博物館の常設展示として、秩父鉱山のコーナがあり、「ひも状自然金」はじめ、「車骨鉱」
「ブーランジェ鉱」など秩父鉱山ならではの標本が展示してある。
2005年10月、約3年ぶりに訪れると、「石の用と美」という特別展を開催していたので
入館し、11月にも確認したいことがあり再訪した。今回は、展示図録も販売していたので
購入した。
特別展は、12月4日(日曜日)まで開催しています。
開館時間:9:00〜16:30(入館は、16:00まで)
入館料 :大人100円、学生・高校生50円、65歳以上・中学生以下無料
休館日 :月曜日(祝日・振替休日の場合開館)
祝日・振替休日の翌日(土曜、日曜の場合開館)
( 2005年10月訪問、2005年11月再訪 )
3.1 常設展示
入口正面には、「秩父ヒスイ」の大きな塊が展示してあり、このところ”ひすい”づいている
私たち夫婦の眼を否が応でも惹きつけます。
常設展示には、生物展示と地学展示があり、地学関係は、鉱物、岩石、地層、化石が
年代の古いほうから新しい方へと順に並べられ、埼玉県の3億年の地質年代を概観できる
仕組みになっている。
特に、鉱物関係では、坑道を模した秩父鉱山の展示コーナがあり、ここで産出した
代表的な鉱物標本を見ることができる。
秩 父 鉱 山 産 の 鉱 物 |
鉱物名 | 化学式 | 説 明 | 観 察 品 | 備 考 | 自然金 (Native Gold) | Au | 紐(ひも)状で閃亜鉛鉱の 上に伸びる | 糸状で長いものは 10cmに及ぶ | ブーランジェ鉱 (Boulangerite) | Pb5Sb4S11 | 真っ黒い毛状 | 毛鉱との区別? | 車骨鉱 (Bournonite) | CuPbSbS3 | 方鉛鉱の結晶が 反復双晶をなし 車骨(歯車)状に見える | 藍銅鉱 (Azurite) | Cu3[(OH)2|CO3 | 群青色の粒状 | 鉄斧石 (Ferroxinite) | Ca2(Fe'',Mn'') Al2B[OH|O| (Si2O7)2] | 結晶の形が ”斧”の刃に似る |
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このほか、「硫砒鉄鉱」をはじめとする硫化鉱物、「クリントン石(古いザンソフィル石の名前で
出ている)」「ベスブ石」などのスカルン鉱物、そして「白鉛鉱」などの2次鉱物も展示されており
秩父鉱山産の立派な標本を見ることができる。
3.2 随時展示
入口正面には、” 大地の華 ”と題して、某氏の収集鉱物がシリーズで展示されています。
前回2005年10月に訪れた時には「魚眼石」、そして今回は、「秩父鉱山産方解石」が展示して
あり、このシリーズは続くようです。
@ 水晶
A 魚眼石
B 方解石 (〜2005年12月)
C 結晶形 (〜2006年年3月)
用(よう)・・・・・・・・・石という素材が、どのような”用途”に使われたのか
美(び)・・・・・・・・・・「ひすい」をはじめ装飾品として使われた石や「水石」のように山水風物詩の
世界に遊ぶ天然石など美的鑑賞の対象としての”石”
これら2つの面から埼玉県の大地を形作る岩石を中心に紹介しています。
4.1 石材利用の歴史
(1) 石と人間
人間が ”石” という素材を使い生活を便利なものにし、厳しい生活環境の中に潤いを
求めた足跡を概括してみよう。
