。
少しでも、入賞の機会を増やすため、私が70歳になったら、『シニアの部』を新設
してくれるよう、小松学芸員に持ちかけてみようか、と真顔で考えている。
冗談はさておき、ベテランの部の上位入賞者とMHの競技結果を縦軸に採取砂
金数、横軸に競技時間をプロットしてみた。
2013年 16位のMHが、今回のタイムのまま見逃しなしのパーフェクトにしても、
逆に今の見逃し数のまま競技時間を5分以下にしても総合タイムは入賞に必要な
総合タイム14分の壁は破れないのだ。
1) 最短距離は、私の記録(*)から総合タイム14分の直線に垂線を下ろした
「案1」で、これだと競技時間を2分余短縮すればよいのだが、”パーフェクト”
を達成しなければならずハードルが高い。
2) 見逃しを2ケにした場合、「案3」のように7分台を狙わなければならず、
これまた、厳しい。
3) 結局、「案2」の見逃し1ケで、10分台前半を狙うのが一番だろう。
今回、砂金粒は球状6ケ、偏平状9ケ、合計15ケ入っていて、私は球状2ケ、
偏平状9ケ、合計11ケを採取した。
偏平状は”見逃しがゼロ”で、球状だけを4ケ見逃していたので、球状砂金の
見逃し対策がキーポイントになりそうだ。