湯之奥金山博物館 - 2012年砂金掘り大会 -










              湯之奥金山博物館
            - 2012年砂金掘り大会 -

1. 初めに

    2012年7月、山梨県身延町(旧下部町)にある湯之奥金山博物館からメールをいただいた。
   砂金掘り大会の案内だった。早速、「1名参加!!」で申し込んだ。

    湯之奥金山博物館では、年間を通して、いろいろな催しを企画していて好評だ。夏休みに開
   催する行事の1つに、2001年に始まり、今年で12回目を迎えた「砂金掘り大会」がある。

     嵐(競技)の前の静かな会場

    「砂金掘り大会」は、世界大会も開催されるほどで、外国では人気の高い趣味(スポーツ?)
   だ。湯之奥金山博物館の小松学芸員は、国際大会で世界チャンピオンになっている事から
   も解るように、湯之奥金山博物館主催のこの大会のレベルは高い。

    私は、博物館応援団の団員でもあり、ボランティア+競技者として第3回から欠かさず参加して
   いる。今年も、PCを使った競技結果の記録・集計と順位決定のボランティアとベテランの部の競
   技者として参加した。
   ( 参加費用 500円、小中学生 300円 )

    私の成績は、ベテランの部・参加37名中28位で、2011年より6つもランクダウンしたが、
   『 実戦のMineralhunters 』 としては、これが実力だろう。

    今回も、小松学芸員の”意地悪”(本人の性格ではないことをお断りしておく)なたくらみで
   小石と多量の砂鉄を含んだ土砂の中から、スチールパンで砂金をパンニングするのには苦戦を
   強いられた。
    それでも、楽しい1日を過ごさせて頂き、谷口館長、小松学芸員はじめ湯之奥金山博物館の
   関係者に深く感謝している。
   ( 2012年8月体験 )

2. 「砂金掘り大会」のルール

    砂金掘り大会は、主催者が砂の中に隠した砂金を、”早く”しかも”見逃しなく、正確に”パン
   ニングする技を競う。
    湯之奥金山博物館の砂金掘り大会のルールは、基本的に「国際ルール」に従い、今回、ベテ
   ランの部は、次の通りである。

    (1) 砂の量:16kg( ジュニアは6kg、男女初心者は10kg )
    (2) 砂金の数:競技終了まで秘密(部門別に違うことがあり、今回は下表の通り)
    (3) 制限時間:15分( ジュニア、男女初心者は10分 )
    (4) 順位の決め方:
      @ 館長の「3、2、1、ピー!」という笛の合図から、競技者が砂金回収ビンにフタをして手を
        挙げ終了を宣言するまでの時間
         + (見落とし砂金数×3分) の合計時間が短いほうが上位

      【例】
       Aさん:9分で全部見つけた(見落とし0ケ)=9分 +(0×3)= 9分
       Bさん:7分で1ケ見落とした=7分 +(1×3)= 10分
       この場合、Aさんが、上位になる。
       実際の競技では、下の競技結果からもわかるように、秒単位の争いになることも
      あるため、1/100秒まで記録している。

      A制限時間内(10分もしくは15分)で終了しなかった人は、”Time Over"として最下位。
    (5)競技部門:ジュニア(小中学生)、男女初心者、男女ベテランの3部門
    (6)パンニング皿:口径40cm以下であれば、マイ・パンの持込可能(ジュニア、初心者)
                ベテラン部門は、館で準備したスチール・パンを全員使用(2009年から)

    競技開始に先立ち、博物館応援団の団員による模範演技を通して、小松学芸員から競技ルー
   ルの説明があった。
    2011年から、「電光掲示板」が導入され、競技の残り時間が一目でわかるようになり、ペース
   配分に役立つようになった。

       
             模範演技                   「電光掲示板」

3. 競技風景

    今回も競技場近くのテントの中で、競技結果のタイムと採集した砂金の数をPCのEXCELシート
   に入力し、総合タイムの短い順にソート(並べ替え)して”仮の順位”を出し、そのデータをUSBメ
   モリーに入れ、小走りで事務室に行き印刷したものを速報として掲示板に発表するのに追われ
   ていた。

     競技結果に見いる参加者

    しかし、何回かに1回、大きな水槽に溜まった砂を取り除く水の入れ替えがあり、この時は
   ”ホッ”と一息つけ、競技者の写真を撮る余裕が生まれる。

       
            イメ・トレ?                     ジュニアの部
                           競技風景

4. 競技結果

    各部門の上位入賞者と私の記録を、湯之奥金山博物館のHPから引用させていただく。

順位   ジュニアの部(砂金数:6ケ)   初心者の部(砂金数:9ケ)   ベテランの部(砂金数:13ケ)
時間(分) 砂金数 総合
(分)
時間(分) 砂金数 総合
(分)
時間(分) 砂金数 総合
(分)
1 4.3523 7 4.3523 5.2130 9 5.2130 5.2642 12 8.2642
2 5.1525 7 5.1525 6.0178 9 6.0178 8.3627 12 11.3627
3 6.4637 7 6.4637 6.0463 9 6.0463 12.1646 13 12.1646
28
MH
 13.3295 828.3295

    初心者の部では、2位と3位の差は3秒足らずで、時には1/100秒単位の争いになることもある。

5. おわりに

 (1) 上位入賞の条件
      上の表を眺めてみると、上位入賞の条件が浮き彫りになる。

      @ 『パーフェクト』
          ジュニアの部と男女初心者の部の入賞者、6名全員が”見落とした砂金ゼロ”『パーフェクト』達成者で
         占められている。
          1ケ見落とすごとに、3分のペナルティが加算され、私のように、5ケも見落とすと5×3
         =15分のペナルティが加算され、入賞は絶望的だ。

      A 『スピード時代』に突入
          ベテラン部門の上位入賞者は、砂の量が多く、しかも”リッフル”と呼ぶ砂金流失防止
         の突起がない”スチールパン”が導入されので、2009年は8分、9分掛けて”ジックリ”
         パンニングしても見逃しがなければ上位入賞できたが、2010年は、3分台から4分台で
         ないと上位入賞が難しい、『スピード時代』に突入していた。

          しかし、2011年のベテランの部は、土砂の量が多かったのと混ぜられた砂鉄の量も
         半端でなく皆さん慎重にパンニングしたようだ。
          しかし、2012年、5分台、6分台の人が上位入賞している。やはり、スピードのようだ。

          この傾向は、ジュニア、初心者の部に顕著なようで、この大会が『世界レベル』
         なっていることの証だろう。

6.参考文献

 1) 山田 賀一:金属鉱物の選鉱法,岩波書店,昭和8年
 2) 国立科学博物館、毎日新聞社編:金GOLD 黄金の国 展示図録
                         科学博物館、毎日新聞社,2009年
inserted by FC2 system