時 期 | イ ベ ン ト | 備 考 | 約200万年前 | 最古の石器 礫の一端を打ち欠いた 打製石器の始まり "ハンドアックス(手斧)”出現 | 約1万年前 | 石の加工技術進歩 磨製石器出現 土器も出現 石や貝で身を飾る | AD5000年 | 金属器出現 石の採掘・加工が容易になる 以降、欧米などでは石材が建築や道路の主役となる |
(2) 埼玉県(日本)の石利用
日本の家屋を見た外国人が『 木と紙で出来ている 』 と言ったとの逸話が残されて
いますが、日本での石材の利用は、欧米と同じように石器、墓石などの石造物、建物の礎石
そして装身具として使われたが、建物そのものに使われたのは明治になって文明開化が
叫ばれた一時期だけだったようです。
時 期 | イ ベ ン ト | 備 考 | 縄文時代 | 和田峠産黒曜石などを使った打製石器 糸魚川産ヒスイを使った装飾品 | 弥生時代 | 磨製石器出現 | 古墳時代 | 古墳の石室材料として需要増 副葬品から装身具として石の利用がうかがわれる | 中世 | 寺院などの礎石や板碑・五輪塔など石造物 | 鎌倉末期〜南北朝時代 | 特定の石材が広範囲に流通 結晶片岩製の板碑が関東一円に広まる | 戦国〜江戸時代 | 城の石垣などに大量に使われる 庶民の間にも墓標を建てる風習広まる | 明治〜大正時代 | 西洋式近代建築の模倣で石造建築広まる コンクリート建築の普及に伴い 大規模に石灰岩、川砂、川砂利の採掘 | 昭和時代 | コンクリートの利用に伴い、山砂利採掘 輸入石材急増 | 平成時代 | 自然保護の高まりと 採石コスト上昇に伴い 採石場の閉鎖相次ぐ |
4.2 埼玉県の地質と石材
(1) 埼玉県の地質図と地質年代
埼玉県の地質図をみると、県の東と西で際立った対照をなしている事に気づきます。
西部は、秩父中・古生層、四万十帯と呼ばれる1億年〜3億5千万年前の堆積岩や
それらが約1億年前に変成作用を受けたと考えられる三波川帯、そして1億3千万年〜
6500万年前の白亜紀の堆積岩からなる山中地溝帯など、古生代〜中生代の岩石で
構成されており、”鉱物の宝庫”である。
一方、東部は、新生代の礫(れき)、泥、砂などが堆積した地層で、地学の対象は
化石がメインとなる。
もう1つの特徴は、「火成岩」が極めて少ないことで、群馬県、長野県そして山梨県との境
奥秩父地域の極めて狭い範囲に見られるだけです。
(2) 中・古生界
地質図 | 説 明 |
この当時の日本列島は大陸の東端で、海の深海底には放散虫などの遺骸が 降り積もり(チャート)、地球内部からマグマが噴出してくるホット・スポットでは 火山が成長し(緑色岩=玄武岩質火山岩類)、その周りには、珊瑚礁(石灰岩)が 発達していた。 これら海洋起源の物質が海洋プレートの移動に伴って大陸縁辺まで運ばれると 海溝に堆積した砂・泥などの陸源物質(砂岩、泥岩)と混じりあい、大陸側に押し付け られる。このようにして出来た地層が「付加体」で埼玉県にはジュラ紀に付加した 秩父帯と白亜紀〜新第三紀にかけて付加した四万十帯がある。 秩父帯の北側に分布する三波川帯は、白亜紀(約1億年前)に秩父帯の岩石が 地下深くまで押し込まれ、高い圧力と温度で新しい岩石に生まれ変わった広域 変成岩となった。 |
この時代を代表する岩石と用途を見てみよう。
岩 石 | 成 因 | 主 な 用 途 | チャート |
