湯之奥金山博物館 - 2010年砂金掘り大会 -










            湯之奥金山博物館
          - 2010年砂金掘り大会 -

1. 初めに

    山梨県身延町(旧下部町)にある湯之奥金山博物館では、年間を通して、いろいろな催し
   を企画していて好評だ。
    夏休みに開催される行事の1つに、2001年に始まり、今年で10回目の節目を迎えた「砂金
   掘り大会」がある。

     嵐(競技)の前の静かな会場

    「砂金掘り大会」は、世界大会も開催されるほどで、外国では人気の高い趣味(スポーツ?)
   だ。湯之奥金山博物館の小松学芸員は、国際大会で世界チャンピオンになっている事から
   も解るように、湯之奥金山博物館主催のこの大会のレベルは高い。

    私は、博物館応援団の団員でもあり、ボランティア+競技者として第3回から欠かさず参
   加している。今年も、PCを使った競技結果の記録、順位の集計のボランティアとベテランの
   部の競技者として参加した。
   ( 参加費用 500円、小中学生 300円 )

    この大会には、神奈川のK夫妻など、多くの石友も参加していて、暑中お伺いの顔合わせ
   そして”情報交換”の場にもなっている。

    私の成績は、ベテランの部・参加33名中12位で、2009年より7つランクアップしたが、
   『 実戦のMineralhunters 』 としては、これが実力だろう。

    今回も、石友・Kさんの奥さんが男女初心者の部で『準優勝』するなど、女性の躍進が目覚
   ましかった。
    また、この日は、早朝から、NHKの『おはよう日本』の生中継があり、例年よりも、あわただ
   しい1日だった。それでも、楽しい1日を過ごさせて頂き、谷口館長、小松学芸員はじめ湯之
   奥金山博物館の関係者に深く感謝している。
   ( 2010年8月体験 )

2. 「砂金掘り大会」のルール

    砂金掘り大会は、主催者が砂の中に隠した砂金を、”早く”しかも”見逃しなく、正確に”
   パンニングする技を競う。
    湯之奥金山博物館の砂金掘り大会のルールは、基本的に「国際ルール」に従い、今回、
   ベテランの部は、次の通りである。

    (1) 砂の量:12kg( ジュニアは6kg、男女初心者は10kg )
    (2) 砂金の数:競技終了まで秘密(部門別に違うことがあり、今回は下表の通り)
    (3) 制限時間:10分
    (4) 順位の決め方:
      @ 館長の「ピー」という笛の合図から、競技者が砂金回収ビンにフタをして終了を宣言
        するまでの時間
         + (見落とし砂金数×3分)
        の合計時間が短いほうが上位

      【例】
       Aさん:9分で全部見つけた(見落とし0ケ)=9分 +(0×3)= 9分
       Bさん:7分で1ケ見落とした=7分 +(1×3)= 10分
       この場合、Aさんが、上位になる。

      A制限時間内(10分)で終了しなかった人は、最下位。
    (5)競技部門:ジュニア(小中学生)、男女初心者、男女ベテランの3部門
    (6)パンニング皿:口径40cm以下であれば、マイ・パンの持込可能(ジュニア、初心者)
                ベテラン部門は、全員館で準備したスチール・パン(2009年、2010年)

    競技開始に先立ち、博物館友の会会員による模範演技を通して、小松学芸員から競技
   ルールの補足説明があった。

3. 競技風景

    今回、競技結果をPCで集計し、印刷したものを速報として”仮の順位”を掲示板に発表する
   のに追われ、競技中の石友の写真を撮る余裕が全くなかった。
    この日、NHKの『おはよう日本』の生中継の模様を競技風景の代りにお知らせします。

     NHK中継(リハーサル)

4. 競技結果

    各部門の上位入賞者の記録を、湯之奥金山博物館のHPから引用させていただく。

順位   ジュニアの部(砂金数:5ケ)   初心者の部(砂金数:6ケ)   ベテランの部(砂金数:10ケ)
時間(分) 砂金数 総合
(分)
時間(分) 砂金数 総合
(分)
時間(分) 砂金数 総合
(分)
1 3.1410 5 3.1410 4.5587 6 4.5587 4.3480 10 4.3480
2 4.4692 5 4.4692 5.0615 6 5.0615 5.3342 10 5.3342
3 4.5622 5 4.5622 5.3190 6 5.3190 8.2353 10 8.2353
12
MH
 4.2059 713.2059

    男女初心者の部では、石友・Kさんの奥さんが、みごと準優勝を獲得するなど、女性陣が
   相変わらず元気だ。

      表彰台のKさんの奥さん【左端】

5. おわりに

 (1) 上位入賞の条件
      上の表を眺めてみると、上位入賞の条件が浮き彫りになる。

      @ 『パーフェクト』
          各クラスの1位〜3位は、全員が”見落とした砂金ゼロ”『パーフェクト』達成者で
         占められている。
          1ケ見落とすごとに、3分のペナルティが加算され、私のように、3ケ見落とすと9分
         のペナルティが加算され、入賞は絶望的だ。

      A 『スピード時代』に突入
          ベテラン部門の上位入賞者は、砂の量が多く、しかも”リッフル”と呼ぶ砂金流失
         防止の突起がない”スチールパン”が導入されので、2009年は8分、9分掛けて
         ”ジックリ”パンニングしても上位入賞できたが、2010年は、3分台から4分台でな
         いと上位入賞が難しい、『スピード時代』に突入したようだ。
          この傾向は、ジュニア、初心者の部に顕著なようで、この大会が『世界レベル』
         なっていることの証だろう。

 (2) 2010年の”仕掛け”
      毎年、ベテランの部には、小松学芸員の”仕掛け”が潜んでいる。2009年から始まった
     ”ツルツル”のスチール・パンもその1つだ。
      競技が始まって、パンニング皿の底に砂金が何粒か見え始めて驚いた。いつもの競技
     用の”葉片状”の砂金と小さな”粒状”の2種類が混じっているのだ。最初、小さな粒は、
     何かの手違いで『混入』したものだろうと思い、捨てようかと思った。それにしては数が多
     い。小さくても、1粒は1粒と思い直し、小瓶に回収した。
      競技が終わった後で聞くと、これが今年の”仕掛け”だった。

      2011年は、どのような難問が待っているのか、今から楽しみだ。

6.参考文献

 1) 国立科学博物館、毎日新聞社編:金GOLD 黄金の国 展示図録
                         科学博物館、毎日新聞社,2009年
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