チャートは二酸化珪素(SiO2)を主成分とする微粒子からなる 堆積岩の総称です。日本でみられるもののほとんどは「層状」で 放散虫などの微生物の遺骸が深い海の底に1mm積もるのに 1,000年という非常に長い年月をかけて堆積した。 純粋なチャートは石英と同じ様に透明〜白色だが、赤鉄鉱が 入ると赤色、火山灰などが混じり緑泥石ができると緑色、二酸化 マンガンや炭質物が混じると黒色になる。 |
非常に緻密で硬く、一点に圧力を 加えると貝殻状に割れる性質を 利用して、縄文時代には石鏃など 鋭利な刃をもつ石器に使われた。
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石灰岩 |
石灰岩はの主成分は炭酸カルシューム(CaCO3)で、珊瑚や ウミユリなどの生物の遺骸が堆積してできた。 |
ほとんどの資源を輸入に頼る中 石灰岩は国内で自給できる数少ない 資源で、生石灰(きせっかい、CaO)や 消石灰(Ca(OH)2)に生成されて 使われている。 古墳時代後期には、古墳の石室の 内部を白壁に塗るのに使われた。 セメント原料として、秩父市の 武甲山では、大正4年(1915年)から 現在でも採掘が続けられている。 |
砂岩 ・泥岩 |
文字通り、砂や泥が堆積してできた岩石で、構成する 粒子の径で区分している。 砂岩・・・・・2〜0.63mmが主体 泥岩・・・・・0.63mm以下 砂岩は、石英、長石、雲母、磁鉄鉱などの鉱物や岩片が多く 概して二酸化珪素に富み、白っぽい。 ( ”白砂”といわれる所以 ) 泥岩は粘土鉱物が多くなり、アルミニウム、マグネシウム カルシウムなどの割合が増加し、黒っぽい。 泥岩で、薄く剥がれる性質があるものを「頁岩(けつがん)」 これが弱い変成作用を受けたものを「粘板岩(スレート)」と 呼ぶ。 |
砂岩は、大きな塊で採掘するのが難しく 河原の礫を砥石、石皿、打製石器として 利用していた。 泥岩でも珪質頁岩は、硬質なため石器 として使われた。 昭和30年代から、コンクリートの骨材用に 「山砂、山砂利」として採掘された。 粘板岩は、劈開に沿って薄く割れる 性質を生かし、石剣に多用されたほか 地方によっては屋根材として、最近まで 使われていた。 那智黒石や雨畑石のように碁石や 硯石として使われているものもある。 |
結晶片岩 ・緑色岩 |
広域変成岩のうち三波川結晶片岩は、砂・泥・火山灰 などの堆積岩が地下20〜30kmで、200〜300℃の温度と 数千気圧の圧力で、結晶の並びが変わると共に 鉱物が再結晶し、薄く剥がれやすい性質(片理)に変化した。 一方、御荷鉾(みかぶ)緑色岩類は、玄武岩質の火山 噴出物(溶岩・凝灰岩)や貫入岩が弱い変成作用を 受けたもので、片理は発達していない。 |
結晶片岩は、板状に割れる性質があり 採掘しやすく、石皿や石棒として使われた。 古墳時代には、石室材料として、中世には 「武蔵型板碑」として関東一円に広まった。 緑色岩は、片理が発達せず割れると 塊状になり、細粒・緻密なので磨くと表面が 滑らかになり、磨製石斧として使われた。 |
蛇紋岩 ・蛇灰石 |
橄欖岩などのマグネシウムに富む岩石が、比較的低い 温度・圧力の条件で水と反応してできたもので、マグネ シウムを2価の鉄が置換しているため、緑色をしている。 しばしば暗緑色と淡黄〜黄緑色の部分が入り乱れて ”斑状”のなり、これが蛇の皮膚を連想させるので 蛇紋岩と呼ばれるようになった。 蛇灰石は、蛇紋岩に方解石などの脈が不規則に 入ったものを呼ぶ。 |
蛇紋岩は、地殻変動の大きな地域に 産出することが多く、破砕作用を受け 割れ目が多いが、割れ目のないものは 粘りがあって強靭で、脂肪光沢があり 磨くと美しい。 縄文時代には、磨製石斧や勾玉などに 利用された。 文様の美しいものは、「貴蛇紋岩」と 呼ばれ、建築内装材や置物などに 加工されている。 |
滑石 |
滑石は、橄欖石、輝石、角閃石などのマグネシウムに 富む珪酸塩鉱物が、二酸化炭素(炭酸ガス)を含む 水と反応してできた鉱物である。 |
その触感から俗に”蝋石”と呼ばれ 長瀞土産として、細工物に加工されて いる。 |
石綿 (アスベスト) |
石綿は、『綿のようになる石』の総称で、石綿になる 鉱物には、蛇紋岩系と角閃石系がある。
蛇紋岩系
角閃石系 |
白石綿は、平賀源内が明和2年(1765年) 秩父山中で見出し、「火浣布」として売出しを 試みたことは有名です。 このように、石綿類は、耐火性、防音性や 耐磨耗性に優れ、しかも繊維と同じように 加工できるので建築材料や自動車用ブレ-キ ライニング等に使われていたが、発がん性が 社会的問題となっているのは周知の通りである。 特に、青石綿と茶石綿が毒性が強いとされる。
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(3) 第三系
地質図 | 説 明 |
第三紀中新世の約2000万年前の日本列島は、大部分が海の底にあった。地殻 変動や火山活動で、海底にレキ、砂、泥(れき岩、砂岩、泥岩)や火山灰(凝灰岩) が堆積した。 750〜500万年前には、マグマが上昇し中・古生代の岩石に貫入した。周囲の 岩石はその熱を受け、砂岩や泥岩はフォルンフェルスに、石灰岩は結晶質石灰岩 (大理石)に変化し、マグマ自体は冷却して石英閃緑岩になった。 マグマが冷却するとともに、金属元素を溶かしていた熱水と周囲の岩石の間で 大規模な反応が起り、接触交代鉱床(スカルン鉱床)が誕生した。特に、母岩が 石灰岩の場合、多種多様な鉱物が生まれ、わが国を代表する鉱山の1つである 秩父鉱山は、このような位置にある。 |
この時代を代表する岩石と用途を見てみよう。
岩 石 | 成 因 | 主 な 用 途 | 凝灰岩 |
火山噴火に伴う火山灰が海底に堆積し、固まった岩石で 多孔質で、適度に軟らかく加工がしやすい。 |
縄文時代には、石版や石偶(せきぐう)などの 線刻用として、古墳時代には横穴式石室用に 盛んに使われた。 細かい気泡があり、断熱性、とりわけ耐火性に 優れ、重量も軽いことから、土蔵などや建築物の 土台石としても盛んに使われた。 砥石としての用途が最も多かった。 |
石英閃緑岩 |
石材名では「みかげ石」の一種で、黒雲母、石英、斜長石 普通角閃石などからなり、等粒組織を示す。黒雲母は 変質して緑泥石化している結晶も多い。 |
閃緑岩のような深成岩は、採掘が困難で 加工しにくく、大規模に採掘されるようになった のは近世以降である。 縄文時代には、河原の転石をそのまま磨石 (すりいし)などに利用していた。 埼玉県では、石英閃緑岩のような火成岩は 小規模にしかなく、しかも山奥で、商業ベースに のるような産出はなかった。 |
フォルンフェルス |
粘板岩や砂岩がマグマの熱で、完全に再結晶した塊状で 緻密な岩石である。再結晶化に伴って、”○○桜石”と 呼ばれる菫青石などが生成することも稀ではない。 |
硬い性質を利用して、分銅型あるいは バチ型と呼ばれる打製石斧に使われた。 |
結晶質石灰岩 (大理石) |
石灰岩が熱を受けて再結晶すると、ほとんど方解石の 結晶のみからなる結晶質石灰岩(大理石)に変化する。 |
均質で美しく、加工しやすいため 西洋では建築、工芸、彫刻などに 使われてきた。 秩父鉱山で産するが、石材となる 大塊が得難く、炭酸カルシウムなどの 原材料として採掘が続けられている。 |
(3) 第四系
地質図 | 説 明 |
第四紀は、人類が誕生し現在に至るまでの時代で、200〜100万年前に 関東平野側の大地が沈降し始め、多くの土砂が堆積した。山と平野の境 には、大規模な扇状地ができ、現在の丘陵や台地をつくる地層(更新統 =洪積層)が生れた。 第四紀は、”氷河時代”とも呼ばれ、氷期(寒い時代)と間氷期(暖かい 時代)が数回にわたって繰り返され、それに伴って、海面水位が変動した。 約12万年前の間氷期には、関東平野一帯が大きな湾になり、海底に 土砂が堆積した。一方、3〜2万年前の氷期には、平均気温が今よりも 7℃も低い大寒冷期となり、海面も現在より最大140mも下がった。 12〜2万年前は火山活動が盛んな時期でもあり、台地や丘陵の上には 八ヶ岳、富士山、浅間山などから噴出した火山灰が降り積もり、ローム層 と呼ばれる地層をつくった。 1万年前になると、急激に温暖化が進み、海面が上昇し、現在の低地に あたる部分の地層(完新統=沖積層)が堆積した。 |
この時代を代表する岩石と用途を見てみよう。
岩 石 | 成 因 | 主 な 用 途 | 火山岩 |
マグマが地表に噴出して急に冷えたため、 完全な結晶が成長せず固まった岩石である。 火山岩の中で、石材として最も利用されるのは 安山岩で、日本の火山を構成する岩石の中で 最も分布が広く、古生代〜新生代まですべての 時期のものが存在する。しかし、古い時代のものは 変質して石材に適しないため、現在採掘されている のは、ほとんどが新生代の岩石で、霧ケ峰火山から 産する長野県諏訪市の「鉄平石」がその代表である。 埼玉県には、第四紀の火山が存在せず、県内で 見られる火山岩は、利根川や思川によって群馬県や 栃木県の火山から運ばれたものである。 火山岩は、成分が同じでも、噴出・冷却のしかたに よって、全く性質が異なる。
急冷・・・・・・・ガラス(黒曜石) |
ガラス質の黒曜石は、石鏃など石器としての 利用価値が高く、八ヶ岳、霧ケ峰のほか遠く 神津島からも運ばれた。 斑晶が比較的大きな安山岩は、打撃に 対して強靭なので、敲石(たたきいし)、石斧 などに使われた。 多孔質のものは、加工がしやすいことから 石棒などに、ザラザラした性質を利用し石皿や 磨石に使われた。 軽石は、魚網の浮子(ウキ)としても使われた。 |
粘土 ・ローム |
粘土は、粘着性をもった珪素(Si)、アルミニュム(Al) マグネシウム(Mg)などからなる、微細(50nm以下)の 鉱物粒子の集合である。 岩石の風化や熱水による粘土化作用などで生じた これらの微粒子が堆積したり鉱床として残存したもの |
日本では今から1万数千年まえに、縄文土器が 使われはじめ、その後朝鮮半島から須恵器が 伝えられた。 埼玉県内には、これを焼く「登り窯」跡が寄居町 鳩山町、入間市などで発見されている。 |
4.3 装飾品として使われた石
石でつくられた装飾品の石材として、緑色のものは一般にヒスイ輝石(硬玉)
ネフライト(軟玉)、緑色の碧玉、蛇紋岩、緑色岩などが使われた。赤色のものは
チャートや赤色の碧玉が多く使われた。その他、メノウや琥珀、ガラスなども
使われた。
装飾品として使われた石を見てみよう。
石 | 説 明 | 装 飾 品 の 例 | ヒスイ輝石 (硬玉) |
ひすい輝石(硬玉)は、「東洋の宝石」として 中国や日本で古来から珍重されてきた。 ヒスイ輝石を主成分とし、結晶が複雑に集合し 硬度は6.5〜7しかなくても、丈夫で 壊れにくい性質を持っている。 日本における装飾品としてのひすい産地は 新潟県糸魚川市周辺で、全国の縄文〜古墳 時代の遺跡から出土するひすいのほとんどが この地域のものである。 埼玉県寄居町でもヒスイ輝石の結晶が発見されて いるが、宝石としての価値はない。 |
ひすい装飾品(埼玉県日高市出土) |
ネフライト (軟玉) |
ネフライトは、アクチノ閃石の緻密な集合体で ひすい輝石ににているため、装飾品として使われた。 ひすい輝石より軟らかく、彫刻用として利用された。 |
ネフライト(埼玉県皆野町産) |
碧玉 |
碧玉の主成分は石英と同じニ酸化珪素(SiO2)で 主に酸化鉄からなる不純物を20%程度まで含み 赤、褐、黄褐、黄、緑、黒などの色を示す。 (メノウより不純物を多量に含む) 島根県玉造産のような青色のものを”青玉石” 佐渡産のような赤色のものを”赤玉石”と呼ぶ。>BR> |
管玉(埼玉県行田市出土) |
メノウ |
碧玉より、不純物が少なく、部分により色、濃淡 透明度に差がある。主成分は石英と同じニ酸化珪素 (SiO2)で微細な石英からなり、不純物と量によって 乳白、灰、青白、灰緑、黄褐、褐、赤褐、緑、青 紫など変化に富む。 |
勾玉(埼玉県蓮田市出土) |
4.4 水石の世界
天然石を鑑賞し、心を山水風物詩の世界に遊ばせる趣味は、南北朝時代から
始まった、と伝えられています。ことに、東山文化において、書院などの室内で
盆に自然石を配して鑑賞する趣味が花開いた。その技法は、江戸中期に確立したと
伝えられる。
「水石」は、緻密で硬く、水に磨きだされて美しい形を示すものが良いとされ
火成岩では輝緑岩、橄欖岩、蛇紋岩のような塩基性〜超塩基性岩が、堆積岩では
チャート、泥灰岩(石灰分を含んだ泥岩)、細粒砂岩、そして変成岩ではホルンフェルス
などが適している。緑色岩(いわゆる輝緑凝灰岩)は、緑黒、赤褐、紫灰色などの
暗色を帯び、緻密で硬く光沢もあるため、水石として格好である。
埼玉県内で「水石」に適する石が産する地域は限られ、秩父帯の中・古生層中心に
梅花石、菊花石などが産出し、「秩父石」と総称され、珍重される。また、三波川帯の
岩石は「三波石」と総称される。
これらの中で、「亀甲石(きっこういし)」は、泥質の岩石に割れ目や方解石脈があり
その部分が溶融し亀甲模様が浮き出ている。
4.5 街でみかける石材の生い立ち
ビルの壁面の化粧材などに使われる石材は「みかげ石」と「大理石」が大部分を
占め、「砂岩」も一部に使われ、それぞれの色や模様には、それぞれの岩石の
生い立ちが大きく関係している。
(2)埼玉県立自然史博物館では、展示図録のほか、各種の文献も販売しており
今回次のような資料を購入できた。
それらは、入場料同様非常に安く、社会教育にかける埼玉県の姿勢が感じられ
ます。
@ 研究報告「埼玉県内に産出する鉱物」
A 長瀞の自然
「長瀞の自然」には、埼玉県立自然史博物館の前身であった「秩父鉱物陳列所」の
創立に関わった長島乙吉氏の足跡も記されており、購入することにした。
( ただし、在庫がなく、送ってもらう段取りをした )
(3)私のHPの掲示板に「茶石綿」について書き込んだところ、千葉県の石友・Mさんから
メールでご教示いただいた。今回、再訪した大きな理由は、これを確認することでした。
厚く、御礼申し上げます。